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第14話

※受けと攻めではない相手とのR18シーンです。  ユストは目を閉じて現実から逃避しようとした。  痛みだけならまだ耐えられた。けれど油薬をひと瓶たっぷりと使われて慣らされた後孔は、痛みだけではない感覚も生み出していた。 「ひ、あぁ、……ああっ」  奥まですっぽり突き込まれたフロレンツの雄がズルズルと引き抜かれる。そのたびに背筋が戦慄き、腰が震える。下腹に広がるさざ波は明らかに快感だった。 「ユスト、目を開けて。ちゃんと見てください」  フロレンツはユストが目を背けることを許してくれない。 「あなたと繋がっているのは、この私……」  目を開けると嫌でも覆い被さったフロレンツの黒い被毛が目に入る。  フロレンツは体格差を利用して二つ折りにしたユストを真上から犯していた。上を向いた股間の間をフロレンツの赤黒い雄がゆっくりと出入りするのが見える。 「ほら、上手に飲み込んでますよ。ああ、あなたの中、熱くて、ぬるぬるしていて、最高です」 「やだ……」  そんなこと聞きたくない。 「ああ……ずいぶんと私の形に馴染んできましたね」 「フロレンツ……やめて……」 「どうして? あなたの体はもう私を受け入れているんですよ。その事実を認めてください」 「ああっ!」  ググッと奥を一突きされてユストはのけ反った。 「気持ちいいでしょ、ここ」 「あ、あ、……んっ、」  小刻みにトントンと突かれると声が抑えられない。 「気持ちいいって言って、ユスト」 「ん、ああ、はあ……ああっ」  ユストは首を振った。 「フ、フロレンツ、おね、がい……それ、や、だ……もっと、痛く、して」  はあはあと息を喘がせながら懇願する。  痛いのはいい。痛みならいくらでも耐えられる。 「それはダメです」  グッと上体を寄せて来たフロレンツに目元を舐められた。 「泣かないで。気持ち良くなることをしているんです。気持ち良くて当然なんですよ。なにも耐えることなんてありません」  ゆるゆると腰を当てながらフロレンツが囁く。 「でも、ヤだ……」  はあっとフロレンツは大きく息を吐いた。 「わかりました……。なにが嫌ですか?」 「あ、当てないで」 「……いいでしょう」  フロレンツは腰を振るのをやめてくれたが、まだユストの中に入ったままだ。 「え、でも……」 「当ててないでしょう?」  そう言われれば頷くしかない。でもユストはフロレンツに抜いて欲しかったのだ。 「ユスト、触るのはダメですか?」 「ダ、ダメ」  さっきさんざん体中を撫でられた。その淡い触れ方に肌がざわついて落ち着かなくなったのは記憶に新しい。いまこの状態でそんなことをされたらたまったものじゃない。 「ではユストから触ってください。それならいいでしょう?」 「それくらいなら……」  ユストはおずおずとフロレンツの胸板に両手を添えた。 「背中に腕をまわしてください」 「え? う、うん」  言われた通り両腕を背中に回す。 「これでいい?」 「ええ」  重なるような体勢に鼓動が伝わる。 「なにか話しましょうか。こうして抱き合っているだけじゃ手持無沙汰ですし」 「うん……」  ユストは戸惑っていた。自分が考えていた交尾と違う。交尾はもっと悲惨な行為だった。 これはいったいなんなのだろう。 「ユストは私が無理矢理あなたを痛めつけると思っていたのですか?」 「……」 「思っていたのですね」  わずかに非難する色が混じっている。 「ごめんなさい」  ユストは素直に謝った。 「まあ仕方ありませんね。繁殖のための交尾はだいたいそんなものです。私はそれが嫌だった……」 「嫌だった?」 「シーザ国では繁殖を諦めれば獣人同士の番もいるんですよ」 「獣人同士って……」 「大国ですからね、そうそう全部の獣人に繁殖の順番が回ってくるわけではないのです。そんなに獅子の雌を捕獲してきたら獅子がいなくなってしまう」 「そう、だね」 「そういう獣人同士が番うんですよ。ユストは私の仔を孕むかもしれないのでその点は違いますが、獣人同士でもこうして情を交わせているでしょう? 番った獣人同士はとても仲が良くて私はそれが羨ましかった」  なんとなく切ない響きがありユストは我知らずフロレンツの背中を撫でていた。動くと体の中心を貫いたフロレンツの雄を意識してしまう。 「父王が人魚の雄に仔を生ませる計画を立てたとき、私は、私にも獣人同士の番のような相手が出来ると喜んだのです。仔を成すのは私たちの役目ですが、そのためにたとえ獣といえども凌辱したくはなかった……」 「フロレンツ」  そんなことを考えていたなんて知らなかった。もっと早く知っていたら、もしかしたらもっと別の想いを抱けたかもしれない。でももう遅い。ユストの心の一番奥、一番温かい場所にはハーラントが住んでしまった。たとえ側にいることは叶わなくてもその場所を他の誰にも譲ることはできない。  ごめんねの気持ちを込めてフロレンツの背中を抱き寄せた瞬間、後孔に力がはいりフロレンツの雄を食い締めてしまった。 「んっ……」  鼻にかかった吐息は自分でも驚くほど淫らがましかった。 「ユスト?」  ユストの反応にフロレンツが身じろぐ。 「あんっ」  とうとう声が漏れた。  ばれたと思った。感じていることをフロレンツに知られてしまった。 「可愛い。後ろがヒクヒク私に絡んでますね」 「違っ、……これは、……」 「いいんですよ。さっきも言ったように、気持ちよくなることをしているんですから」  甘く優しい囁きは悪魔の誘いだ。  でも――。 「動いて、フロレンツ、奥、トントンして……」  顔を背けて懇願したユストの耳を甘く噛んで、 「いいですよ。気持ちよくしてさしあげます」  フロレンツが答えた。

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