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【24】-2

「ああ。シンデレラが見つかったとかって騒いでたやつらな。で、見つかったのかよ、シンデレラは?」 「きみも、たいがい狸たぬきだな」  拓馬はフンと鼻を鳴らした。 「ネックレスを返すっていうのは、そういうことなんだろ?」 「まあ、そうだな」  周防は頷いた。口元に甘い笑みが浮かんでいる。  玲は周防の胸を押した。 「玲……?」 「なんで、来たんだよ。なんで、あの人と一緒にいないんだよ。ネックレスなら、拓馬に返せばいいだろ」 「どうしたんだ、急に」  ぽろぽろと涙が零れる。 「せっかく見つけたんだから、シンデレラを一人にするなよっ」  あのひとのところへ帰れ。  心で叫んで唇を噛む。 「だから、迎えにきたんだろう? 『サンドリヨンの微笑』もここにある」  周防はスーツの裡ポケットからネックレスを取り出した。剥き出しの光の束がサラリと零れ落ちる。 「おい、もっと大事に扱えよっ」  拓馬が叫んで、両手を差し出す。周防はあっさり、その手の上にネックレスを載せた。  これで終わりだ。 「もう行けよ」 「どこに?」 「あの人のところに」 「あの人?」 「赤いドレスの、綺麗な人。あの人がシンデレラなんだろ」

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