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第43話 想い‥‥

その時……副社長のドアノックされ……開けられた 玲香と清隆は、固まった 目の前に康太がいたから…… そして、榊原に抱かれていた…… 康太の表情が堅く……辛そうだったから…… 何故?そんな顔をしている……? 二人はぎこちなく離れると、玲香と清隆は、部屋の中に入った 康太は榊原の上から退くと、服を着た そして自嘲気味に笑い…… 「オレが浮気したから離婚の危機だ。」 と、玲香と清隆に話した 「オレは……伊織に捨てられても……おかしくない事をした。」 康太は被虐的に言葉にした 玲香は何が有った?と尋ねた 康太が……浮気……それは絶対に有り得ない もし、そうなったとしたら……それは……飛鳥井の家の為…… 清隆は、康太のネクタイを嵌めてやり、ソファーに座らせた そして何があったのか…尋ねた 康太は今日の事を一部始終話した そして、瑛太に相談した事も…… 一生達にも話して、瑛太と同じ事を言われた……事も…… だけど……康太は総てを話した 小さな隠し事もしたくなかったから…… 1つ嘘を着くと……その嘘を突き通す為に、また嘘を重ねる それはしたくないと……康太は言った だけど、弥勒は金も、名誉も立場も受け取らない…… 欲しいのはこの世で1つ 飛鳥井康太だけ…… 望めないのなら……… 泡沫の夢でも良い……欲しいと言われたら… 与えるしかなかった 夢だから……と、騙され、与えるしかなかった……と、康太は言った 総ては飛鳥井の為……家の為 真贋として、康太は生きてきた そして、今朝は、その命をかけて、天王寺に向かった 下手したら殺されるかも知れない所へ…… 康太は、飛鳥井建設の為に…… 瑛太の為に…… 体を張り…… 向かった…… そして、それを弥勒が片付けた…… ありがとう……では、終われはしない その身を欲され……差し出すしか対価がないとしたら…… 差し出すしかあるまい 飛鳥井玲香と清隆は、榊原の前に土下座をした それを康太にやらせたのは……飛鳥井の家だから…… 康太がどれ程……榊原伊織を愛しているか…… 「伊織……済まぬ……康太を許してやってくれ……。 私の命に変えて詫びても、詫び足りはせんだろうが… 許してくれるなら…この命差し出しても良い……」 玲香は榊原に詫びを入れた 清隆も…… 「総ては……飛鳥井の家の為…… 伊織には申し訳ない… だが、康太は…家の為なら…そうするしかなかった…… そうさせたのは私達も同罪だ 償うなら…私が命を懸けて償おう……」と、榊原に謝った 玲香と清隆の……平伏した背中が震えていた 榊原は、玲香と清隆に、謝るのは止めて下さい……と、言った 玲香と清隆の体を支えると、ソファーに座らせた 「謝らないで下さい 総ては康太が決めた事…償いは康太の身体で…償って貰います 僕、以外の人間に触らせた罪は、康太の身体で償ってもらう ですから、義父さんも、義母さんも謝らないで下さい。 僕が康太を手放す事は絶対にない。 離れるなら…康太を殺す それが僕の覚悟です。」 榊原は、康太の体を引き寄せると、その腕を握った 「今日は家へは戻りません このまま、康太に償って貰いにホテルへ行きます。 僕達は…時間を開ければ…開けただけ…離れてしまう。では、失礼します。」 