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団子のあいつ

年一回、開かれる流行りのファッションショー。 このショーは人気のモデルやタレントがくる事で有名だ。 それに向けて来る観客、特に女子のお洒落度はハンパない。 バッチリお洒落を決め込んで、憧れのモデルやタレントに逢いに来るのだ。 「おおおー、圧巻だなあ!8割くらい女の子じゃん!」 新米アナウンサーの赤城は会場がよく見渡せる場所から観客を見て興奮する。 今日の仕事はこのファッションショーの中継だ。 「きっと可愛い子ばっかりなんだろうなーー!あー、幸せ!」 「おまえ、頭から色んなもんがダダ漏れだぞ…」 カメラマンの河本が苦笑いする。 赤城と河本が一緒に仕事するようになった半年。 河本が分かったことが2つある。 一つは赤城は女の子が大好き。 仕事で街頭インタヴューする際に、顔と格好で選んで「あの子がいい!」と好みの子を 指定する。 『この仕事は転職だ!』なんて言い張ってるけど実際には女の子と出会えるのが嬉しいんだろう。 そしてもう一つはそんな赤城を自分は好きだということ。 何でこんな奴を好きになってしまったのか、自分でも分からないけど。 きっとそれは赤城の笑顔と、自分を頼って来るからだろう。 それなら友人止まりになりそうなものなのに、どうもこの胸の動悸は違うようだ。 (高校生じゃあるまいし) ため息をついて、今日も可愛い赤城のためにカメラを回す。 「あーー花がたっくさんっていいねえ!なあ河本」 「…俺は花より団子だけど」 「何だよー、つまんねえ奴!!」 この場合、団子はおまえなんだけどな。 おしまい

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