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その後ー2

双海は松浦と出会った頃のことをぼんやり 思い出していた。 いつの日からか、彼が自分の方をジッと見ていることに気づいた頃。 初めは文句言われるのかとドキドキしていたが、その内彼が自分ではなく運転を見ているんじゃないかと思い始めた。 多分バスが好きなんだろうなあ、とミラーでちらほら見ているうちに彼が可愛く見えて。 きっとそれが好きになった瞬間だ。 その内、目が合うことが多くなり恥ずかしいと思う反面、どうしても彼と話したくなり降車の際に彼にだけ「お疲れ様です」と付け加えて挨拶をしたり。 彼は驚きながらも、それ以降、降車する際にはペコリと律儀にお辞儀をしてくれた。 朝の便で見かけた時は、後頭部に必ず寝癖がついていて折角のシャープな佇まいが勿体無いと心で笑ってた。 夕方の便で見かけた時は、少し疲れた顔をしてウトウトしていたり。 この路線を運転して、彼に出逢えたことは本当に幸せだった。 その後、紆余曲折あってお互いの想いを告げて恋人となった今。 携帯で声を聞いたりお互いの近況をメールしたり、繋がっている 事は実感できるのだけど。 こんなに逢えないとは思わなくて。 まだバスで出逢えていた時の方が幸せだったのではないか。 (あー、沼だな、コレ ) 考えだしたらキリがない。 逢えない時間が多過ぎるとろくなことがない。解ってはいるけれど… (松浦さん、逢いたいな)

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