12 / 55

第12話 想いを乗せて

人の想いは募れば、狂気 深まれば愛情へ 姿を変えて 紡ぎ出される 想いの糸 中、高、合同桜林祭まで、後5日 桜林祭の予行演習が行われた ゼッケンを購入しなかった生徒は中等部も高等部もほんの数人で、康太の思惑通りに進んでいた PCでの管理も、予行演習で問題なく把握出来、当日に向けチェックに余念がなかった 中等部の執行部に戻った悠太は、精力的に動きその力量を見せ付ける仕事をしていた 康太は朝礼台の上に乗り、PCの画面を覗き込んでいた 耳にはインカムが着いていた 「貴史、動かせ!」 康太の号令で中等部の生徒が動く 「好き勝手に動かせて!」 好き勝手に動け!と号令を出すと適当に動き 「貴史、高等部を投入しろ!」 高等部動きやがれ!と叫んだ 「OK。これで当日に間に合う。」 康太が言うと兵藤は、そうか。と呟いた 「貴史、前日は早く学校から上げろ。 弥勒に手伝ってもらって要所要所に結界を張る。」 「了解。ならば今日は解散じゃぁ!」 兵藤が叫んだ 「お疲れ、康太 食堂に行こうぜ 昼は奢ってやる アイスも着けてやる。」 兵藤が康太を食堂に誘う 康太は「何か裏でも有るんか?」と疑った 「裏有りだ。奢られろ」 兵藤が笑って康太を促す 康太が歩くと、一生達も移動する 榊原は、康太の姿を見送っていた そんな榊原を見て清家は 「よいのか? お前の妻が兵藤に連れて行かれたぞ 」 と揶揄した 「後で合流しますよ。 まだ遣る事が有るでしょ?」 校庭にはまだ生徒がいる 榊原は、自分のすべき仕事を片付けて、淡々と仕事をこなしていた 昼食を平らげた康太は、兵藤に向き直った 「話しは?何んだ?」 「話はねぇよ 話があるなら飛鳥井へ行くってば!」 兵藤は、笑った 「なら労力代だな。オレの!」 「そう言う事だ。」 兵藤は、康太が食べるのを見詰め…食べ終わると帰って行った 兵藤を見送り聡一郎は「刹那過ぎる…」と呟いた 一生は「仕方がねぇよ」とボヤいた 「さてと、オレは車校に行くかんな!」 康太が立ち上がると、隼人も立ち上がった どう言う訳か一生も聡一郎も立ち上がり着いて来る 「車校に用はないがな…お前等は…」 康太が言うと、一生と聡一郎は監視と告げた 「あっ!監視がもう一人。」 聡一郎が榊原の姿を見つけ言う 「伊織は、行かねぇよ…」 榊原は立ち上がる康太の横に行くと、何がですか?と、聞いた 「オレ、これから車校。」 「ならば、行きますか。」 と、さらっと言い、聡一郎がホラっと笑った 皆で校門を出ると、ステップワゴンが停まっていた 横を通り過ぎようとすると、運転席の窓が下がった 「待ってたんだよ。乗れや康太!」 神野が運転席で、康太達を招いていた 「オレはこれから車校だもんよー!」 「なら送っていってやる 帰りは飛鳥井へ寄る。乗ってけ!」 神野の横には小鳥遊が座っていた 榊原は躊躇する康太をヒョイと持つと、車内へ入っていった 一生も聡一郎も隼人も乗り込むと、車は走り出した 榊原は、康太を膝に乗せた乗せたまま離さなかった 「伊織、昨日は、踏み切りをぶっちぎって怒られた オレは運転向きじゃねぇのかな…」 康太が榊原に悩みを話す 康太はとにかく大雑把なのだ 後、勘でやる だから踏み切りをぶっちぎって走ったのかも…… 「僕は康太に免許は取らせたくないかも…」 榊原は呟いた 車校に行くと、康太を見付けた生徒が近寄って来る とにかく女の子に康太は人気がある 男性にも人気があり、榊原は、毎日見張りに来なければ!!!!!! と、心に決めた 受付のお姉さんにも受けが良く、何やら話して笑っていた そして手にカードを持って、教習車へ向かう 隼人も康太と共に笑って話をしていた そして同じ様にカードをもらい、教習車へ向かった 「康太君!」「よぉ康太!」数々の声がかかり、榊原は妬いていた 「旦那、妬くな 此処にいる人間は、卒業したら無縁な人間妬くに価しねぇ」 榊原は、解っていても…盗られたくはないのだ 不安になる 「だから言ったじゃんか 康太は人気が有るって 老若男女モテまくるって言ったじゃねぇか! だが康太の伴侶はお前一人だ 安心しろ! 