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【番外】バッドモーニング・コール(4)
そんなこんなで、ベッドで戯れていたら昼になり、シャワーを浴びて遅い昼食を食べた。
食べ終わってソファに寝転がった神崎が、鈴を撫でながら話しかけている。
「鈴ちゃーん。もうちょっとしたら鈴ちゃんの妹連れてくるからねー。まだちっちゃいし目が悪いから遊び相手にはなれないかもしれないけど、優しくしてあげてね?」
「ぐるなん」
「うふふ。そうだねー楽しみだねー」
しばらくのんびりして、そろそろ出掛けてもいい頃合いになったので、神崎に声をかけた。
「おい、神崎ー」
返事がない。
ソファの背もたれ越しに覗き込むと、鈴と一緒に神崎は眠り込んでいた。
「神崎?」
「ふあい!」
肩を叩くと、神崎はびくりとして飛び起きた。
「そろそろ行くぞ……その前に顔洗ってこい。涎垂れてる」
「えっ、あっまじだ恥ずかし」
神崎が顔を洗うのを待って、家を出た。
よく晴れたいい天気で、空には雲ひとつない。
隣では神崎が新しいケージを持って、鼻唄を歌いながら歩いている。
「緊張はとけたのか?」
「んー。ちょっと緊張してるけど、今は楽しみの方が勝ってる」
晴天に似合う顔で神崎はきらきらと笑った。……俺の好きな笑顔だ。
笑顔を堪能しているうちに、早乙女ペットクリニックに着いた。
さすが休日で、待合室は患畜と飼い主で混雑している。
受付で診察券を出すついでに待ち時間を訊くと、三十分くらいとのことだった。
「三十分だったらこのままここで待ってるか」
「そうだね」
待つことしばし、待合室がやや空いてきた頃、声がかかった。
「神崎さーん。診察室へどうぞ」
隣に座った神崎が分かりやすく飛び上がった。
俺が立ち上がると、大きな目が少し震えながら見上げてくる。
「ほら、何やってるんだ神崎。花嫁さんを迎えに行くぞ」
「う、うん」
また緊張してきたみたいだ。
ソファから立ち上がると、ぎこちない足取りで診察室へ向かう。
俺はその後ろからついていった。
「はぁい、こんにちはぁ。……あら、なぁに、緊張してらっしゃるのぉ?」
「俺、生き物飼うの初めてなんです」
「ふふ。大丈夫よぉ。先輩が後ろにいるじゃない」
神崎がすがるような目で振り返ってきたので、軽く髪を撫でてやった。
「それに困ったらいつでもここにいらして?何でも相談のっちゃうから……ね?」
ようやく神崎がこくんと頷く。
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