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【27】-6
「実は、お話したいことが……。とても大切なことなので、後日改めて、お宅にお邪魔したいのですが……」
「え……」
母は目を丸くした。
「うちに、来るんですか?」
「ええ」
緊張気味に周防が頷いた。チラリと玲を見る。母の目がさらに丸くなる。
「え……」
「あの、お母さん、俺……」
「え……? え……? そうなの? え……?」
何度か目をぱちぱちさせた後で、母は「まあ、まあ」と頬に手を当てて嬉しそうに笑った。
「ああ。そうだったのね。玲……、よかったわね」
「あの……」
周防が心配そうに母の顔を見た。
「いいんですか?」
「嬉しいわ」
目尻を指で拭いながら、母は何度も頷いた。
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