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第11話 宴

悠太が飛鳥井の家に戻って3日 康太は悠太の来る前に食事を終わらせ、重ならない様に避けていた 同じ家にいるのに、悠太は康太を見ない… そしてその週の土曜日 榊原の両親が招かれ、新居祝いがなされた 康太と榊原の寝室を目にした清四郎と真矢、笙は、あまりの立派さに驚いていた 誰よりも広い部屋とスペースを、康太と榊原に宛がわれていた 子供部屋になる四部屋の前には、広い空間が作られ 子供と遊ぶには十分だった そして一番奥の部屋のドアを開けると、そこが康太と榊原の部屋になっていた 広いリビングとリビングを囲むように窓は広く作られ それに負けない位のTVが置いてある。 そして全体的に広々とした空間が広がっていた 康太と榊原の寝室には大きなベットと洒落た家具とテレビが備えてあり 寝室の横には広い浴室があり、洗面所もあり洗面所の横にはドラム洗濯機が置いてあった 寝室の隣には榊原の書斎があり、そしてもう一部屋あった 隼人が部屋に慣れないなら、そこで寝るかも…なんて心配して作られた部屋 榊原の家族は康太と榊原の部屋を一通り見て、飛鳥井の家族に頭を下げた 「こんな立派な部屋を用意して戴いて、伊織は幸せ者です。」 頭を下げる清四郎に玲香は、およしになって…と、止めた 「この部屋の家具ばかりか、一生達の部屋の家具までご用意下さり、本当にありがとうございました。 伊織は綺麗好きで、この部屋の掃除は怠らない。 洗濯もこまめにして、本当に関心な子です 週に何度かは他の部屋の廊下のモップもかけておる。 本当に感謝してるのは此方の方です。 申し訳なく思っております。」 玲香の言葉を聞き、真矢は眉を顰めた 「伊織の綺麗好きは健在なのですね…」 と、嫌な顔をした 「朝早くから洗濯をして、暇を見て掃除をして、うちの康太じゃ…そうはいかぬ。 本当に伊織は働き者じゃ 玄関も欠かさず掃除をしてくれておるし、応接間も暇があれば掃除をしておるな…伊織は。 康太を触らん時以外は働き者じゃ」 真矢は玲香に頭を下げた 「伊織の潔癖症は祖父に似て…行き過ぎな所が有ります。迷惑なら仰って下さい…」 「真矢さん、うちは伊織のする事に何も言わねぇよ。 伊織が綺麗好きなのは、うちにもありがてぇ うちは忙しい人間ばかり オレは触ると壊れるから触れない。 伊織が来てから、うちは掃除業者に依頼をしなくて良いと、母ちゃんは感謝している オレの愛する伊織は、飛鳥井の家族に感謝されてる。 それで良いではないか そしてオレもピカピカに磨かれてるしな、以前は風呂に入っても寝てたし、体洗うの面倒で…濡らしてたのが…今じゃピカピカだかんな。 飛鳥井の家も、この部屋もオレも、伊織の好きなだけ磨けば良いんだよ。心配すんな。」 康太はガハハハッと笑った 真矢は、康太ちゃん…と呟いた 「母さん、今は康太のいる場所や動く場所だと想うと磨かずには要られないのです…。 昔は自分の為でしたが、家では母さんに嫌がられ、寮では同室者が逃げて行きましたが、飛鳥井の家では何も言われないので…ついつい磨いています…。」 榊原もつい情けなく…呟いた 「伊織、気にするな うちは感謝してるって言わなかったか? オレも伊織の潔癖症は気にならねぇ 磨きまくれ、伊織。気のすむまで磨け」 と、榊原を慰め、康太は話題を変えるかのように、笑顔で榊原の両親と笙にお礼を言った 「オレに伊織をくれたばかりか、こんな素敵な家具まで揃えて貰い、本当に感謝します。 清四郎さん達の家は、オレが運気を呼び込み創るから、待ってて下さい。 後、一生達の部屋の家具も揃えて下さり、ありがとうございました。 