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第38話 矯正②

善太郎は、意味が解らなかった 何故‥‥こうなってしまう? もし此処に兵藤丈一郎が生きていさえすれば‥‥ こんな騒ぎは起こらなかったろう‥‥ 自分の無力さに当主は足元を救われる感覚に陥り‥‥崩れ去った この先‥‥どうすれば良い? 飛鳥井を敵に回して、生き残れる筈はないから…… 康太の瞳が善太郎を、貫いた 総てを視る為に、神経を集中した 康太は善太郎の前に立つと、その前に胡座をかいて座った 「善太郎、お前は父を越せず半端な人間だ 城を作ったのも、父の上を行きたかったから だが、お前は父には及ばん そんなお前は当主の座に着いている癖に、跡目すら決めらずにいる 揺れてばかり、決めかねる 優柔不断が招いた事態だ この城を捨てろ 兵藤は市民と共に在る一族 城など建てて傲るから、お前は乱世を招いた そして、飛鳥井家の真贋に刃を向けた どうカタを取る?お前が決めろ」 康太は善太郎を見ていた 揺れる心が愚かな災いの種を撒いた 善太郎は、康太に土下座した 「飛鳥井家の真贋にお聞きします。 勿論、タダでとは申しません お望みなものを差し上げます ですから、指針をお教え願えませんでしょうか?」 「善太郎、お前はこの城を捨てろ 捨てて丈一郎の原点の地に舞い戻り、その家に住め。 兵藤の一族は、庶民と共にある それを忘れて、傲るから争いになるのだ」 「解りました。この城は捨てます。」 「そして、兵藤の中で争いなど起きない規律を、飛鳥井家の真贋が作ってやる 資産を分散しろ、善太郎 資産を分散して、そこに頭を作れ 当主とはそう言う者だ 頭の管理をするのが当主だ!違えるな! 美緒、資料を見せろ 兵藤の代替えは、今、この時より飛鳥井家の真贋に託された オレが適材適所、選んでやる 文句がある奴は、兵藤の一族から出て行け」 康太は言い捨てた 「善太郎、お前は今回の事件の責任を取って、当主の座を下りろ! そして見守れ 兵藤の、お前の父の作ったものを見守れ」 「はい。総ては貴方の想いのままにします で、次の当主は誰に?」 言われ、康太は思案する 一番相応しいのは、目の前にいる人間しか思い付かない 「美緒、お前がやるか?」 「我は御免じゃ!」 美緒は一蹴した 「ならば、美緒の亭主だ!」 「昭一郎が……まぁ血縁から謂っても文句は出んだろうし、適材かもな。」 「横浜にいても、管理は出来る オレが兵藤のメインPCをいじるから 管理しやすいようにしてやる。」 「ならば、それで良い 昭一郎も暇ではないからな!」 美緒は文句を謂いつつも康太の提案を飲んだ 「事業を、5つに分けて 5つの事業に社長を作らせる 適材適所オレが振り分ける 無能な人間は兵藤にいる資格はねぇ 兵藤って名前だけで、甘い汁が吸える時代は終わらせねぇとな 貴史、人材の管理はお前がしろ お前は人を見抜く目はある 頭脳と、人柄、生活態度、それらが揃って、人は頭と認める 唯、兵藤だからって言って、無能が頭では、終わるのは目に見えている 人事は貴史、お前が後から発表しろ 兵藤の根底から変えねぇとな、腐ったままだ」 康太が言うと兵藤は「了解。」と答えた 「そして、飛鳥井家の真贋に払う対価は、この土地だ この城を壊した後の土地をもらう それで良いか?」 康太は善太郎に問う 善太郎は「異存はありません!」と、全面的に了承した 康太は、戸浪に向き直った 「若旦那、新潟に倉庫が欲しかっただろ? 東北から上をカバー出来る倉庫を探していた だが兵藤の人間に妨害されて買えなかった ならば、此処に倉庫を建てられよ 此処なら海が一望だ 海運に相応しい倉庫が出来る。」 