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【番外】思い出ショウタイム(2)
ご飯の最後の一粒まで食べ尽くすと、食器を片付けて一息ついた。
しかし、ソファに腰掛けたとたん、シャワーで追い払ったはずの眠気が襲ってくる。
「やばやばっ、寝よ」
慌てて歯を磨いて髪を乾かし、寝室のドアをそっと開けた。
「……おかえり」
眠そうな槙野さんの声が、柔らかく暖かく迎えてくれた。
なぜか自分のダブルベッドでなく、俺のシングルベッドに寝ている。
あ、同棲始める時に、俺用のベッドを買ったんだよ。
槙野さんのベッドと並べてくっつけられるヤツ。
ダブルベッド一台じゃ、俺の身長的にもらぶらぶするのにちょっと狭くて……ね?
あ、いや、そういうヤラシイ目的だけじゃなくて、鈴ちゃんの寝る場所の確保って意味もあるからね?!
やだなーもー。俺がヤラシイことしか考えてないみたいじゃん。
とにかく!槙野さんがどういうわけか俺のベッドで寝てるわけ。
「暖めといたぞ。来いよ」
毛布の端から華奢な手がひらひらと手招きする。
「ま、槙野さん……大好きですっ」
俺は槙野さんのそばに飛び込むように入って、槙野さんの温かい体を抱きしめた。
「おつかれ。頑張ったな」
槙野さんが頭を撫でてくれる。
「そうなんです。俺頑張ったんですよぅ。すっげー疲れた」
「だろうな。ゆっくり寝ろ。俺は戻るから……おい、離せよ」
「やだ。四日ぶりなんですよ?言いたいこといっぱい溜まってるし」
俺は自分のベッドに戻ろうとする槙野さんを抱き止める。
肩に腕を回すと、思いの丈をぶちまけた。
「槙野さん、好き」
ちゅ
「好き」
ちゅ
「大好き」
ちゅっ
「……言いたいことはそれだけか馬鹿犬。俺は眠い。戻らせろ」
「だめです。ご飯のお礼がまだです」
「あんなの、大したことじゃ……」
言いかけた槙野さんの唇をキスで無理やり塞ぐ。
やばい。照れてる槙野さん可愛すぎる。好き。
顔色には出てなかったけど、目が泳ぎまくりだった。
口悪いのだって照れ隠しだって知ってるもん。
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