榊原は、玲香と清隆に頭を下げると、部屋を出た 康太の手を取り……引き摺る様に榊原は歩いた 会社の人間は瑛太が康太を連れて歩いているのかと……錯覚し、榊原に下げた 榊原はエレベーターに乗ると、地下駐車場まで行き、アウディの鍵を開けた 助手席を開け、康太を乗せるとドアを閉めた そして運転席に乗り込み、エンジンをかけた 走り出す車の中でも……榊原は康太の腕を離さなかった ホテルニューグランドに着くと、榊原はベルボーイに鍵を預け、ホテルの中へ入って行った フロントに行き、部屋を取ると 榊原は康太を連れて、部屋へと案内を受けた 部屋の鍵を開け部屋に案内されると keyを渡しベルボーイは部屋を後にした 榊原は、寝室に康太を連れて行くと、スーツを脱がした 電気の煌々と点く部屋のベストの上で 康太は榊原にスーツを脱がされ一糸纏わぬ姿にされていた 「何、されたの?」 「体を舐められた……」 「それだけ?」 「ちがっ…何やっても…勃起しなくて…… 早く終わらせたかったから…指を入れた……」 「弥勒の?」 「そう。伊織の指って思って入れた。」 「中を掻き回したの?」 「そう……じゃなきゃ……射精しなっ… そしたら……終わらなくて…ずっとだから…嫌だから……」 「イッたのは何回?」 「一回……」 「弥勒は精液を飲んだの?」 「そう。一回だけ。」 「弥勒はどうやってイッたの?」 「股に挟んで……イッた…」 「何回?」 「弥勒はあんまし性欲ないから、二回…」 「後の一回は?」 「オレの顔にかけた。」 「舐めたの?」 「舐めた…泡沫の夢ならば…何でもしろと…好きにさせた。」 「もう、しない?」 「しない!絶対にしない!」 「ならば、許してあげます 康太、後ろを見せて…誰も入ってないって確かめさせて。」 康太は俯せになると、腰を高く上げ、お尻を左右に開いた そして、慎ましやかに閉じてる蕾を榊原に見せた 榊原は、匂いを嗅いで、指を入れた 康太の腸壁は濡れていなかった 「精液の匂いはしませんね 体を洗ったの?」 「お湯で流しただけ…」 「指だけ?」 「そう。勃起しなかったから…指入れた…」 「イイとこ、擦ったら勃起したの?」 「した。じゃないと、終われないから。」 「何時間いたの?」 「一時間も…いない…天王寺に行って、勢和会に行って、 会長宅に行くまでで、11時は回ってた。会長の家に行って、ホテルに行って、 瑛兄の所には昼少し過ぎに行って、 一生に、このホテルに連れてこられたのが 1時頃で、伊織の所へ行ったのが2時頃だから、やっぱ一時間位……」 康太は榊原の聞く事には、総て話した 「触られていた時……何を考えていた?」 「伊織の事……この指は伊織だって……思った……だって……他の誰かだと…死にたくなる…… 実際……死のうかと思った……」 榊原は康太の胸のうちを聞き、それでも与えねばならぬ 覚悟と…………飛鳥井の家の為に生きている、現実を噛み締めた  榊原は、康太の体を仰向きに寝かせた その上に、榊原の体が重なる 「君は、誰のモノですか?」 榊原の瞳が……康太を射抜く 「伊織……榊原 伊織のモノ 」 榊原は褒美の接吻を贈る 「君の愛する男は?」 「榊原伊織 唯一人 」 康太の鎖骨に榊原は噛み付いた 「君の所有権を持ってるのは僕なんですよ、康太 今後勝手な事をしたら…… 殺しますよ 手離すなら殺す。 離れるなら……その息の根を止めると…… 言ったでしょ? 嘘だと…想いましたか?」 康太は首をふった 「伊織に殺されるなら……本望だ。 最期に見れる顔が……伊織なら、オレは誰よりも幸せに死ねる…… お前にキスして息絶えたら……そんな幸せな事はない。」 康太は幸せそうな顔をして笑った 「明日は……起きれない位……相手して貰います そして、副社長室で寝てなさい。 