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第47話 瑣末
一生が、「話は着いたみたいだな?どうするよ?康太?」と、康太に問い掛けた
「オレは飛鳥井建設に用がある
会社に行く。お前等はどうする?」
「一緒に行く。そして帰りはファミレスだな。」
一生が言うと、康太も「だな。」と賛同した
康太が立ち上がると、榊原も立ち上がった
自然と腰を抱かれ、榊原の手に収まる康太の姿を、聡一郎は見ていた
康太の後ろに控える慎一の姿に…聡一郎は、一生と酷似して見えた
一生と並ぶと……双生児と間違う程の容姿になっていた
「慎一、会社に行ったら力哉と、デビューしたイオリーブラウンの調教資料を見せてもらうと良い
今の所、負け知らずだ。」
康太が言うと、慎一は「はい!」と、忠犬並みの忠実さで康太に従っていた
「さてと、行くとするかんな!
聡一郎、悠太は力哉の車に乗って会社まで行け。」
そう言い、康太は歩き出した
ホテルニューグランドの支払いをして、車に乗ると、榊原がキスを落とした
康太が嬉しそうに顔を蕩けさす
「久し振りに見ました……君の笑顔……」
榊原は、嬉しそうに言い、サングラスをかけた
サングラスをかけた榊原は……良い男だった
アウディのエンジンをかけ、走り出すと、康太は目を閉じた
飛鳥井建設の地下駐車場に着くと車を下りた
すると……待ち構えていた様に、恵太が駐車場にいた
康太は笑って恵太に近付いた
「よぉ、恵兄、どうしたよ?」
「君でしょ?栗田を焚き付けたの?」
「可奈子の件は片付けてやった
お前は心置き無く栗田の所へ行けば良い
飛鳥井の家を出たお前には、もう誰も干渉はしねぇ
栗田も離婚した。
障害物は……瑛兄位だ…オッサンに……って、ぶちぶち言ってたかんな
それでも構わねぇだろ?
お前は栗田を選んだんだからよぉ!」
康太は笑って、恵太の横を過ぎてエレベーターに乗った
恵太は……康太に深々と頭を下げて……見送った
最上階に行くと、栗田が待ち構えていた
康太は苦笑する
「下にお前の妻がいた
最上階にはお前か?」
「貴方を待ってました
安西に聞いたら、今日の夕方には来ると言ってたんで待ってました。」
「用を言え
オレも暇じゃねぇ。」
「城田の図面を持って来ました。
そして………恵太の……離婚…片付けたの、貴方なんですね。」
「栗田、近いうちに、結婚祝いをやる。
この会社の近くのマンションを買ってやる
恵太と二人、仲良く過ごせ
もう無くすな。」
栗田は、頭を深々と下げた
「貴方は……本当に……」
後は言葉にならなかった
「幸せになれ
そして幸せにしてやってくれ。」
康太は栗田の肩を叩くと通り過ぎた
そして、玲香のドアをノックした
力哉は慎一と、真贋の部屋に行き
康太は榊原と、聡一郎、一生、隼人、そして悠太を連れて、玲香の部屋へと入って行った
「母ちゃん、家出息子を掴まえた
そして、悲しい報告をしなきゃなんねぇ」
康太は玲香に、総てを話すつもりだった
「恵太と悠太……の事か?
まぁ良い
好きにすればよい
我は反対などせん
我は飛鳥井の家の明日を続けられれば、気にはせん
総ては真贋の決めた事、異存などありはせん」
「母ちゃん…すまねぇ。」
「お前が悪い訳ではないわ
我は…聞かなかった事にする
それでよいではないか。」
玲香は笑った
そして、康太の頬を撫でた
「痩せたな
一発位、殴ってやると良い。」
玲香は原因を知っているからこそ、言う
「伊織が殴った
立派な兄だった。」
康太はそう言い笑った
「伊織、ご苦労でしたね。」
「義母さん、僕は悠太の義兄ですから、ケジメは着けさせて貰いました。」
榊原は、しれっと玲香に言った
「ならば、帰るかんな!」
「気を付けてな。」
康太は、あぁ。と言い片手を上げ、部屋を後にした
玲香の部屋を出ると、副社長室をノックした
中から瑛太が……真剣な顔をして出て来た
「瑛兄?」
康太が訝しがると、瑛太は康太達を部屋に招き入れた
副社長室に入ると………!
