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【2】-8

 一度わずかに離れた唇が、再び玲のそれを包み込んだ。 「ん……、ん―……」  どうして、という問いがようやく頭に浮かぶ。わずかに抗うように首を振ると、閉じていた唇を周防の舌がゆっくりと舐めた。  心臓がさらに跳ねる。 「んん……」  そっとこじ開けるようにして小さな隙間を作り、熱い舌が侵入してくる。先端が触れ合う。肌が粟立つような痺れが生まれた。血液が光の速度で全身を駆け巡る。蕩けるように身体の力が抜けてゆく。  ビクンと震えて、周防のタキシードを握りしめた。経験の少ない玲でも、それがとても上手なキスだとわかった。  舌を絡められると心臓の鼓動が速度を増した。ドレスの中の無防備な下肢にも影響は押し寄せる。 「んん……っ」  だめ、と喘ぐように吐息で囁いて唇を解く。耳朶や首筋にキスが落ちてきた。 「探した……」  言葉の意味は分からない。抱きしめられて肌を吸われると、強い愉悦が全身を満たした。  酔っているのだと、なけなしの理性が必死に言い訳をする。初めて覚えた官能の甘さに、玲は震えながら手袋をはめた指先を強く噛んだ。 「こんなに震えて、かわいいな……。レイ」  力の入らなくなった身体を、周防が支える。鎖骨や肩に口付けられて何度も小さく震えた。  サラリと何かが滑り落ちてゆく感覚の中、ようやく「探した」という言葉の意味を考え始める。 (どういう意味……?)  けれど、やはりわからなかった。

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