飛鳥井の家へ着替えに行く時も抱っこしてあげるから、構いませんよね?」 康太は頷いた 「伊織に抱かれるなら……オレは嬉しい 明日…起きれなくても…… お前が抱いてくれて、伊織のモノでいられるなら、好きにして構わない オレは伊織にされて、嫌な事は1つもないのだから……」 榊原は、苦笑した 自覚がないから、男を煽っているって、康太は気付かない 男を夢中にさせ、煽っているのは康太で 止まらなくさせているのも、康太だと…… 気付いていない 「君の体の……弥勒に舐められた所を消毒しなきゃね…… 欲しくても……入れて欲しくなっても 耐えなさい お仕置きなんですから。」 康太はコクコクと頷いた 長い情事の始まりだった…… 榊原は康太の体を舐めた 弥勒の舐めたであろう場所を、舌を這わせた 爪先も舐めて口に含むと……康太はイキそうになった 榊原は、ネクタイを外すと……… 康太の性器を根本から縛った 「康太…来月の僕の誕生日のプレゼントはネクタイで良いですからね。」 榊原は笑い、服を脱いだ 榊原は、勃起した性器を康太に見せた 「君の唇で愛しなさい。」 言われ康太は、榊原の肉棒を口に含み、奉仕した 必死に舐め、しごく姿は、リスとかハムスターが食事をする姿に似ていて…… 悩殺並に可愛い 榊原は、射精する前に、康太の口から抜くと、顔に精液を飛ばした 白濁の液を撒き散らされ、康太はそれを舐めた 榊原のなら、総てか欲しいから…… 榊原は…康太の中へ……挿入しなかった 榊原のソレはビンビンに震えてるのに…… お仕置きだと……榊原は言った ならば……許されるまで我慢しなきゃ…… 康太は……欲しいも……イカせて……も言わず 悶えていた 快感が過ぎると、毛穴から脂汗が吹き出してくる…… 榊原の指が……康太のイイ場所を擦る…… 康太は……気を失った まるで……抱かれている行為こそが贖罪だと言うみたいに……… 榊原は、やはり……愛した弱味で……許してしまう 愛してるから……許して……折れるしかない 榊原は、康太の性器のネクタイを解いた だが……康太は……イカなかった 康太を抱き上げると、榊原は康太を上に乗せ、康太の中へ挿入した 康太の頬を軽く叩き、意識を取り戻させる 意識を取り戻した康太は身震いした 榊原が中に挿っていたから…… だけど……それで許されるとは……思っていなかった…… 康太は堪えた…… 溢れる涙を堪えて……イキそうになるのを……必死に堪えた 身体で償ってもらう……と、榊原は言ったのだ 償える体なんて……していない 貧相な体は……榊原に気に入られているのかさえも…解らない 康太は不安だった…… でも……抱いてくれるから……嫌われてはないと……想う でも、何をやったら、榊原は喜ぶか… 経験値不足なのは否めない 榊原に抱かれたら……夢中になって……しまうから、榊原を喜ばせられてるのか……解らない ならば、イカずに榊原に償う それしか、残された道はない…… 直ぐにイッちゃうから……我慢する 我慢しなきゃ…… 榊原は抽挿を繰り返し、康太の腸壁を擦る 榊原は、絡み付く康太の締め付けに射精した でも……康太は……イッてなかった 「康太……?」 康太の瞳が榊原を見る 涙が溢れそうになって……康太は堪えていた 榊原が眦に触れると……ポロッと涙が溢れた 康太は慌てて涙を拭った 康太の手が……榊原に伸びることなく……拳を握っていた 「康太……僕に抱かれるのは嫌なの?」 