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「レイ!」 「あ、智之さん!」 「見つけたわよ」  背後で複数の女性の声が聞こえた。  ドレスの裾を揺らしてホールに入った玲は、そのまま光の洪水のような部屋を駆け抜けて廊下に続く扉に向かった。  サーカスのクライマックスを告げるドラムのように心臓が鳴り続ける。  どこをどう走ったのかもわからないまま、一階ブランドストリートの奥にある『SHINODA』の店舗にどうにか逃げ帰った。

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