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【27】-5

「同感です」  真顔の伊藤が隣で強く頷く。表情を緩め「とてもお綺麗ですよ」と母を労った。  拓馬もフォローする。 「記者たちがガッカリしたのは、おばさんが既婚者だったからですよ。世間は周防氏の婚約者が登場すると思ってましたからね」 「周防さん……」  母が周防に向き合う。 「あの……、拓馬くんから聞きました。トモさんなんですね? あの時、玲を助けてくれた……」 「すみませんでした」  周防が頭を下げる。玲を危険な目に遭わせたこと、その後の記憶の件などに触れて、申し訳ないことをしたと繰り返す。  母は大きく首を振った。少し涙ぐんでいる。 「謝るのは私たちのほうです。ご無事で、本当によかった……」  そして、両手を合わせてにっこり微笑んだ。 「このたびは、ご婚約おめでとうございます」 「……」  周防は気まずそうに口元を覆い、目を逸らした。  会見では、周防の花嫁探し問題にも質問が集中した。  周防は「以前から心に決めている人がいる」「今回、その思いが通じた」「今はその人と生涯をともにしたいと考えている」といったことを、歓びを隠しもせずに気前よく答えた。 『婚約をしたということですか』 『お相手は……』  詳細は割愛、パートナーに関する質問には答えない。あっさりと告げた言葉さえ周囲が納得してしまうような、幸福そうな笑みを浮かべて……。 「どんな素敵な方が周防さんの心を射止めたのか、本当は知りたい気もするんですけど、詳細は秘密なんですものね」  にこにこ笑う母に、周防は意を決したように視線を戻した。

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