…東都日報の今枝浩二が、ソファーに座っていた
康太は瑛太を見上げた
「彼をご存知か?康太?」
瑛太に問われ、康太は頷いた
「彼はプレジデントの編集記者の方だ。
康太、お前の独占インタビューを約束している……と、言われるのだが、覚えはあるのか?」
康太は今枝浩二を見た
悩んでいた顔ではなく……真の仕事を貫く決意が見えた
「娘さんはどうなった?」
康太は笑って今枝に聞いた
瑛太は、康太と榊原をソファーに座らせた
「貴方のお陰で、見て下さった先生の尽力により、海外で手術を受けました。
総ては…君のお陰です。
お礼を延べるより、私は記者です。
貴方に誉められた記者魂を、貫く決意です
インタビューさせて下さい。
約束でしたよね?」
「あぁ。良いぞ
今日は無理だが、スケジュールを組むと良い
一生、力哉を呼んで来てくれ
秘書にスケジュール調整してもらって
それで決めてくれ。」
力哉が副社長室に来ると、今枝は康太のスケジュールを合わせ
インタビューの日程を決めた
そして……康太にお礼を言って、帰って行った
今枝が帰ると、瑛太は康太に
「お節介焼き。」と、揶揄した
「魂が綺麗だったんだ……
信念を貫く魂の果てを見て……助けてやりたくなった
そして……何時かインタビューをさせて下さい…と、言われたから約束してやった
そうか……手術は成功したのか…良かったな」
康太は……優しく微笑み果てを見た
瑛太は「見付けて来ましたか?」と、聡一郎と悠太の事を言った
「九十九里浜に落ちているのを、弥勒が命を懸けて飛ばしてくれ教えてくれたからな。」
瑛太は何も言わず…微笑んだ
「君が…笑っているなら…それで良い。」
瑛太はそう言い、康太の頭を撫でた
「瑛兄は、無理すんな。」
「無理しなくても伊織が半分位仕事を片付けてくれましたからね。楽してます。」
瑛太に言われ榊原は
「義兄さん…拗ねてませんか?」と聞いた
「少し…完璧に仕事を片付けすぎだ伊織…」
瑛太がボヤく
「義兄さん、僕に手を抜けと…?」
「伊織は兄に冷たくないか…」
瑛太は榊原に抱き着いた
そしてグリグリ頭を撫でた
「に……義兄さん…!」
瑛太は笑っていた
「私も母さんと、同じく
恵太と悠太は聞かなかった事にします。
私は、飛鳥井の果てが、軌道に乗れば、それで良い
愛する弟が傷付かず、伊織と幸せなら、私は興味もない。」
と、言い捨てた
康太は、嬉しそうに笑った
「なら、帰るとするかんな!」
康太が言うと榊原は、立ち上がった
一生も隼人も……聡一郎も悠太も立ち上がった
「康太、清四郎さんが、お前の車を買って下さった
飛鳥井の駐車場に停まっている。」
康太に鍵を渡した
康太は頷き、副社長室を出て行った
康太の部屋を覗くと、慎一と力哉は馬の資料を見て盛り上がっていた
康太は力哉に、声をかけた
「力哉、オレは帰る
慎一はお前が飛鳥井まで乗せて帰れ。」
康太は笑って手をふった
そして、部屋の外に出るとエレベーターに乗り、地下駐車場まで行った
榊原のアウディに、全員乗り込みファミレスへと向かう
夕飯を済ませ飛鳥井に戻って来ると
榊原の横の空きだった駐車場に、赤いミニクーパーが停まっていた
榊原は、ミニクーパーを見て「これが、康太の車ですか?」と、笑った
康太に似合った車だった
でも榊原は…………
「康太、君に、あまり乗せたくはないです…」と、告げた
雑い康太が運転したら……考えるだけで怖い
「オレが乗らねば清四郎さんに悪いだろ?」
康太は笑って、家の中へ入って行った
そして3階の自室に向かい、寝室に入り鍵をかけた
康太は榊原に制服を脱がせてもらい
「伊織…」と名前を呼んだ
榊原は、康太の制服を脱がすと、ハンガーにかけ
自分の背服も脱ぎハンガーにかけた
下着一枚の姿で、ベットの上の康太の上にのし掛かった
「伊織…」
「何ですか?康太 」
榊原は、康太の素肌に指を這わせ問い掛ける
「何故……悠太に……エッチを見せた?」
「君は……あの顔が好きでしょ?」
榊原が、言うと………………康太の素肌に鳥肌が立った
「悠太のツラは、瑛兄じゃん……」
「好きでしょ?瑛太さん?」
康太は気持ち悪そうに口を押さえた
「伊織……吐く……」
榊原は、慌てて、トイレに康太を連れていくと、康太は便座に顔を突っ込み………吐いた
一頻り……吐くと、榊原は、康太の口を濯がせた
ベッドに運ぶと……康太はぐったりしていた
「伊織は何か勘違いしてる……」
康太は嘆いた
「勘違い?
えっ……君は瑛太さんが好きですよね?
