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第3話 呪詛

康太は兵藤に約束通り昼食を奢ってもらった 勿論、プリン付きで! 生徒が食堂に雪崩れ込む前の11時頃に康太は昼を食べる この時間帯は人が少ない。 康太が一人で昼食を食べていると、コツコツ足音が聞こえた 康太の方へ…向かって歩いてくる足音は、康太を捉えて止まった そして康太の前の席に…当然の顔をして座った ニコニコと顔は笑っていたが、瞳は康太を捉えて離さなかった 「やっと逢えたな飛鳥井康太 」 男は康太の方へ手を伸ばした 康太はその手を避けた 「名乗らねぇ奴に触らせる訳ねぇだろが!」 男はふん…と、鼻を鳴らした 「これが稀少の真贋?」 康太の容姿に…凄い威力は感じられず… 騒ぐ程ではないわ…と思い始めていた 「お前…邪魔…。折角のランチタイムが…」 康太はトレーを持ち上げると立ち上がった そして男とは反対のテーブルからカウンターに進み、トレーを返した 男が康太へ近寄る 康太は立ち止まり…男を見据えた 康太の瞳が男を射抜く… 「何の用なんだよ?」 「何なんでしょうね?」 男はねっとりと絡み付くように笑った 康太は無視して踵を返した 男は康太の腕を取ろうと腕を伸ばした その腕を一生が掴み捩り上げた 「康太に近寄るんじゃねぇ!」 男は全力を振り絞って…一生から離れた 康太はそれを見て笑っていた 「お前の姑息な妖術なんぞ、オレには通用しねぇんだよ」 康太は言い放った 男は……なっ!…信じられない顔で康太を見た 「桐生院東矢。策に溺れたか?」 男は…康太に真名を呼ばれ…焦った 「 真名 」を呼ばれたら…術は効かない… 「わざわざオレの結界の中へようこそ桐生院東矢 」 男は足元を見た 紅蓮の印に結ばれていた 康太は笑って男に近付いた 「自らの手でオレにトドメを刺しに来たか?」 康太の首の神器が…康太を守って光る 男は諦めた顔で降参した 「弱っておったのに…残念だ…」 「飛鳥井は、桐生院とは無縁の筈。 互いに潰し合う関係ではなかった… 何時からその関係が壊れたのだ?」 康太は桐生院東矢に話し掛けた 康太の果てを見る目が桐生院東矢を射抜く… 康太の結界の中で真名を呼ばれた桐生院は 抵抗すらするのを諦めていた 自分の命は飛鳥井康太が握っている…と、言っても過言ではないから 「私を早く手にかけろ!」 桐生院は、観念して…早くトドメを刺せと… 康太を急かした 「まぁ待て…」 康太は急かす桐生院を呪縛した 康太は携帯を取り出し、祖父 源右衛門へと電話を入れた 「じぃちゃん聞きたい事があんだけど? 桐生院と、うちって敵対してたっけ?」 「彼方は妖術師 うちは真贋…敵対に値せんわ…。 で、その妖術師がお前を襲ったのか?」 「そう。桐生院東矢!」 「桐生院は代替えしたのか? それとも端下?」 源右衛門は思考を巡らせ考えた 「じぃちゃん、見たいか?」 康太の一声で源右衛門の心は決まった 「ならば、そっちに向かおうぞ!」 「オレの覇道を辿れるな?じぃちゃん」 「まだそれ位は出来る。」 康太は源右衛門との電話を切った 電話を切った康太は一生に 「一生、食堂を封鎖しろ!」と指示した 一生は「あいよ!」と外に出て、食堂を封鎖した ついでに校内放送で今日は食堂は使えません…と流した そして一生が食堂に戻ろうとした時、源右衛門が近付いてきた 「一生、待っておったのか?」 源右衛門の言葉に一生は笑った 早すぎだろ…と、心の中で思うが言わない 「康太の用で出た。 