康太は首をふった 「オレは伊織に身体で償わなきゃいけねぇけど……どうやったら……償えるか…わかんねぇ だから……泣かないように……イカないように我慢する 伊織の気の済むまで…我慢する……」 そう言い、康太は瞳から流れる涙を拭った 榊原は愛しさが募って……どうしょうもない気持ちになった 榊原は、康太の唇に接吻した 「僕は…人形とセックスしてる訳じゃないんですよ? 僕は康太と愛し合っている。 償いなんて……言って悩ませてしまいましたね 何時もの様に……感じて良いんですよ。 僕が触って気持ち良かったら声をあげて鳴いて良いんですよ。」 康太の瞳から涙が溢れて……流れた 「伊織に抱き付いても良いの?」 怒られると思って……我慢していのだ 榊原は愛撫を再開した 「抱き締めて……康太 君の男は僕だけです 君の手で離さないで抱き締めなさい。」 挿入が深くなり、激しく腰が打ち付けられる 康太は甘い声で鳴いて…榊原に縋り着いた 榊原は、康太の手を握りしめ、腰をふった 互いの手が……白くなる程……握り合い…… イツた…… 「伊織……ごめん…」 康太は謝りながら……腸壁を蠢かせた 「もう、謝らなくて良いです 謝る暇に、愛してるって言いなさい。」 榊原は康太の唇を貪り…再び襲う快感に、康太の中で育っていった 「伊織……愛してる……伊織しか愛せない……」 康太は魘されたよう……言葉にし… 榊原に抱き着いた 欲望が尽きるまで……榊原は、康太を犯した そして、泥のように抱き合って……眠りに落ちた 朝方………榊原は、夢を見ていた 天王寺組に向かう康太の姿があった 康太は病院に迎えに来た車に乗っていた 天王寺組に入るや否や、天王寺一弥に銃口を向けられ、顔色一つ変えずに、康太は部屋の中に入った 服装からして、今朝の康太だった 康太は天王寺組から、勢和会の事務所に向かい、鎮圧に動いたのは弥勒だと告げられた 弥勒がいる……会長の邸宅まで行かねば話は終わらない……と言われ、康太はそれを飲むしかなかった 諦め……組長の車に乗り込んだ 車の中では康太は……榊原の事ばかり想い… 会長宅にいた弥勒に……体を要求され… 康太は諦めた それしか要求しない人間に与える代価が見当たらないから…… 康太は好きにしろ……と、言った 後ろは、現実でも夢でも許すは唯一人…… 違えればオレは死ぬ……と。 そしてホテルへ向かい、服を脱ぎ、弥勒に抱かれる康太の姿があった 苦行で堪えてる修行僧並の諦めの瞳を閉じて 想いは榊原…唯一人を想い…… 康太は体を投げ出していた 勃起せぬぺニスに弥勒が焦れると…… 仕方なく、後ろに指を入れた 榊原の指だと想い……、気持ちは榊原に抱かれていると思い込ませ……勃起する すると弥勒は……康太の精液を一滴も残らず飲んだ 康太がイッたのは、これだけで…… 弥勒に夢だから好きにしろ…と、されるがままに身を投げたした 康太は弥勒のぺニスを舐めた……そして… 康太の顔に射精した 康太は顔を拭い……絶えた 堪えなければ……死んでしまうから… そして……康太は湯で体を洗ってもらい、服を着せてもらい……部屋を出た それが……総てだった 康太の言った通りだった 榊原の脳裏に弥勒が出て来た 弥勒は榊原に頭を下げた 「伴侶殿、許してくれ。 総ては我が悪い 銃弾に倒れた康太を見た時に……生きている康太に触りたくなった。 そして堪えきれず触ってしまった…… 断ち切りたかったのかも知れない…。 子供が生まれるのをキリに、区切りを着けたかった。 嫌われても一度……触れば、諦められると…、思った……。 無理だったが…… 今後二度と康太には触らぬと約束する。 二度と康太に逢うな……と、言うのなら… 逢わないから…康太を許してやってくれ。」 榊原は弥勒が思念を送って来たのだと知った 「康太に逢わずに生きられるのですか?」 