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【21】-9
周防には、すでに心に決めた人がいる。
確かめてみてもどうにもならない。そう心が警告していた。
それでも、あの日玲のために大きな怪我をした人が、命を落としたという話を信じたくなかった。
何かの間違いで、今も元気でいてくれるなら、それを確かめたい。
そして、生きて、幸せになってくれるなら、それが一番の福音だ。たとえ隣にいるのが玲の知らない誰かでも。
トモは周防なのかと、ひと言聞くだけでいい。
約束の時間にはまだ一時間以上あったが、ぼんやりとした思考のまま玲は拓馬の家を出た。
早く着いてもロビーで待てばいい。『ホテル周防インターナショナル』までは、徒歩八分。
ゆっくりと、雑踏の中を歩き始めた。
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