116 / 128
【番外】甘えホーダイ月額キス31回(2)
「ごほうび? うーん……トイレ掃除、夕食後の片づけ、アイロンかけ、あたりをしばらく俺がやる、とか?」
槙野さんの提案は考えるまでもなく却!下!
まったくもう、何寝ぼけたこと言ってるんですか槙野さん。
「それ、全然ごほうびじゃないです。もっと俺が喜ぶやつ、知ってるでしょ?」
「ええ? 忘れたよ。ハグ三分か、喉くすぐりか、頭なでるの、だっけ?」
ちょっと頬を赤らめて、槙野さんが思い出してくれた。
ふふ。懐かしい。
でも槙野さんとえっちなこともしてる今の俺は、そんなプラトニックなごほうびリストじゃ満足できない!
「ごほうびリストはこのたびバージョン2.0になって生まれ変わりました」
「知らないぞ、そんなの」
俺は起き上がって槙野さんの隣に座り直して、横から槙野さんに抱きついて耳元で告げた。
ああ。もうこのままいちゃいちゃしたい。
「ごほうびその一。槙野さんのどこにでもちゅーしていい権利」
「なんだそれ? それが嬉しいのか? いつもやってるじゃないか」
槙野さんは不思議そうに俺を見る。
ちっちっちっ。
いつものはいっぱい我慢してるんです。
「我慢? どこを?」
「お尻の際どいとこ」
「はっ!?」
「槙野さんに四つん這いになってお尻をきゅって可愛く上げてもらって、あとは俺が好きなとこにキスし放題なの」
むぐ。槙野さんに口塞がれた。
槙野さん真っ赤ですね。あれ、恥ずかしくて俺の顔見られない? そんな初々しくて可愛いことしてると、俺に襲われちゃいますよ。
「別のに、してくれ」
俯いてかすれ声で槙野さんが言う。
え、早くもエロくない?
もうごほうび始まってる?
もー、槙野さんてばサービス精神旺盛なんだからー。
始めから飛ばしてると後で力尽きちゃいますよ?
まあ、力尽きちゃっても、それはそれで俺が美味しくいただきますけど。うふふ。
「ごほうびその二は……、見つめ合いながら、槙野さんの指舐めたい」
「だめだ」
なんで! 絶対どきどきするのに!
うふ。あは。
槙野さん手が熱いよ。気分のってきた?
「じゃ、槙野さんの案聞かせてください」
ほっぺにちゅってキスして囁いたら、槙野さんは首を傾けて考え始めた。
ん? ちらっとテーブルの上見た。
ポストに入ってた広告と、本が何冊かあるだけなんだけど。
「神崎のは過激すぎる」
断固とした口調で槙野さんが言う。
ああ、なぜだろう。槙野さんの唇から『過激』って単語が発せられると、めちゃくちゃにエロい……なんて言ったらいいの?……エロの極みみたいに聞こえる。
……え、俺アホっぽい……? 仕方ないよ。俺の頭の中、槙野さんのことしかないもん。
「だっていつもはできない事をやるチャンスじゃないですか。うふふ」
「うふふじゃない。……これでどうだ。『甘えホーダイ月額キス31回』」
ほう。
「一日一回キスしたら、好きなだけ甘えていい」
「! 言われてみれば、最近忙しい時、キスしてない日ありましたね。すみません!」
槙野さんを寂しがらせちゃった! キスすらしてない日があるとか、何やってんだよ俺! わんこ失格だよ俺!
「ん、まあ、その、初心に戻るのもいいかな、と」
「キスしましょう。毎日。一回と言わず何回も。……うーん、そのー……甘えホーダイってことは、俺がさっき言った際どいとこのキスとか、指舐めるのとかもやっていいんですか?」
「そういうのは、甘えるのとは違うから、別途相談だな」
「ほう、ベッドで」
あ、しまった。今のは寒かった。
槙野さんの手が平熱に戻っちゃった。
「要するに、その……若干、過激なプレイ、も場合によっては応じてやる、ってこと、だ」
わぁお。俺の案も、条件つきでOKてことだよね?
あぁ、どうしよう。とうとう槙野さんと一線越えちゃうのかなぁ。
ダイブintoディープな世界、しちゃうのかなぁ?
ともだちにシェアしよう!