榊原は弥勒に尋ねた 弥勒の顔は苦汁の決断を迫られている様な苦悶の顔をした 「逢うな……と、伴侶殿に言われたら、二度と逢えはせぬ 康太が逢ってはくれぬからな 自分の手で地獄に落とすとは……愚かな奴だと笑って下され。」 「未来永劫、康太の素肌には触るな! 康太の素肌に触れるのは僕だけだ。 誰も許しはしない それを守れるのなら、康太に逢えば良い。 見ることや、接する事まで、取り上げはしませんよ。」 「伴侶殿……。」 「康太の姿を見せてくれて、ありがとう。 弥勒はこの先、欠かせない存在だから、康太は体を与えた ならば、この先も変わらなければ良い 僕は許したので、それまでは止めません。 でも、康太の素肌には二度と触らせはしない。良いですね?」 弥勒は、ありがとう……と、泣きながら頭を下げた そして……榊原の夢から消えて行った 榊原は、康太の頬を撫でた あんなに絶えて……思う心は榊原唯一人… それも、家の為……投げ出すしかなかった… 康太の気持ちが痛かった…… 愛している男を想い……裏切りに瞳を閉じていた そして……行為が終わって……瑛太の所へ行ったと言うのか? 罪悪感で…逢いに来れなくて……悩んだ 康太の異変に一生も気付き……話を聞いた そして、瑛太も一生も、榊原には言うな!と康太に言った なのに康太は……隠し事はしたくないと…… 総て話した 嘘は1つもつかず、榊原に言った 康太の愛が嬉しかった 康太は榊原への愛を貫いたのだ 榊原は、康太を抱き上げると、バスルームに連れていった バスタブに康太を寝かすと、榊原は湯をためた そしてバスオイルを滴し、康太の体を洗い始めた 康太の体の奥に指が潜り込み、中を掻き出すと、康太は目を醒ました 「伊織……。」 康太の唇が榊原の名前を呼ぶ 「康太、帰りましょうか? 僕達の家へ。」 康太の瞳が……涙で溢れ…一筋の涙が零れた 榊原はその涙に口付けした 「帰ろ…伊織。伊織とオレの家に帰ろ。」 康太の腕が榊原の首に巻き付く 榊原は優しい瞳で康太を見ていた 榊原は康太を持ち上げ、バスタブに入ると康太を上に乗せた 榊原の腕が康太に絡む そして後ろに入り込み、掻き出した 「体を洗わないと、帰れませんよ。」 康太の中から精液を掻き出し 康太の体と自分の体を洗い、榊原はバスルームから出た 髪を乾かし、康太に服を着せ、自分の支度をすると、康太を立たせた 「歩けますか?」 抱き上げられ……ホテルを出るのは遠慮したかった…… 何とか歩けそうで、康太は歩いた 榊原は康太の歩調に合わせ、歩いた そして部屋を出て、一階のロビーまで行くと、一生達がいた 榊原は、一生に康太を預けると、フロントに支払いに行った すると、飛鳥井玲香が、既に翌朝の分まで、支払った……と、言われた 榊原は、康太の側に行くと、体を支えた 「帰りますよ。 一生達も病院でなく、飛鳥井の家で良いんですか?」 榊原が尋ねると、一生は、あぁ。と頷いた 榊原のアウディに乗り込んだ 助手席の康太は気怠げに榊原の肩に頭を乗せた 榊原のアウディは飛鳥井の家へ向かい……走る 信号待ちの榊原の指が、康太の頬を撫でる 飛鳥井の家に着くと、榊原は自分のスペースに車を停めた そして車から降りて後部座席のドアを開けてやると、助手席の康太を抱き上げ、ドアを閉めた 車から離れ、キーでロックすると、車から離れた 飛鳥井の家の鍵を開けると、一生がドアを持って榊原を入れた 榊原は、3階の自室に行き、寝室の鍵を開けドアを開け中へ入ると、ベッドの上に康太を座らせた 榊原がスーツを脱がせ、他のスーツを着せる そして、自分も着替えた 洗濯物をドラム洗濯機に入れると、掃除は諦めた 「康太、キッチンに行きましょう。」 