ついでだから一緒に行こうぜ 」 一生は源右衛門と共に食堂に向かった 食堂に源右衛門が現れると、緊張が走った 一生は、食堂に入ると扉を施錠した 「康太、桐生院東矢の果てを見たか?」 源右衛門は康太に問い掛けた 「桐生院は、主が最近亡くなって代替えしたみてぇだな 名目上、長男の桐生院東矢が家督を継いだ…。 だが…家督で争い…孤立無援の状態だ。 そんな時に稀少の真贋、飛鳥井康太の暗殺が依頼された…。 東矢は依頼を断ったが、東矢の失脚を願った義母が家督を継ぐならやれ…と持ち掛けた…。 そして捨て身でかかって来た…。 まぁこんな感じだな…。 東矢の義母って奴が自分の息子の方が能力が高いと思い込んで無能な息子を担ぎ上げようとしている。 そして…親族を巻き込んで家督争いの真っ只中だ。 本人は家督などどうでも良いのにな…。 で、ヤケソクで妖術でオレを弱め…トドメを刺しに来た、それが全貌だ。」 康太が言うと…源右衛門は…うむーと唸った 「で、飛鳥井康太の暗殺は誰が?」 「それは…言うと命を落とすしかねぇからな‥‥謂う筈がねぇだろが!」 術者は依頼人の名を明かさない…言えば呪術が自分に返るから… 源右衛門は東矢に近寄った 「死に来たか?桐生院東矢」 東矢は源右衛門を静かに見て笑った 「死に場所には最適。相手も申し分もない」 源右衛門は「憐れな‥‥」と呟いた 康太は長くは呪縛しておけれはしないから決断を下した 「ならば、オレの手にかかれ !」 康太は鞄から剣を取り出すと、鞘を抜いた 桐生院東矢の目の前に妖刀が現れ、紅蓮の焔を放った 康太はその刃を、桐生院東矢に向けた そして空を斬り…闇を斬り…影を断罪して切り裂いた そして桐生院東矢を束縛していた結界を一気に破り…… 呪縛を解いた 康太は刀を鞘に納め、鞄にしまった 「さっ座れよ東矢。」 康太は適当に椅子を差し出した 桐生院東矢は、康太の横に座った 殺されると思っていたのに…何故? 信じれぬ想いで…東矢は源右衛門と康太を見た 「お前を操っている輩を払ってやった 多分…命はねぇな… 仕方ねぇよなオレに刃を向けたんだから。 呪い返しは己の命に跳ね返る」 康太が言うと、源右衛門は 「仕方あるまい…」と、呪術の使い方を誤ったのだから…と切り捨てた 「さてと、桐生院東矢、これからどうするよ。オレを殺すか?」 東矢は、首をふった 「私は元より…人を殺す呪術は使わない… 人を惑わす心理的に追い詰めるのは得意。 君達も知らぬ間に追い詰められたでしょ? だが…それを死ぬまでは…やらぬ…」 観念した桐生院東矢は、分別の解る顔をしていた 康太は呪術返しをした以上はタダでは終わらないと踏んで言葉にした 「多分…家に帰ると死人が大量に出てるんじゃねぇか? おめぇの失脚する様を今か今かと楽しみに視ていた全員に呪詛を跳ね返してやったからな‥‥ このまま帰ると、疑われるかもな…」 康太が呟くと、聡一郎が「容疑者になってると謂う事ですか…?」と問い掛けた 一生が「呪術返しか…? 呪術を返えされた者は命を落とすって事か?…ならばコイツは最優先で疑われるわな‥‥」と、現実に戸惑い 結構過酷な現実を突きつけられていた 隼人は「お前、年は幾つなんだよ…」と歳を聞いていた 「来月18になります」と東矢が答えると全員が えぇぇぇぇっ!と驚いた 「タメかよ…力哉位かと思った」 康太が東矢の頬を摘まんでいると、康太の携帯が鳴った 着信の名前を見て康太は嬉しそうに笑った 「伊織。もう帰るか? オレは今食堂にいる 食堂のドアを叩けば一生があけてくれるから、待ってるからな!」 