後で下に降りる時に、一生達の部屋も覗いて下さい。」 と、ペコリと頭を下げた 「今日はゆっくりして行って下さい 源右衛門の部屋が出来上がったので泊まって行って下さい 」 榊原の腕が康太の腰を引き寄せる 康太は榊原に抱かれながら、笑って言った 玲香は「ならば下へ向かいましょうか?」 と、告げた 康太と榊原の部屋を出て階段を降りると、一生と聡一郎、隼人が立っていた そして、全員で清四郎と真矢と笙に頭を下げた。 清四郎は一生達に、喜んでくれたら嬉しいよ。と告げ下へ一緒に行こうと誘った 応接間に行くと、変貌を遂げた姿に清四郎家族は感嘆の溜め息を出した 「流石は飛鳥井建設。凄いですわ。」 真矢は癒しの空間を見渡した ソファーも増やし、テーブルは大きくし、宴会好きの飛鳥井家らしい。 清四郎はソファーに座り、寛いでいた 真矢も笙もその横に座った 康太は榊原の耳元で、笙さん結婚したの清四郎さんは知ってんの?と聞いてみた 榊原は康太の顔を凝視する 「まぢですか?」 「まぢです!」 康太がそう答えると、榊原は笙の方を見た そして康太の耳元で、相手は誰ですか?と尋ねた 康太は「年上の女優、神崎帆波。」と答えると、笙は康太を凝視した そして康太に「見えた?」と尋ねた 「神埼帆波との間に、先月子供も産まれた 極秘だがな、双子だ。」と、リークされてない情報を次々に暴露した 清四郎は、何の話をしてるのか…康太へ尋ねた 「清四郎さん、それはオレの口から言う事じゃねぇ 笙に聞け 笙、親に隠すな! 例え×2の子持ちの女でもお前が選んだ嫁であろう…」 康太が言うと、笙は頭を抱えた 康太は榊原の首に腕を回し、余分な事言った?と聞いた 「子供まで産まれて黙ってる兄さんの所為でしょ…気にしなくて良いです。」 榊原は、辛辣な言葉を投げ掛けた 康太の会話を聞いた聡一郎の頭脳PCが動き出す 「神崎帆波、今30歳、×2の子持ち。 子供は今小6年と小3年の女の子が二人。 あのナイスバディにやられましたか…」 と、またまた辛辣な言葉を投げ掛けられた 笙は観念して両親に向き直った 「ある意味踏ん切りがついた。 ありがとう康太 言う機会をなくすと、言いずらい…。 父さん、母さん、僕は極秘ですが、結婚しました……。 相手が×2なので、反対されると…想い黙ってました…今度紹介します。」 笙は頭を下げた 真矢は「反対などしません 紹介はして下さいね でも、同居は止めましょう。 距離を持てば上手く行く。 だから貴方も紹介を躊躇ったのでしょ? 康太の様な嫁ならば反対はしません。 伊織を…息子を盗られたとは、思えない。 康太に与えたい…康太と伊織を何としてでも護りたい…そんな想いは康太ならではの事 女とはそんな生き物なのです。 況してや私も女優、あっちも女優では、上手くは行きませんね。」と、現実を告げた 笙は母の言葉を静かに聞いていた 「とにかく目出度いって事で! さぁ食うもんよー 飲むもんよー 料理を持って来るかんな オレが持って来ようかな…」 立ち上がろうとする康太を榊原は止めた 康太と暮らして解った事は……康太は雑い 見込みで何でもやるから、壊れる、割れる、ぶち落とす だから飛鳥井の家の人間は康太には触らせない、動かさない 悠太がせっせと支度をする 康太は何も言わず清四郎を見ていた 悠太は耐えきれず…康太に抱き着いた 「康兄…。許してよ…」 こうして姿を見れる時に言わねば…康太は悠太と逢うことなく動く 「悠太。オレの側にいたいなら、聡一郎の言うことを良く聞け 解ったな。次は叩き出すからな。」 と、言うと嬉しそうに頷いた デカい身体でなつく姿は暑苦しいかも… 「悠太、仕事しろ オレが出るか、お前がやるか…どっちだ?」 