康太は戸浪が欲しがっていたモノを、くれると言う 戸浪は驚いて、康太の顔を見た 「本当に……貴方は……」 戸浪は康太を抱き締めた 「戸浪はこの地を切っ掛けに、世界にも伸びる拠点になる その手助けをする。 それだけだ。」 その為に撃たれたと……言っている様なものではないか! 戸浪は、康太から離れ深々と頭を下げた 「美緒、この城の譲渡をしてくれ 売るのではない。譲渡だ そしたら、この地の人間はトナミ海運で仕事が出来る 閉鎖的な地が解放される時期に来ていたのだ。丁度良い。」 美緒は、早急に対処致します。と告げた 総てを適材適所 配分した後、康太は立ち上がった 「これで、家督争いには幕引きだ。 異存はないな?」 康太が言うと、やはり無能な輩は文句を垂れた 一人が言うと、次々に甘い汁を吸いたがる輩は、後を経たなかった 「無能な輩は、兵藤から去れ! お前達が血縁を断ち切ったのだ 貴史を標的にした時点で、兵藤の血は穢れた 血は一掃せねば腐る 1つが腐ると、みるみるうちに腐る 兵藤は、優秀な人徳のある人間のみ残し、後は切る 文句を言えば、兵藤の資産で甘い汁を吸ったのは明白、その私財も没収するぞ! やる気なら、本気で来い! オレも本気を見せてやるからな! 半端なままで、残りたい奴など、兵藤には要らぬ。立ち去れ!」 こう言われたら、何も言えなくなった 「美緒、帰るぞ。」 康太が言うと、皆、立ち上がった 「善太郎、早目に去らねば、お前の元に談判に来られて、優柔不断なお前はまた考えを変える 去れ! お前はもう兵藤家の当主ではない。立ち去れ!」 康太に言われて、善太郎は退室した 唖然とする人間を残し、康太は歩を進める 兵藤の中から、拍手を送る人間が一人 笑って康太を見送った 康太は歩を止め、その男に目を止めた 「兵藤鳴海。久し振りだな お前がこの場に居ようとはな。」 康太が声をかけると、美緒は知り合いか?と聞いた 「この男は、三木の家で良く逢った 兵藤の名前すら邪魔だと言った男だ。」 康太はそう言い笑った 兵藤鳴海と謂われた男は、口は悪いが物凄い美形だった 鳴海は「康太、兵藤を生かしたな。 だが見事な采配だった。感心したぞ。」賛辞を投げ掛けた 「オレは撃たれた代価を取りに来た。 それだけだ そしてお節介を少し焼いただけだ 兵藤は学友だからな。」 「食えねぇ奴だな…相変わらず。」 「オレを好んで食う伴侶に対して失礼だろ。」 と、康太は笑った 鳴海は苦笑した 「鳴海、また、三木の家で逢おうな。」 鳴海は、康太に頭を下げた 「鳴海、お前の嫌いな兵藤を支える柱になれ それがお前の名の定め。逃げれはせんぞ」 「やはり、そう来ますか 解りました 逃げ続けた人生に終止符を打ちます。」 康太は笑って、その場を後にした そして兵藤の家を後にする為に、バスに乗り込んだ バスに乗るなり、康太は榊原の膝の上で丸くなって眠りに落ちた 兵藤は、榊原に大丈夫か?と尋ねた 「康太は敢えて見ると、疲れて眠る 目に飛び込んで来る時と、敢えて見ねばならない時がある 敢えて見る時は限界を越えた集中力を使う そうすると、こうして倒れるのです。」 榊原の言葉に、康太への愛が垣間見れる 倒れた康太を、榊原は守るように膝に乗せる 誰にも触らせず、誰にも渡さない。 榊原の愛を、兵藤は目にして言葉がなかった 飛鳥井の家へ着くと、榊原は康太を抱いたまま、バスを降りた そして、戸浪や三木、兵藤親子に頭を下げて、飛鳥井の家へ入って行った 飛鳥井の家へ着いた頃には、日付が変わっていた 榊原はドアを開けようとすると…… それよりも早くドアが開いた 開けたのは一生だった 一生は、榊原の腕の中の康太を見て 「眠ってるのか?]