と、電話を切った 「一生、伊織が来る」 一生は、あいよ!と立ち上がった 「さてと、じぃちゃんどうする?」 康太は源右衛門に伺いを立てた 「東矢とやら、お前はどうしたい?」 源右衛門が東矢に問い掛ける 東矢は「お好きに…。どうせ死んだも同然ですから…」と、答えた どうせ死んだも同然ですから‥‥その言葉に康太は心臓を鷲掴みにされた様な痛みを感じていた 痛い 痛い 痛い‥‥ 康太は源右衛門を見て 「殺すのは惜しい。 ならば拾うか?異存はねぇな?」と決意の瞳を見せた 「お前の好きにするがよい!」 「お前も良いか?東矢」 康太が聞くと、東矢は「お好きに…」と答えた 「オレを殺す気は?」 再度康太は東矢に問う 「そもそも…私の呪術は人を殺さない…」 その時、食堂のドアがノックされた 一生がドアを開けに行くと、榊原伊織が入ってきた 榊原は食堂に入り、見知らぬ存在に気付くと、その方は何方なんですか?…と、康太に問い掛けた 康太は、桐生院東矢…オレ等に呪術をかけた奴……と答えた 榊原は、ギョッとなった 「東矢、オレにお前を寄越せ…って言ったら、お前はどうする?」 「どう言う意味ですか?」 「お前を寄越せ 別に変な意味じゃねぇからな! お前はオレと伊織のエッチを覗いてたから…誤解してんだな… オレは伊織以外要らねぇんだよ だから、お前を生かしてやる…って言ったらどうする?って聞いてんだよ!」 「抜かずの6回…までしか見てはいない…」 東矢が言うと、聡一郎は東矢の頭を殴った 「人様のエッチは例え見えても覗くものじゃ有りません!」 ブチッと切れた康太は成敗してやる! と、刀を取ろうとした 榊原は、慌てて康太を腕に抱き締めた 康太を抱き締めたまま、榊原は椅子に座った 榊原の膝の上で康太は不貞腐れていた そんな康太を余所に、榊原は東矢に声を掛ける 「君は康太を殺す気だった? 殺す気だったのなら、僕は何があっても君を殺しますよ?」 笑っているが身が凍りそうな瞳に…東矢は身を竦めた 「殺しはしない…」 東矢が榊原に訴えると、康太は果てを見て、言葉にした 「じぃちゃん、そろそろ動かねぇとな…」 と問い掛けると…源右衛門は、そうだな…と答えた 「東矢、お前は桐生院を棄てろ…」 康太が言うと東矢は、はい。と答えた 総ては…君の想いのままで…構いません…と。 源右衛門は立ち上がると 「東矢は、呪術師 弥勒院に預けるしかないな…。」 宣言した 康太も「彼ならば、東矢を育ててくれるな…と同意した 「ならばアリバイを作らなきゃな…」 康太が思案する すると聡一郎が東矢に「君も高校3年位なのか?」と問い掛けた 「翠蘭高校3年…」 と、答えた 康太は東矢に、 「ならば転校しろ! 多分…お前の親族は…全員…逝ったぞ…」 と、現実を告げた 東矢は何も言わず頷いた 「ならば来い! じぃちゃんは弥勒院の方へ先に行っててくれ オレは転校手続きしてから行くからよ」 康太が立ち上がると、全員が立ち上がった 「書類がねぇんだな…」 康太が呟くと、榊原が「見学で良いんじゃないですか?」と、提案した 康太も一生も聡一郎と隼人も「だな。」