「ん。歩けるから大丈夫だ。」 抱き上げようとする榊原に、康太は言う 「辛いでしょ?体 」 康太は頷いた 「昨日言ったでしょ? 抱き上げて持ち運びしてあげます…って。」 「伊織の腕が痛くなる…」 「なりませんよ 康太を抱き上げて走ったでしょ学校で?」 瑛太が倒れた日、榊原は康太を抱き上げ走った……その日の事を言っているのだ 榊原は、康太を抱き上げると、寝室の鍵をかけた 康太は榊原の首に腕を回した 「伊織、愛してる。」 榊原の頬にキスをした 「康太…寝室に戻りたいですか? 流石と昨夜は犯りづめですから、勃ちは悪いですが、出来ない事はないんですよ?」 これ以上犯されたら……気を失うだけじゃすまない 「ごめん…伊織…」 榊原は笑った 「沢山食べなさい でないと、倒れてしまいますよ 僕を心配せない様に食べるんですよ。」 康太は頷いた キッチンに姿を現すと、玲香と清隆は驚いた顔をしていた 榊原は、玲香や清隆、源右衛門に 「おはようございます。」と挨拶し、康太を椅子に座らせた 座らせた康太の為に、甲斐甲斐しく、榊原はご飯をよそう そしておかずを置くと、一緒に座って食事を始めた 玲香と清隆は、二人を伺い見る そこへ一生、聡一郎、隼人もキッチンに現れ、食事を始めた 一生達も……榊原を伺い見る 榊原は、康太の口に沢庵を放り入れると、優しい瞳で康太を見ていた 愛しい、愛する人を見詰める瞳で、康太を見る 康太も、榊原を見上げ、笑った 康太の頬に着いたご飯粒を、榊原は康太の頬に唇を近付け……食べた ごく当たり前の日常が戻って来ていた 榊原の腕には康太が吟味して入れた宝石が光る伴侶の腕時計が光っていた 榊原は、玲香と清隆に頭を下げると 「お義父さん、お義母さん、康太は僕のモノです 今までも、この先も、それは変わらない。 僕は飛鳥井康太の生涯一人の伴侶 変わりはいない。」 榊原は、二人に真剣な瞳を向けた 玲香は頷き、清隆は、榊原に頭を下げた 玲香は榊原に、今日の康太は使えるのか…と聞いた 「伊織…今日は、康太はどうする? 使い物にはなりはせんだろ?」 玲香の言葉に榊原は笑って 「副社長室のネズミと一緒に寝かせときます その分、僕が仕事を片付けますから、心配しないで下さい。」 しれっと言った 榊原は頭が良い 瑛太の山の様に貯まった仕事を難なく片付ける そして、康太の側にいるから、忘れがちだが、食えない人間なのだ 康太や飛鳥井の家族や一生達には誠実だが、それ以外には冷徹になれる人間 瑛太と同種の人間なのだ 瑛太も……康太の前以外では、冷徹な人間で、切り捨てる事を知っている人間だった 甘い顔に騙されたら手痛いしっぺ返しを受ける 康太の側にいる人間にはしないだろうが、甘くはない 甘くはない人間なのだ 眠りに落ちそうな康太を膝に抱くと、榊原は康太に食事をさせた 食事を終え、口を拭いてやると、お茶を康太の手に握らせた 「一生、今日は病院に行きますか?」 「瑛太さんが退院して来なきゃ学校に行ってらんねぇから、病院に行って康太の仕事を片付ける。」 「早目に仕事を片付けるので、病院へ行く様にします 瑛太さんには、康太は大丈夫だって伝えて下さい 何があっても、僕達は揺るぎない!と伝えて下さい。」 榊原が言うと、一生は「必ず伝えておく。」と約束した 榊原は、立ち上がると、皆に頭を下げ 康太を持ち上げ、キッチンを後にした

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