康太は現真贋 真贋の伴侶は生涯一人 お前だけだろ?旦那 」 榊原は、苦笑した 教習車も終わり、学科も終わると康太は榊原の方へ歩き出した 康太の姿を見付けて歩み寄る女の子の横を、お疲れ!と、言い康太は過ぎて行く 女の子は康太の事を見送っていた 「伊織、お待たせ。」 康太が近寄ると榊原は立ち上がった 「さぁ神野、帰るぞ!早く帰るぞ!」 神野と小鳥遊は立ち上がり、康太に続いた 康太の前に、凄い美人な女の子が来ると 康太をお茶に誘った 「ごめんな オレは個人的に付き合うつもりはねぇかんな お茶に誘われても行かねぇ」 と、言い捨て、康太は歩いて行った 隼人もあっちこっちで誘われ、ヘトヘトだった 康太の所へ走ると、見向きもせず歩いた 駐車場にある神野のステップワゴンに乗り込むと、康太は榊原の膝に乗り首に腕をまわした 隼人は一生の膝で甘えていた 神野は「凄い人気だな康太は…」と、尋ねると 康太は何も言わず榊原に、抱き着いた 「疲れるんだよ本当に! うざくて堪らねぇ‥‥飛鳥井って名に釣られてあわよくば‥‥とオレと付き合ってくれって奴が、後を断たん 何かの策略か…妖術か…男も女も体に触ろうとする… 昨日なんて婚姻届持ってきた奴いるし… 拉致られたら逃げれねぇかんな…怖いもんがあるよな…隼人…」 康太と隼人は毎日こんなに命からがら闘って帰っているのかよ…って一生は呟いた 「一番怖いのは…やらさせてあげる…ってトイレに誘われるのは辟易する…」 康太は榊原に抱き着き、訴える 隼人も「スカートの下…パンツ履いてなかった… もうベタベタよ…なんて迫られたのだ…」と涙ながらに訴える 「男も口説いて来るかんな」 一生は頭を抱えた そして、ふと思い出す 「俺等が車校に通ってた時は、そんなにモテなかったよな…」 と、少しだけ僻む 聡一郎が「僕達は大体一緒にいたからでしょ?…」と言うが、一生は納得しなかった 「このままじゃヤバイな…」 一生が呟くと聡一郎が何が?と、聞いた 「車校へ行く時間を考えねぇとな 拉致られたら…まぢで困るわ…」 と現実を告げる 康太は榊原に「なぁ伊織、洗って、洗って欲しい… 触られたもんよー、洗って…」 と、熱烈な行動に榊原に洗ってって頼んでいた 一生は「神野、このままじゃ免許とる前に二人が拉致られそうだわ。」と、訴えた 「教官が…オレの腿を触るのも堪えれんし…オレ、免許諦めようかな…」 ついつい弱気になる康太を榊原は抱き締めた 神野は飛鳥井の家まで飛ばした 家に着くと、康太は榊原に抱き上げられて自室へ連れて行かれた 制服を脱がし、全裸にすると榊原も制服を脱いだ そして康太を浴室へ連れて行く 「犯されそうになった?」 榊原は康太の体にシャワーを浴びせながら聞いた 「それはないが、触りに来る トイレで待ってて、体を押し付けて来ることもある。 男も女も…直ぐ触れて来て、誘いまくる」 榊原は康太の体を洗った 「毎日…着いて行こうか?」 「それは大変だから無理だ」 「僕の康太が触られる…許せないんです!」 「なら免許は諦める オレには力哉が要るしな 免許がなくても困らねぇかんな」 康太……! 榊原は、思いきり抱き締めた 洗ってる手が後ろに伸び…康太の穴を弄る 浴室に…康太の甘い喘ぎが鳴り響いた 浴室から出て、服を着ると応接間に顔を出した 神野を置いて来てしまったからだ 康太が応接間に行くと、瑛太も帰って来ていた 「康太、神野から聞いた 車校に掛け合おうか?」 瑛太が心配して声をかけて来た 「異常なんだ… オレって呪われてる?」 康太が瑛太に泣き付いた 瑛太は…状況を聞いて 「呪い…って言うより、やはり欲しいのだろうな… 話をして知れば知る程欲しくなるんだろ?」 と、結論を出した 「パンツ履かねぇのが今の流行りか…」 康太は呟いた 隼人も「オレ様の手を取り…股に手を入れた女がいた… ベタベタで臭くて康太に洗って貰った…」と、熱烈な行為を吐き出した 榊原は、康太もですか?