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第2話 桜林合同祭へ
学園生活を始めた康太は、中、高合同桜林祭の準備に追われるハメになった
この日の朝は、兵藤貴史を迎えに行って
一緒に登校する予定だった
登校した足で中等部の朝礼に乱入する予定で、康太の弟、中学3年生の悠太を連れていた
康太の弟の悠太は、桜林学園 中等部 執行部部長をしている
飛鳥井の5兄弟の中で執行部部長をしていないのは…康太のみ…だった
それがコンプレックスになってるのは…悠太は知らなかった
飛鳥井の家を出て、ゾロゾロ兵藤貴史の家へ歩く
康太と榊原、一生と聡一郎、隼人に、悠太…
ゾロゾロと兵藤ん家へ行き、兵藤ん家のインターフォンを鳴らした
桜林学園 高等部 現生徒会長 兵藤貴史の家は、飛鳥井の家の裏にあった
康太と兵藤は、幼馴染みだった
兵藤ん家のインターフォンを鳴らすと
「きゃぁぁぁ~康太 !」
と地響きを鳴らし玄関を開けた美人が康太に抱き着いた
康太に抱き着いた美人は、兵藤貴史の母、兵藤美緒
彼女は康太が大好きで…自分の息子と変われば良いのに…と、思ってしまう程、康太が大好きだった
康太に抱き着いた美緒は、一頻り擦り擦りしてから、やっと周りの人間に気が付いた
「康太の取り巻きはイケメン揃いじゃな!」
全員を抱き締めた頃…兵藤貴史が現れ…
母親を蹴散らした
「そのイケメン好き…何とかならねぇのかよ…」
兵藤はボヤく…
一生達は…兵藤の母親のフルパワーに唖然となっていた
「貴史…遅い…」
康太が苦情を言うと
兵藤は、すまん…美緒を阻止出来なかった…と、謝った
「美緒、貴史も男前だろ?」
康太が問うと「当たり前じゃ!我の子供だからな!」と笑った
康太は笑い、右手を上げて「行ってくる 」と、告げた
歩き出した康太の横に兵藤が並んだ
一生が「貴史…お前の母親があんなにすげぇとは…思わなんだわ…」と呟いた
「うちの美緒は康太一筋
未だに息子にするなら康太ちゃん…だからな…」
兵藤は苦笑した
康太は「美人なんだかなぁ…」と嘆く
そして「何でオレの周りにいる女性は…美人なんだが…男前しかいねぇんだ?」と嘆いた
と、飛鳥井の母や京香を思い出していた
その言葉に兵藤は苦笑して
「康太…お前はもう伴侶持ちだろ?
だからもう良いんだよ!」
と、嫌味を言う
「貴史はマザコンだもんな。
結婚相手は…美人な男前なんだろうなぁ…」
と、康太も嫌味で返した
兵藤は……それは嫌だ…と、逃げた
康太は兵藤を追いかけ蹴りを入れた
蹴りを入れられた兵藤は、康太を追いかけ回した
榊原の胸に逃げる康太に、兵藤は、べーっと舌を出した
榊原から離れた康太は爆笑した
一生にも、マザコンか…と呟かれ
聡一郎からは、デコピンされた
隼人は、マザコンかぁ…オレ様は康太の方が大好きだ…と言われ
兵藤は「それも立派なマザコンだろが!」と返した
隼人は「そうか、オレ様はマザコンか」と納得し
ドッと疲れ学校に着く頃には、ヘロヘロになっていた
だが……それさえも…愛しき日々だった
高校生活に…色を添えてくれた……
康太からのプレゼントだと…
全部受け取り…
その全部を……心に刻む…
君がくれる……愛しき日々に…
別れを告げる…その時まで…
康太は、中等部の体育館の檀上にいた
高等部、生徒会長 、 役員、執行部 部長 、四悪童
と、言うメンバーが檀上にいた
悠太が葛西と檀上に立ち、高等部からの話があると集会の場を借りてくれたのだ
康太は姿勢を正しく胸を張ると毅然とした姿で微笑んだ
そして悠太からマイクを受け取ると
「飛鳥井康太だ!
今日は桜林学園中高合同祭の話をする為に来た!良いかぁー!」
と、中等部の生徒に大声で聞いた
体育館に歓声が響く
そして全員が『良いですよー!』と返した
中等部にも四悪童、飛鳥井康太は絶大な人気が有った
「桜林祭で事故が無い様に、合同祭に出る奴は個人情報の同意書とゼッケンの購入が必要だ!
ゼッケンの中にICチップが入る。
そのICチップには個人の情報が記載される
生徒の位置情報の確保の為に、これは欠かせない、故に同意書を取りゼッケンを購入してもらう!
このゼッケンの購入が無い者は合同祭に参加はさせない。
紛れ込むのも無理だ!
