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【26】-1

 空調の行き届いた広い室内は快適で、外の嵐の音も聞こえない。  達した後も硬く芯を持っていた周防だが、やがてゆっくりと玲の中から出ていった。もっとそこにいてほしいと思ったけれど、いろいろやることもあるのだろう。仕方がないと諦める。  身体を起こした周防は、体液を満たした小さな袋を器用に結んで枕元のダストボックスに放った。間接照明のつまみを捻って照度を上げてから、玲の髪を撫でる。 「お腹が空いただろう?」  優しく聞かれたけれど、玲は首を振った。  本当に空いていなかった。胸がいっぱいで何も食べたいと思わない。 「トモ……」  片手を伸ばして周防の手に触れる。周防は再び身を横たえて玲を軽く抱きしめた。 「玲は、明日も仕事?」 「うん」 「身体は、大丈夫? 辛くはない?」  わからない、と首を振った。なんだかまだ尻に周防が挟まっている感じがするが、辛いというのとは違う。腰の痛みも、最初に感じたほどひどくはない。  周防は黙って玲の髪を撫でている。キスをしてほしいと思った。  黒い瞳をじっと見つめていると、「悪い子だな」とため息のように囁かれた。 「そんな目で見ないで。我慢してるんだから……」  脚に硬いものが押し当てられる。 「一度じゃ、足りないよ……」  ぎゅっと抱きしめられて息が止まった。  シャープなのに甘い印象の美しい顔。その顔を両手で包み、玲は自分からキスをした。  一度離れると、次には噛みつくようなキスが返された。深く舌を差し込み、玲の舌に絡め、強く吸い上げる。「ん……」と鼻を鳴らして、周防の首にすがると「知らないよ」と囁かれた。

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