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【29】-2

「悪い。だけど、心配しなくていいんだ」 「でも……」 「大丈夫。孫ならもういる」 「え……」  実は周防には弟と妹がいて、それぞれに家庭を持ち、すでに何人か子どももいるという。 「そうなの?」 「ああ見えて、うちの母は、すでにおばあちゃんなんだ」 「そうなんだ」  急に気分が軽くなった。  ほっとして、漆塗りのテーブルに着いた時には笑顔になっていた。座面の低い椅子に座ると、庭がとても美しく見えた。  料亭で出されるような花かご弁当が運ばれてきて、香ばしいほうじ茶が注がれる。 「誰かが何か言ってきても、智之が決めた人が智之のパートナーですからね」  孫がいるとは思えない美しい女性が玲に言った。そして「嫌なことも、たくさんあるかもしれないけど」と苦笑する。  周防家の当主である彼女の夫も、隣で穏やかに笑っていた。 「それでも、私たちはあなたの味方です」 「どうか智之をよろしくお願いします」  二人は静かに頭を下げた。玲も頭を下げる。 「こちらこそ、よろしくお願いします」  食事をしながら、最近の騒動のおかげで誰が外の人間に情報を漏らしているのか、おおよその見当がついたと瑤子が言った。 「そろそろ好き勝手をするのも、やめてもらいます」  受けた恩は忘れたくないが、自分だけが何か言われていた時とは違い、今は子どもたちやそのパートナー、孫のことも守らなければいけないからと言う。 「だから、はっきりと言います。それでダメなら縁を切ります」

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