性欲はわかないのは聞きましたが、好きですよね?」
「オレには瑛兄しか、いなかったからな
あの腕が有ったから、オレは生きて来られた。
だから、瑛兄が好きなのだ
別に…顔が好きとか思った事は一度もない
オレの兄は飛鳥井瑛太、オレはあの兄が好きなのだ
顔とかじゃなく……今までの積み重ねで好きなのだ
悠太は瑛太に酷似してるが、瑛太じゃねぇ
オレはアイツは、弟として大切にしている
顔が好きな訳じゃねぇもんよー
伊織……今夜はお預けだ……あー気持ち悪い
悠太に抱かれる自分なんか想像したら吐いたかんな!
時々、伊織は、恐ろしいことを言うかんな。」
康太はまだ、気持ち悪そうだ
「でも、悠太は君を、そう言う対象で見てましたよ?
だから、不戦を張った
僕は…所有権の発動しただけです。
それと、お預けは嫌です
触って…康太
君の愛する男のモノです
これが君の中へ入り……君と1つに交わるんですよ。」
榊原は、康太の手を取ると、その手に性器を握らせた
康太の腕の中で、脈打つ……榊原の肉棒
榊原は、康太の耳を舐め……囁く
「欲しくはないんですか?コレが。」
康太の欲情した瞳が……榊原を見詰める
康太の瞳が潤む
そして……康太の性器が勃起する
「君は僕の総てが好きなんですね。
あんなに鳥肌立ててたのに…今は赤く色ずいて……勃起してる
お預けでなくて……良いですね?」
榊原の指が康太の乳首を弄る
「オレは伊織が好き
顔も、体も、細胞も、魂も‥‥
伊織の総てが好き
誰にもやりたくない程好き
愛してる。お預けされたら……オレが狂う
伊織…触って……オレの中を掻き回して…」
榊原の、唇が康太に重なる
優しく重なる唇は……互いに触れると
化学反応を起こし……爆発する
止まらない欲望に火が着き………欲する
「伊織…中が…止まらないっ…入れてぇ……」
康太は榊原の指を秘孔に誘惑し、確かめさせる
康太の腸壁は……激しく煽動し……榊原の指を飲み込んだ
「ねっ…伊織…欲しい……あぁっ…そこを伊織の太いので掻いて欲しい…」
腰を畝らせ、康太は榊原を、誘う
もう…こうなったら…榊原も止まらない
互いの下着を脱ぎ飛ばし、1つに交わる為に…康太は榊原の性器を舐めた
榊原は、康太の襞を綻ばせ、皺を伸ばす様にを舐めて解した
そして、ローションを滴し、康太の中へ、ジリジリと押し入る
康太はその刺激に仰け反り…自分の性器の根本を握り締め付けた
でないと……イッてしまうから……
「伊織……一緒にイッてぇ……ぁん…イイッ……」
榊原は…抽挿を速めると、嵩を増した
康太は…隙間もなく榊原に縋り着くと……
射精した
康太の亀頭の口がパックリ開き……中から白濁が……流れだし……止まらなかった
榊原は、康太の亀頭の頭の口を開く様に撫でた
イッたばかりの敏感な性器が震える
すると、康太の中が、ギュッと萎む
「……っ…康太…君の中が…僕を離さない…」
「ぁっ……あぁっ…離れたくない……伊織…
オレを離さないで…この体は…伊織の為の体だ……」
榊原は、再び来る快感に身を委ね腰を動かした
快感の波に飲まれ……何度もイッた
熱が引き……康太は榊原の胸の上に頬を擦り寄せ乗っていた
「伊織……オレの愛するのは伊織一人
性欲を感じるのも、伊織一人
所有権を決めたなら、オレはその人しか愛さない。
オレは片想いの伊織のモノになれて幸せだ
それは…榊原伊織と言う人間の総てを好きだった訳で……
顔だけ求めた訳じゃない
況してや、瑛兄の顔が好きなら…
オレは瑛兄のモノになってる。
今まで過ごした過程があるから、兄の弟でいたいと……願うのだ
だから、あの顔が好きとか……言わないで欲しい。」
榊原は、笑いながら、康太を抱き締めた
「もう、言いませんよ
悠太も聡一郎と結ばれた
顔も趣味じゃないと解ったし。」
と、榊原は笑った
「康太、僕も君を愛しています。
康太しか欲しくない
もう康太に似てても……無理です
本物を手にしたら、紛い物は色褪せます。
康太の総てが好きです
だから、僕は…一生も、聡一郎、隼人も欠かせない人間として、大切にしています
力哉も慎一も。
そして、君を支えた瑛太さんを、大切にしたい
それが僕の君への想いです。」
「伊織……」
「総ては……君を愛するためです。
解りなさい。」
榊原は、康太を抱き締めた
榊原は、康太を抱き締めたまま、ひっくり返ると、再び体を押し開き押し入って来た
尽きぬ欲望を掻き抱き、二人と同じ時を分かち合う
深い眠りに堕ちるその瞬間まで……繋がり果てたい
榊原は、康太の指を、握り締め…離さなかった
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