と、尋ねた 「パンツ履いてねぇから…入れても良いわよ…なんて誘われても…困る…」 康太は嘆いた 「オレは伊織の体じゃなきゃ勃起しねぇかんな… パンツ脱いでても無駄だ‥‥勃起せんし‥‥」 康太、心の叫び あんまし聞きたい人はいないかも 嫌……一人だけしか聞くと喜ぶ奴はいるか… 「康太…叔父には私が掛け合おう。」 瑛太は目眩を堪えて、康太に言う 「瑛兄…。」 「学科は家で教わるか、教習車に乗るのは営業後とか考えて行かないと、拉致られて持っていかれたら…大変だ。」 「ごめん…瑛兄…」 「最近、康太は可愛くなった。 伊織の愛で康太は綺麗になった… その上にもって生まれた気質も加え… 欲する人が増えたんでしょう…」 瑛太が言うと、一生も口を開いた 「学園での康太の人気もすげぇ上がったな… まぁ恋人が榊原伊織だから、誰も近寄ろうとはしないけどな…… 側にいたい…とか、一目みたいみたいって奴はすげぇわ 本人ちっとも解らねぇみたいだがな……」 本人無自覚…… う~ん、どうしたものか… 康太は榊原の方を見た 「オレって可愛い?」 全員大爆笑した そう言う奴ではないのが、飛鳥井康太なのだ 「可愛いですよ。」 榊原が応えると 一生が「旦那の眼には!だぞ!!」と、念を押した 「オレの生活環境がこの一年で変わったからな… 学園の外での生活に着いていけてねぇな」 榊原と暮らす様になってから、変わって行った世界なのだ 多分…榊原と暮らさなきゃ…… 今も何も変わることなく暮らしていたかも…… 一生は「お前は元々人気は有った 老若男女お前と仲良くなりてぇ奴は多かった だがやはり旦那との出逢いで、お前は化けた それが一番の原因だろうな……」と今の康太の状況を話す 聡一郎も「康太は伊織に磨かれ愛され、時々艶っぽい 滅多に見れないけど愛され疲れを見せたり艶然と笑う時、ドキッとして、また見たくなるのかもね… 僕達は康太に慣れすぎてるんで、順応してるんですけどね! 」と淡々と語った 隼人も「康太をスタジオに連れて行くと、神野の所へ必ず連絡が入る 今日スタジオに来てた子を撮りたい…と 熱望されてるのだ。」と、康太はプロの目にも惹かれるのだと告げた 隼人の言葉を受け神野も口を開いた 「写真家の重鎮が康太の写真を隠し撮りしてたのを見た時は……困ったな 康太は飛鳥井の真贋 それ以外になれないのだからな…。 幾ら出しても撮りたい…と頼まれても…無理だから困ってるんだよ 隼人に康太をスタジオに連れて来るなと言えと、小鳥遊に言うと、それは無理だ…と、言われ喧嘩になるんだよ! 」 と神野は愚痴った 康太は小鳥遊を見た 「喧嘩の理由ってオレかよ。」……と。 そして康太は一生に鏡を要求した 最近本当に鏡を見ていなかったから… そんなに劇的に美しくなっちまったのか…と。 一生は鏡を康太へ渡した 鏡を見た康太は、鏡の中の自分を見る ………………………変わってねぇ! 結論は出た。 「なぁ一生、オレは寮に入る前と、何にも変わっちゃいねぇ気がするんだが……」 鏡の中の飛鳥井康太は、榊原伊織と結ばれる前と大して変わってはいなかった 「何か顔がキラッキラになったとか イケメンになったとか 変身して別人になったとか……してたら笑えんだけどなぁ 」 一生は、鏡を取り上げ康太を叩いた 「そんな脱皮したように人間は変われるか! 漫画じゃねぇんだからよぉ!」 康太は腹を抱えて笑った 「オレの伴侶は伊織だけ。 オレの友は一生、聡一郎、隼人だけ。 そして家族と力哉が要れば、オレは他は要らん。切り捨てるのみだ。」 康太はさらっと言ってのけた 一生が「隼人も雰囲気変わったよな…。 仕事を再開してから、持つ雰囲気が変わった 多分、康太が一条隼人の本来の姿に軌道修正したんだろうな。聡一郎の様に。」と、現在の要因を述べた 神野も小鳥遊も、それは感じていた 康太は笑って神野の目を見据えた 「隼人はこれから劇的な変化を遂げる 使える役も、撮れる写真も変わる 男に成ってくんだよ隼人は。少年から青年へ 隼人は男へと変貌を遂げるんだよ。」 