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【25】-10

 泣いてもやめないと言った周防は、けれど、玲が辛ければすぐにも引いてしまいそうな気配を漂わせていた。 「やめないで。やめちゃ、やだ……」 「玲……」  周防の背中に手を回し、何かを捕まえようとするかのように広い背中のあちこちに手のひらを這わせた。  左の脇腹付近の肌にかすかな段差がある。  次の瞬間、玲はそれが何かを理解した。 (あの時の……)  深い傷痕だった。ギリシャ神話の軍神のように美しい裸体に、無残に残された引きつった窪み。 (トモ……)  涙が溢れそうになった。次の瞬間、ふいに周防が大きく動いた。 「あ、ああ……っ」  かすかに引かれた後で深く強く突かれる。 「あ、あ、あ……っ」  何度か繰り返されるうちに、硬く太く長い楔が徐々に奥まで進んできた。 「あ、ん、あ……っ」 「玲……、っ」 「う、う……、ああ……」  杭を打ち込まれたかよように、身体が二つに裂ける。鋭い痛みが腰の中心を走り抜ける。  涙がぽろぽろ零れ落ちた。周防が覆いかぶさり、その涙を舐める。 「玲……」  唇を塞がれ、深く舌を差し込まれた。下肢の痛みから気を逸らせるように、舌を激しく絡ませる。水音を響かせるキスの合間に、周防は玲の中を進んできた。  しがみつくように四肢を絡ませ、身体を揺らす。  腰が打ち付けられる。

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