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第3話 天使、我がままに喘ぐ ※
「レオさんっ、なんでっ?」
隅から隅までレオの性器が行き届き、さらにガブリエルの中を押し広げようとしている。
はじめての行為ではない。
あの日、ガブリエルがレオに剃毛をお願いしたあの日からふたりは何度も体を重ねてきた。
理由なんて分からない。
わからないけどもっと触れてほしい。体内にレオが挿入るととてつもなく幸せで、満たされるのだ。
「なにがだ?」
「やだ、ぐすっ」
華奢な腰を抱え、ゆるく腰を振りながらレオは考え事をし始めた。
それが、気に食わない。
もちろん、レオはというと、いつ短く生えてきた金色の陰毛を剃り直そうと考えていて、強いて言えば、はじめて剃ってやった日にそのままヤッてしまったことを思い出して余計に自分自身が硬くなるのを感じていたわけだが……
それを知らない天使はぐずぐずと涙を流し、両手で目を擦りながら機嫌を損ね始めた。
「だってっだって、他の人のこと考えてる!」
「はぁ?」
また、この天使はおかしなことを言い出した、とレオは小さくため息をついた。
持ち上げたままだった触り心地の良い脚をマットレスに降ろし、密着するように上半身を重ねると、青色の瞳が不機嫌にこちらをにらみ続ける。
ぷくーっと桃色の頬を膨らませたガブリエルは角度が変り先ほどとは違うところにレオの亀頭が当たり、刺激が強すぎて金髪の眉間にしわを寄せた。
「何の話だ?」
「レオさん、ぼく、やなの?」
「ガブリエル、それじゃあ意味が分からない」
「だって、ぼくのこと考えてなかったでしょ?ぼくといるんだからぼくのことだけ考えて!」
「おまえなぁ」
「もうや!レオさんはぼくがウサギさんなのもやだし、ぼくのズボンもポイってしたし、ぼくのことも考えてくれないんですね!ぼくはっレオさんのことしか考えてないのにっ!」
「っ!」
これまた、勘違い天使は勘違いする方向を間違えたのか……収拾のつかない方向に勘違いが深まっている……
はっきり言って、「お預け」な状態で話し合う内容でもないが、他のことを考え出したのはレオだ。
いや、その「他のこと」はガブリエルのことなのが、そんなことを今本人に説明している余裕などいろいろな意味でないだろう。
「ガブリエル、俺はお前のことを考えていたんだ。いつ、ここを剃りなおさなくちゃかなってな」
「ぁんっっ」
レオの指が陰部に触れる。
するっと優しく撫でられただけなのに、小ぶりな性器はよだれを垂らして喜んだ。
「そりなおすの?」
「そうじゃないと痒くないか?」
「うんっ、あっダメッ握らないで!」
短く生えてきた陰毛はチクチクする。
でも、それは決して不快なものではなかった。
痛痒さを感じるたびにレオと、レオとしたことと、レオとできることと、レオとまだしていないけどしてもらえるかもしれないことを考え、一人で嬉しくなれるからだ。
レオが剃ってくれるなら剃ってもらおう。そしてまた生えてきたらチクチクしだして、頭の中がレオいっぱいになれるのだ。
これが正に、学校で習った「いっせきにちょう」ってやつに違いない。
「剃ってっ?」
「後でな?」
「なんで?」
「我慢の限界がきてるからだっ」
「なんの?」
「質問タイムは終わりだっ」
「ひゃぁ!」
おしゃべりが過ぎた唇はレオの唇で塞がれてしまった。
のしかかったまま足を絡めレオはガブリエルを抱きしめた。
深く深く挿入された性器を天使の肉壁が意思を持ったように握りしめる。
お互いの存在を全身で確かめ合えるような体位にガブリエルは眩暈がしそうなほど夢中になった。レオの体温や汗で湿った肌の質感、耳元で聞こえる熱い吐息、全てを全身で受け止め、全身で感じ、声が枯れるほど喘ぎ続けた。
「ぁぁんっ、どうしよ、でちゃうっ、レオさんっこすって?」
「ガブリエルっ」
「はぁぁんっ!!やぁんっ!んっんっ、つよいっ、も、むりぃ!!」
「このまま出すぞっ」
2人は体を密着させたまま絶頂に達した。
レオの精液が体の奥底に流し込まれる感覚に、喘ぎ疲れた体がぶるりと震える。
「おい、寝るなよ?」
「んっ、ちょっと目閉じるだけ」
「寝るだろ、それ」
「ちゅーしてくれたらねない」
「おい、ガブリエル…」
自分の名前を呼ぶ声が段々と遠くなるのを感じながら、ガブリエルは温かい感覚をゆったりと楽しんでいた。
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