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【17】-3

 周防が玲を抱きしめた。広い胸に包み、何度も髪を撫でる。 「玲……」   耳元で名前を囁かれ、胸が痛くなった。自分で臨んだことなのに、周防といることが悲しかった。  ベッドルームに隣接する広いバスルームを使うように言われ、服を脱いだ。シャワーだけ浴びて、用意されていたバスローブを羽織る。  どこで何をするのかは知っていた。  中学の頃、男が男を襲って何をどこにどうしようというのかと、拓馬と二人で調べたことがあった。  正直、引いた。  よもや自分がそれを経験する日がくるとは夢にも思わなかった。 (できないかも……)  妙に冷静に考えた。その時はその時だ。覚悟を決める。  ドアを開け、ベッドルームに足を踏み入れた玲は、しかし、そこに周防がいることに気づくと、大きく心臓を跳ねさせた。  自分はバカだと思いながら、身体の奥を甘く疼かせる。 「玲、おいで」  立ちすくんでいると周防がゆっくり近づいてきた。バスローブの胸に抱き寄せ、顎をそっと掬う。  唇が重ねられた。 「ん……」  舌を差し込まれ、やわらかなパイル地をぎゅっと掴んだ。  よろめくように短い距離を移動し、広いベッドに倒れ込む。玲を見下ろし、周防が軽くため息を吐いた。 「あの男は、どんなふうに、玲を抱く……?」  言葉の意味がわからなかった。  黙って見上げていると、周防が覆いかぶさってくる。再び唇が重ねられ、ためらうことなくバスローブの紐が解かれた。

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