と、納得し食堂を出た そして職員室まで行き、転校するなら何が必要か…尋ねに行った 編入試験を受けて合格したら転校出来るので……と、詳しい話を聞いてアリバイを作った 康太は東矢を連れて弥勒院へ先に向かう事に決めた その後に源右衛門の所へ送っていく その前に、桐生院の家へ向かった 桐生院の家の前には警察が非常線を張っていて…入れなかった 警察は東矢の姿を見付けると、家族の不幸を告げ 今まで何処へいたのかを…問い詰めた 聡一郎は東矢に寄り添い、事情を話した 東矢は警察に任意で連れていかれた… そして警察で何度も同じアリバイを聞かれた 桐生院は、最近家督争いをしていたから、警察も警戒していた 聡一郎は弁護士を入れようと、手筈を整えようとした時… 事件性のない心臓麻痺と司法解が上がり 東矢へかかっていた嫌疑が晴れた 聡一郎は、自分の過去に東矢の過去を重ね… 投げ槍な生き方に胸を痛めた 警察から釈放されるのを聡一郎はずっと待っていた 康太も榊原も一生も隼人も…警察の通路で待っていた 東矢は…義母も義弟も叔父も…親戚も…一度に亡くし…天涯孤独となった ある意味……血の繋がった叔父も…東矢の命を狙っていた…と聞き 聡一郎は東矢に自分を重ねていた 警察から解放された東矢を聡一郎は支える様にして歩いていた 康太は、力哉を呼び弥勒院まで乗せて行く事となった 力哉の車とタクシーに分けて乗り込み、弥勒院まで向かう 「東矢、お前の戸籍は弥勒院の術師 弥勒高徳の所へ入れる 良いな?弥勒と共に生きろ」 康太が言うと東矢は、はい。と返事をした 車が弥勒院に着くと、力哉は車を停めた 「康太、此処で間違いはないですか?」 力哉が聞くと、康太は 「有ってるよ。力哉も来るんだ」と、告げ車を降りた 弥勒院は……古い…嫌…ボロい…道場だった そのボロ道場の玄関を開け、康太は東矢を家の中へと、連れて行く すると、家の中にTシャツにジーパン姿の役者張りに顔のイイ男が座っていた 康太を見つけるなり瞳を輝かせ 「よっ!康太! 愛欲の日々で鈍ったって? 龍騎が言ってたぜ」と言ってのけた と、失礼な男は、姓を弥勒、名を高徳と言う、かなり能力の高い術師だ 修行時代、紫雲龍騎と同じ釜の飯を食い修行した事もある 「弥勒、オレは新婚だ。多目に見ろ…」 康太がそう言うと弥勒は、康太の肩をベシベシ叩いた 「お前の影のように横にいるのが伴侶か? お前は面食いだな…お前等は似合いじゃ」 弥勒は、爆笑した 康太は弥勒の前に東矢を出すと 「頼めるか? 桐生院を捨てさせた、お前の親族の養子にして、何時か弥勒の術を別けてやってくれ 何れ飛鳥井でオレが使うから!」 弥勒は、東矢を見てほほう…と唸った そんな弥勒に康太は 「桐生院を潰した…」…と告げた 弥勒は…康太を見て 「お前の神器で総て見ていた。 お前に何かあったら…出るつもりでいたからな…」 と総て知ってる事をバラした 康太はニャッと笑った 「弥勒、お前に預ける。育ててくれ!」 「オレの奥さんを説き伏せろ…康太。」 康太は…そう言われ…嫌な顔をした 「お前の妻は…京香の姉…。 烈々な歓迎は…遠慮したい…」 康太は榊原に抱き着いた 「そう言うな。お前が頼めば聞いてくれる 俺が勝手に預かると文句を言われる…。」 康太の首根っこを掴むと、榊原から離した そして、裏の綺麗な家に皆を連れて行く 「澄香、康太がお前に頼みか有るらしいぜ!」 と、弥勒が言うと奥から凄い足音が聞こえ…康太に飛び付いた 「逢いたかったぞ康太! 伴侶を得てから全く逢いには来てくれぬ! 京香は救ってくれたのに…私に逢いに来ぬとは、僻むぞ私は!」 京香に良く似た容姿の美人が、康太に抱き着き、恨み言を述べる… 康太は抱き着く美人の名前を呼んだ 「澄香…許せ…。」 「こんなに愛しているのにな…。康太は冷たい」 「その台詞は…弥勒に悪い。」 康太がそう言うと、弥勒も康太に抱き着き 「大丈夫だ。俺もお前を愛してるから。」 と、弥勒は康太の頬にキスした 「澄香…オレの頼みを聞いてくれ。」 「お前の頼みなら何だって聞いてやる!」 