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【番外】甘えホーダイ月額キス31回(5)

鈴ちゃんと珠ちゃんはもう自分の好きなところで丸くなっちゃってるから、俺は槙野さんだけ抱きしめて、寝室に向かった。 「神崎、息が首筋に当たっててくすぐったいんだが」 「んふー。ですよねー」 「ですよね、じゃない。離れろ」 槙野さんが冷たいことを言う。 「だめです。もう俺、今日は槙野さんから離れません。ふふ、後でもっと密着するし」 寝室に入って、ちゃんとドアを閉めた。 たぶん大丈夫だとは思うけど、念のためにね。 後ろ手にドアを閉めると、槙野さんが俺の腕の中から抜け出した。 どうしたのかな、と思う間もなく、槙野さんは俺をドアに押しつける勢いでキスをしてきた。 「……初回だけ、特別に俺がキスしてやる」 ちゅ、と一回唇を湿しておいてから、槙野さんには珍しく、噛みつくような勢いでキスを。 ふぇっ!? どうしたんですか槙野さん!? こういう時に、槙野さんからキス、なんてありえなかったのに。 舌を絡ませて、唇にも軽く牙を立てて、渇いた愛を潤すように口づける。 でもやっぱりこのキスは槙野さんのキスで、始めこそ勢いに驚いたけど、後は丁寧で誠実で、俺を大事にしてくれてる槙野さんの性格が表れてる。 好き。 槙野さん、好き。 俺も槙野さんのこと、大好き。 こんな夢中になれるキスしてくれる槙野さん、大好き。 あ、離れようとしてる。やだ。終わらないで。 「馬鹿、ちょっ、と……キツイんだよ神崎背が高いから」 槙野さんはキスやめちゃったけど、俺は抱きしめたまま放さない。 「やだ。槙野さん、もっとして」 「いっぺん手を放せ」 「やだ」 ふふ。槙野さん、俺の身長に合わせて、頑張って背伸びしてキスしてくれてた。 今は疲れてぷるぷるしてきちゃってるけど。でも、俺が放さないから、もう一回キスしてくれた。 ちゅっ、て。 濡れた唇で挨拶して、軽く舌同士を触れさせる。 つま先立ちして、限界まで背伸びした足を微かに震えさせながら。 ああ、もう。 かっこいいのに、なんでそんなに健気なの? だめ。もう一回キスしてくれなきゃやだ。 俺が槙野さん抱きしめて、支えるから。 だからもう一回。 「槙野さん。大好き」 槙野さんが限界になるまで抱きしめてキスをして、最後はバランスを崩してふらふらっと傍のベッドに二人で倒れ込んだ。 「ふはっ」 槙野さんを潰しちゃわないようにだけ気をつけて、ベッドに体を預ける。 あれ? 槙野さんはもう起き上がっちゃった。 「おい神崎、まだ終わってないぞ」 え、ぇえ? 槙野さんがシーツの海を渡ってきて、寝転がった俺の頭の上からキスをくれた。 上下逆さまのキスだ。口の中の、いつもは触れないようなとこに舌が届いて……気持ちいい。 でも、舌を絡ませようとしても、普段と勝手が違ってうまくいかなかった。 んもう。二人で目を合わせて笑う。

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