康太が言うと、悠太は立ち上がり仕事してくる…と、動き始めた 飲めや食えやの宴会に突入すると、飛鳥井の家族は底無しで、ついでに力哉も底無しだった 「清四郎さん、血を分けた孫が増えましたね。」 と康太は清四郎に声をかけると、 「康太と伊織の子供も、笙の子供も子供は可愛い宝です ですが、笙の方は上に二人、連れ子がいますからね 贔屓になるなら見守る ですから、やはり康太の子供を触りまくるつもりです。」 清四郎は思慮深い男だから依怙贔屓はしたくはないのだろう 「清四郎さんの好きにすれば良い。 飛鳥井の家のドアは何時でも開いてる 好きな時に好きなだけ、いれば良い 」 康太は笑って清四郎に声をかけた 榊原は康太の皿に、せっせと好物を置く 食べるのと、話すのに忙しい康太は……落ち着きがない。 爆笑しながら飲むから、飲んでいたジュースを…服の上に溢した 「康太!………」 あーぁ、やっちゃった… と榊原は悠太にタオルを渡され、康太を拭いた 康太は濡れた服を脱ぎ捨た 「ごめん…伊織、やっちゃった 」 キスマークの着いてる体を惜しみもなく曝した 悠太にタオルを濡らして来てもらい、康太を拭くと、榊原は濡れた服を片手に持って立ち上がった 「着替えを持ってきます。 次に溢したら、もうジュースは取り上げますからね…」 康太はうるうるの瞳で榊原を見て頷いた 榊原は応接間を出て、3階の自室に着替えを取りに向かった 「伊織に怒られた…」 康太が呟くと一生は、おめぇはドジっだからよぉ、って笑い飛ばした 康太は立ち上がると、サンルームへ出た 飛鳥井の家族や榊原の家族は、康太の裸に、目のやり場に困っていた 清四郎は榊原の凄い執着を康太の体に見た キスマークも、ピアスも…、足のアンクレットも。 榊原の所有権を主張していた 康太は硝子張りの空を見上げ、腕を伸ばした キラキラと光る胸とヘソが神秘な雰囲気を醸し出していた その時、無風な筈の応接間に風が吹き抜けて行った 康太は唇の端を上げて笑った 「瑛兄、榊原の家と、隼人の事務所の建設は、来月には地鎮祭に漕ぎ着けれる様に探す 基礎工事をした後10月11月、12月とかけて工事に取り掛かる 春には入居に漕ぎ着けれる様に、飛鳥井の精鋭を配置する。」 康太が言うと、瑛太は 「総ては君の想いのままに。」 と頭を下げた 榊原が応接間に戻って来ると、康太はサンルームにいた 康太に近寄り服を着せると、ヒョイと抱き上げソファーに連れて行った そして榊原は、父親に向き直り 「父さん、僕は先日、瑛太さんに車を買って貰いました 黒のアウディです 最初は瑛大さんと同じベンツと、言ってたのですが、初心者の僕には恐れ多いので…。 本当ならアウディでも恐れ多いのですか…。」 と、報告をした 清四郎は瑛太に深々とお辞儀をした 「瑛太さん…すみません。」 瑛太は清四郎を止めた 「伊織は既に飛鳥井の家族です 免許を取った弟に、車を与えるのは兄の務め! 気になさらないで下さい 清四郎さんも近くに越してみえる事だし遠慮は無しで付き合っていきましょう 長き付き合いになりますからね。」 瑛太はそう言い笑った 康太は清四郎に 「認めあい、支えあい オレ等は生きて行く そこに愛があるなら、助け合っていける 例え血は繋がらなくとも、オレ等は家族だ 清四郎さん、遠慮は抜きでな。」 と瑛太の想いを補足した 清四郎は、泣きながらお酒を飲み、妻の真矢は料理を楽しみ、夫を見ていた 笙は蒼太が忙しくて来れなくて、源右衛門と酒を飲んでいた 康太はサンルームで横になり眠りこけ 榊原に抱かれて寝室に向かい 隼人は、一生に無理矢理起こされ自室に連れていかれた 聡一郎は、悠太に世話を焼かれて自室に戻り 夜更けまで宴会は続いた

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