康太は澄香と弥勒を着けたまま源右衛門に助けを求めた 「頼むから、家に上げてくれ! じぃちゃん何とか言え!」 源右衛門は仕方なく澄香の前に姿を見せた 「そろそろ、康太を離してやってくれ…」 と、頼み込んだ 「源右衛門の頼みは無下に出来ぬ。」 澄香は、康太を離して皆を家に上げた 康太は榊原に抱き着き、家に上がっても… 榊原の膝から降りなかった 「澄香、弥勒のじぃさんの戸籍でも良い。 東矢を桐生院から抜けさせ、修行させてくれないか?」 康太がそう言うと、澄香は 「お前を殺そうとしたのに…お前は救いの道を与えるのか?」 と、康太へ問い質した 康太は澄香に、 「オレは殺されてねぇ! そしてコイツは直接手を下してねぇ コイツを操っていた奴は、呪詛を跳ね返されて命を落とした それで良い! オレは東矢に違う道を用意して、再生する 人はチャンスを与えられて良い筈だ 違うか?澄香?」 康太がそう言うと、澄香は降参するしかなかった 「そうやって許した奴を飛鳥井康太の懐に入り、お前は取り込んで行くんだな…」 康太は果てを視て 「それが定め。 人は許されてこそ先へ進める 与えられたチャンスを生かすかダメにするかで…道が別れる 棄てる命が有れば、オレは拾う」 笑って答えた 「本当に…菩薩並みに器がデカい奴だわ」 澄香はキラキラに輝く康太の魂に、人を惹き付け離さない魅力を感じる 康太は榊原に手を出すと、榊原は胸ポケットから封筒を差し出した 「澄香、これで東矢の身支度をしてくれ 桐生院のモノは総て棄てた。頼むな」 康太は分厚い封筒を澄香に渡した 「ならば、帰るとするか! 澄香、来年になったら、お前の妹と来るわ」 康太が立ち上がると、澄香は 「妹は…幸せだの…お前に愛されて…」 「澄香…僻むな。オレはお前も愛してる」 「そんな事を言ったら…桃香に僻まれるな」 康太はたらーんとなった 「桃香には先日、手を治してもらった でもな、忙しかったからな…恨まれてるな…」 「今度、3姉妹揃おうぞ そしたら全員で康太を取り合ってやるわ」 と、澄香は笑った 康太は早々に退散の姿勢に出た 車に戻った康太は疲れ果てていた 「最近のオレは熱烈歓迎され過ぎてるやん…」 康太は愚痴る そんな康太を膝に乗せ抱き締めながら榊原は、 「あの方は京香さんの御姉さんなんですね?」 と尋ねた 「そう。真壁の家は昔、兵藤の家の近くに有った 今空き地になってる…場所だ 真壁の家の自慢の三つ子…それがあの姉妹だ 長女の澄香、次女の京香、三女の桃香 長女の澄香は、弥勒と結婚し 次女の京香は、瑛兄と結婚し 三女の桃香は、紫雲龍騎と結婚し 家を出た。それを機に真壁の家は引っ越した それが破滅の始まりとも知らずに…」 康太が言うと源右衛門は、 「3姉妹は、皆、康太を愛しておった 康太一筋、昔も今も… そしてその伴侶も康太を、溺愛し……その想いごと…結婚させたのはお主じゃ 仕方あるまい…」 と、厳しい言葉を投げ掛けた 「じぃちゃん…」 「お前はその想いを…努々忘れるでないぞ…」 「解ってんよ。」 「ならばよい。」 「でもよぉーじぃちゃん…オレの周りには美人だが男前しか、おらんかんな」 「今更、しっとりしたおなごに近寄られたいのかお主は?」 「………要らない…」 「ならば文句は言うでない」 源右衛門に怒られ、康太は榊原に抱き着いた 車は飛鳥井の家に着き、駐車場に停まった 「濃い一日だったわ…」 康太はついついボヤいた…

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