と尋ねた 「気絶してます…」と榊原が応えると、一生の顔が歪んだ 「早く寝させてやってくれ 旦那、ご苦労様だったな。」 榊原は、頷き、自室に向かって歩いた 階段を登り、自室の鍵を開けようとした時 康太が榊原の腕から降りた 榊原が鍵を開けると、康太はドアを開き中へと入った 榊原は、寝室の鍵を開けると、康太は寝室に入った 榊原は、寝室に入り鍵をかけた 「寝たフリしてねぇとな、伊織と愛し合う時間が減る。」 康太は悪戯っ子の様な顔で笑った 榊原は、着せた真贋の衣装を脱がせ始めた 脱がせてハンガーに吊るす そして素肌が現れた時、榊原は康太を抱き上げた ベットに寝かせると、榊原は服を脱ぎ 康太に重なった 康太の体にはもう、榊原のキスマークは消えていた 「康太……」 榊原の吐き出す言葉は刹那く、求めていた 康太は榊原の背中に腕を回し、榊原の唇を貪った 離れたくない…… 想いばかりが募る 「伊織……愛してる……お前しか愛せない。」 榊原の指が康太の胸を弄り焦らす 「ぁぁ……あぁっ…伊織が欲しい…」 康太の指が榊原の背中からお尻にかけて撫でる 汗で湿った体を、康太は挑発する 榊原の指が康太の尖った乳首を引っ掻くと、康太は仰け反った その喉元に榊原は舌を這わせ……吸い上げた キツく吸われ、康太は呻いた 「っ…ぅ……伊織…舐めたい…伊織の舐めたい…」 康太の手が榊原に伸びる 榊原の舌が、康太の耳の穴に差し込まれ 「僕は…康太の中へ入りたい」 なんて囁かれ、康太は足を開いた 榊原は、康太の掌にローションを垂らした 「下のお口に塗って…僕を受け入れる準備をして……」 なんて言われ、康太の指が、自分のお尻の双丘を掻き分けて襞を捲り蕾の中へ差し込まれる 入り口を解すように……蠢かせ、掻き回す 「ねっ…伊織……まだ?まだダメぇ?」 榊原の長い綺麗な指が、康太の指の横から差し込まれ掻き回す 「あっ……あぁん……イイッ…」 康太の腰が、妖しく動き、中の指を締め付ける 康太は榊原の首に腕を回し、榊原の唇をペロペロ舐めた 「入れて…伊織……オレの中へ入ってぇ。」 求められ、榊原は康太を抱き上げ膝の上に乗せると、下から一気に貫いた 「あぁっ…イッちゃった…」 貫かれる衝撃に、康太は射精した 「早すぎ…あまり早いとまた縛りますよ。」 榊原は康太の性器の根本を握り締めた 「やっ……やらないでぇ……」 榊原は、康太の鎖骨を吸い上げた 康太の腸壁を激し榊原が擦りあげる 快感の波が、再び康太を飲み込む 康太は榊原の首に吸い付き、キスマークを1つ……仕返しした 「伊織はオレんだから……ィクぅ……」 榊原は、康太を息も着かない程抱き締め体を震わせた 康太の中へ……総てを注ぐ 「僕は康太のですよ ですから所有権を主張したいなら……吸いなさい。」 榊原は、優しい瞳で康太を見詰めた 康太は榊原の首を舐めた 「伊織には1つだけ…… オレのだって印をつけた……オレんだから…誰にもやらねぇ 」 康太の腸壁が榊原のカタチに纏わり着く 口よりも正直な下の口が蠢く 「僕は君のモノです 誰のモノにもなりはしません……康太……愛してます 」 互いの体を抱き締める、転がる 上になり……下になり……互いを求め 抱き合う 重なり……1つに絡まり 体を重ねる 榊原は康太の体に……キスマークの雨を降らせた もう吸うところはない位に…… 行為が終わると…… 二人は動けない程疲れて体力を消耗していた 榊原は康太を抱き締め、後ろの穴に指を忍ばせた そして中の精液を掻き出し……意識を飛ばした

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