康太の横で甘える姿とのギャプ…… そんなギャプを遺したまま、大人の男へと導くと言うのか… 「オレ様は、康太の横にいる為に頑張っているのだ。」 康太に擦り寄る 二人の姿は、これからも変わりはしない 変わることなく…隼人は変わるのだ 「瑛兄、友が恋人を連れて来てるんだ、もてなしてやれ そしてオレに何か食わせろ!」 と、康太が催促すると、瑛太は横にいた力哉に、頼む…と声をかけた 聡一郎は立ち上がり、力哉と共に段取りをする 康太は榊原の膝でゴロゴロ その上に隼人も乗り、ゴロゴロ 「隼人、重いってば…」 苦しさに仰け反る康太の一瞬見せる顔に… 男なら下半身が直撃の衝撃を受ける… 榊原は康太を隼人から助けだし、持上げた 無自覚な康太のもたらす色香の衝撃を周りは、何とか理解する 神野は瑛太に「おい…」と声をかけた 瑛太は神野に「解ってる…」と答えた でも……何も出来やしない 飛鳥井康太に自覚しろ…って言っても、多分彼は理解出来ないだろうから… 人が欲するのは…多分一瞬の康太を永遠に手に入れたくなるのだろう… 康太は榊原の手から抜け出し、一生の背中に、こなきジジィと化して乗ると、一生は気にする事なく笑ってた 聡一郎が、一生の背中に乗る康太を榊原に返すと、一生は肩をコキコキ動かしていた 榊原の膝に乗せられた康太は後ろに仰け反り、榊原を見る 仰け反る姿は…淫靡過ぎて…日々の一瞬が危険なのかも… 悠太が逃げ出した理由を、瑛太はやっと知った 「伊織、18日に弥勒の所へ行く そして19日に学校へ一緒に行く」 「ならば18日は一緒に行かねばなりませんね。」 榊原が応えるのを一生は静かに聞いていた 一生は康太を見た 「行くんかよ…」 一生の呟きに康太は頷いた 「俺は待ってる 」 一生に出来るのは、それしかなかった 瑛太は何故弥勒?と、康太へ問い掛けた 康太は…学校に結界を張りに行く。と告げた 「結界なら前日から行かぬとも…」 言いかけて、他の理由があるからだと、気が付いた 「君、何する気?」 瑛太が問う 「弥勒の処へ血を遺しに行く。」 康太は答えた 「血?遺すとは?」 更に瑛太は問うた 「弥勒と紫雲は血を遺す定め オレと共に行こうとする、二人を適材適所、配置したのはオレだ あの血を来世に受け継ぐ為に配置した なのに血が足らない 血が交合わねば子は遺せない 子を成さねば来世は歪む だから、発情させに行くのさ。」 康太はさらっと言った さらっと言ったが、事の重さに瑛太は目を瞑り遣り過ごした 「瑛兄ん所も、そうだ! 血が足りねぇから男が出ない 次は男を作らせる 京香を使って俺は男を産ませる! 瑛兄は覚悟が必要かもな」 康太は笑った 笑って爆弾を投下した 「弥勒と澄香の前で、伊織とセックスする 起爆剤になりに行くんだよ!」 「康太…」 「オレの子の為に、アイツの子供は不可欠 未来が歪めば…果ても歪む。 オレは歪んだ来世を子供に渡したくはねぇんだよ。 紫雲の子供は一生の子に。 弥勒の子供は京香の子に。 瑛兄の子供には伊織の血を引く子に。 それぞれ、運命は重なり果てへと続く その果てを歪めたら、飛鳥井の真贋は弱いモノにしかなれねぇ 瑛兄がもっと腰を据えて作れば良かったのに、継ぎの真贋は…少し弱い 瑛兄のセックスが弱すぎたのだ! オレは完全な形で継ぎの真贋に引き継がせ、それを終えたら身を引く。 後は新婚気分に戻り伊織と過ごし、瑛兄の仕事を手伝いつつ、一生の夢の完成にオレは心血を注ぐつもりだ。 だから、果ては歪められないのだ 。」 瑛太は、本気で京香と犯れと言われても…やって来たつもりなんだけど…と、呟いた 「発情が足らねぇんだよ。獣の様に交わる事ねぇだろ…」 瑛太は……獣…と呟きフリーズした 「瑛兄んとこは、次は一発勝負だ、失敗出来ねぇかんな 瑛兄には泣いて、腰を使わせるしかねぇもんよー。」 瑛太は…何だか…背筋に冷たいモノを感じていた 康太はニカッと笑って、もうその事には触れなかった そして騒いで…この夜もふけた

ともだちにシェアしよう!