95 / 128

【番外】思い出ショウタイム(2)

ご飯の最後の一粒まで食べ尽くすと、食器を片付けて一息ついた。 しかし、ソファに腰掛けたとたん、シャワーで追い払ったはずの眠気が襲ってくる。 「やばやばっ、寝よ」 慌てて歯を磨いて髪を乾かし、寝室のドアをそっと開けた。 「……おかえり」 眠そうな槙野さんの声が、柔らかく暖かく迎えてくれた。 なぜか自分のダブルベッドでなく、俺のシングルベッドに寝ている。 あ、同棲始める時に、俺用のベッドを買ったんだよ。 槙野さんのベッドと並べてくっつけられるヤツ。 ダブルベッド一台じゃ、俺の身長的にもらぶらぶするのにちょっと狭くて……ね? あ、いや、そういうヤラシイ目的だけじゃなくて、鈴ちゃんの寝る場所の確保って意味もあるからね?! やだなーもー。俺がヤラシイことしか考えてないみたいじゃん。 とにかく!槙野さんがどういうわけか俺のベッドで寝てるわけ。 「暖めといたぞ。来いよ」 毛布の端から華奢な手がひらひらと手招きする。 「ま、槙野さん……大好きですっ」 俺は槙野さんのそばに飛び込むように入って、槙野さんの温かい体を抱きしめた。 「おつかれ。頑張ったな」 槙野さんが頭を撫でてくれる。 「そうなんです。俺頑張ったんですよぅ。すっげー疲れた」 「だろうな。ゆっくり寝ろ。俺は戻るから……おい、離せよ」 「やだ。四日ぶりなんですよ?言いたいこといっぱい溜まってるし」 俺は自分のベッドに戻ろうとする槙野さんを抱き止める。 肩に腕を回すと、思いの丈をぶちまけた。 「槙野さん、好き」 ちゅ 「好き」 ちゅ 「大好き」 ちゅっ 「……言いたいことはそれだけか馬鹿犬。俺は眠い。戻らせろ」 「だめです。ご飯のお礼がまだです」 「あんなの、大したことじゃ……」 言いかけた槙野さんの唇をキスで無理やり塞ぐ。 やばい。照れてる槙野さん可愛すぎる。好き。 顔色には出てなかったけど、目が泳ぎまくりだった。 口悪いのだって照れ隠しだって知ってるもん。

ともだちにシェアしよう!