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【27】-2
知らず知らずのうちに腰に手を当ててさすりながら、複雑な心境で何度も時計を見る。
座って休みたい。でも、会見が始まるのは、なんだか恐ろしい。
六時に『ホテル周防インターナショナル』の貸会議室に向かうと、思った以上に人が集まっていて、さらに憂鬱になった。
周防が現れるという情報がすでに流れているらしく、さして重要でもなさそうな、半分宣伝のような会見に、報道関係者が予想以上に多く集まっている。
昨日の夕方あたりから、「麗しの王子がついに婚約する」、「シンデレラが見つかったらしい」という噂が流れると、世の中の目が再び『サンドリヨンの微笑』の行方に集まり始めていた。
日々めまぐるしく興味の対象を変える世間が、相変わらず大きなニュースがない中、華やかな花嫁候補の紹介から本来の「消えたシンデレラ」へと、一周回ってと関心を戻した様相だ。
ネットの動画配信会社では生で実況中継をするらしい。
ほかにも翌朝の小さなネタ探しなのか、キー局のロゴをあちこちに貼りつけたカメラマンや記者まで顔を見せている。
伊藤の姿を見て、玲は顔をひきつらせた。
「大丈夫。玲ちゃんの出番はないわよ」
声を出して笑われて、一応信じることにしたけれど……。
液晶テレビにタブレットがつながれて、配信会社のホームページが画面に映し出される。簡単なマイクのテストの後、すぐに拓馬が話し始めた。定刻の五分過ぎ。
「本日は、当社の新作ネックレス『サンドリヨンの微笑』と秋の新商品『サンドリヨン・ライン』の発表イベントに、このように多くの方にお運びいただき、まことにありがとうございます」
パシャッとフラッシュが焚かれる。
「シンデレラが見つかったというのは……」
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