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「幸せになってね」  それ以上でもそれ以下でもない純粋な願いがそこにはあった。  消えたシンデレラが『SHINODA』の仕組んだプロモーションの一部だったことが報道されると、中には人騒がせだと反感を覚える人もいたし、急に興味を失う人もいて、数日続いた嵐のような客足は波が引くように元の状態に戻っていった。 「それでいいよ」  朝の情報番組を見ながら拓馬はふうっと息を吐いた。 「でも、在庫の石も加工を急がせてたんだろ」 「急ぐって言っても、すぐに出せる状態のものを早めに仕上げるのが精いっぱいだったし、正直なところそろそろ限界だった。品質を落としたら意味がないしな」  だから、ここでいったん落ち着くくらいが、むしろ助かるのだと続けた。  そんな状態で、それをおくびにも出さずに、ただ「売れ」と言っていた拓馬はやはりとんでもない商売人だ。 「クリスマスも近いし、親父に相談しながら、なんとかやってかないとな」  今はまだハロウィンの話題を伝えるテレビ画面を見ながら拓馬が呟いた。 「そういえば、知ってたか? 『サンドリヨンの微笑』を残して『レイ』が消えたって騒ぎになった後、何日かして、急に花嫁候補のお姉さんたちに焦点がずれていっただろ」 「うん」 「あれ、周防氏が手を回してたらしいぞ」 「え、そうなの?」 「玲が、自分の正体を知られたくないって思ってるのを知って、玲を守るためにダミーの候補者名を何人か流したらしい」  周防家の周辺には、家の中のことを周囲に言って回るおしゃべりな親戚が何人かいるという。

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