オレ等は総意を懸けて中等部の生徒の安全を守る為にこのゼッケンを着けて欲しい
参加者はクラスに戻ったらこの用紙に記載して責任者に渡せ
親に見せても良いぞ
嫌な奴は買わなくて良い
だが安全は保証できないから、参加はさせない!
高等部への橋は渡らせない
それだけだ!
皆、合同祭 頑張れよ!
高等部で待ってるかんな!」
康太が話終わると、おおおおおぉぉぉ!と声がかかった
そしてマイクを、兵藤貴史へ渡した
兵藤はマイクを受け取ると声を張り上げ話を始めた
「高等部、生徒会長 兵藤貴史だ!
今、飛鳥井康太から説明が有った通り、不幸な事故を防ぐ為に、中等部の生徒の位置を把握する為にクラスと名前を埋め込んだゼッケンを作る事にした
これを購入しない生徒は合同祭への参加は許可しない!
参加したい生徒は購入してくれ
そして高等部を卒業する我等から、高等部へ上がってくるお前らに、贈る合同祭を受け取れ!
皆! 頑張ろうぜ!」
と、喋りマイクを榊原に渡した
「高等部、執行部 部長 榊原伊織です
君達に高等部の底力を見せ付けます
掛かって来なさい!」
榊原は、笑って、悠太にマイクを渡した
康太は悠太の手ごとマイクを掴むと
「楽しもうぜ !高等部で待ってんぜ!」
と、言い片手を上げた
体育館は歓声が鳴りやまず…
悠太は兄の姿を瞳に焼き付けた
康太は、檀上から飛び降りると
生徒の間を縫って、外へと進んだ
兵藤も榊原もその後を追う
目の前に…遥か彼方の高等部の生徒会長がいて…執行部 部長がいる
そして飛鳥井康太がいて、四悪童がその後に続く
中等部の生徒は異様な盛り上がりを見せ
桜林祭へ進むのだ
中等部の体育館を出ると、康太は次は高等部か…と呟いた
高等部の体育館には、清家が生徒を集めていた
「腹減ったし…」
康太が呟くと、兵藤は
「なら昼は奢ってやる
プリンも着けるぞ!」
と、甘い誘惑を投げ掛けた
康太は兵藤に「マジ?」と聞くと
「終わったら奢ってやる」とアメを与え
「だからさっさと遣りやがれ!」とムチで康太の尻を叩いた
康太は俄然やる気になり
中等部の橋を走って渡った
そして、その勢いで高等部の体育館へ向かった
体育館のドアを開けると歓声が上がった
高等部でも飛鳥井康太は絶大な人気がある
康太は生徒の間を縫って正面から進む
そして檀上に、手を着くと上にヒョイと上がった
凄い軽業で檀上に上がった康太と違って兵藤と榊原は、檀上横の階段から檀上に上がった
そして中央のマイクを取ると、不敵に笑い
「お前ら~元気かぁ~!」
と、大声を出した
中等部と違って野太い声が、オォォォォっと上がる
「もう直ぐ、中、高合同桜林祭が始まんぞぉぉぉ!
用意は良いかぁ!」
と、聞くと『バッチリぃ~』と軽い声があがった
「今年の桜林祭は、中、高合同だから、万全の体制で望むつもりだ。
ICチップが入ったゼッケンを買わない奴は合同祭に出る資格はない!
昔、不幸な事故があった!
二度と再び起こさない為の対策だ!
賛同しない奴は出る資格はない。
ICチップで生徒の位置と状況を把握する
お前らは高等部の生徒として、中等部の生徒の手本となれ!
そして高等部の底力を見せ付けてやれ。
良いかぁ! 絶対に負けんなよ!」
と、力の限り叫んだ
体育会は異様な盛り上がりを見せ、生徒は闘志に満ちた顔をしていた
康太はマイクを兵藤に渡った
「お前ら、中等部に負けるなよ!
高等部が中等部に負けた…
弱っちいぜ!高等部!
なんて汚名は残すんじゃねぇぞ!」
兵藤は、榊原にマイクを渡した
「高等部のデカイ背中を中等部に見せ付けて遣りなさい!
負けたら………」
榊原の言葉に生徒は黙った
「お仕置きですから!」
言い放つと……
うわぁぁぁ!負けられねぇ!と声が上がった
榊原は清家にマイクを渡した
康太は清家に近付くと耳元でゴニョゴニョ言った
そして清家は笑って頷いた
「今年も仮装大会を開催します!
我こそは絶世の美女だという者は参加しなさい!
今回はコスプレの仮装大会を開催します
皆、工夫を凝らしなさい!
参加したい生徒は3日目の昼に体育館に集まりなさい!」
そして清家はマイクを康太に向けた
「くれぐれも仮装して学校に来んじゃねぇぞ! 捕まっるかんな!」
と、笑いを誘うと体育館に笑い声が響き渡った
清家は兵藤にマイクを渡すと
兵藤は「解散!」の号令をかけた
熱気は冷まず…20日から始まる合同祭へと向かう
絶対に失敗は許されない…
決意と共に…
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