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王子様も眠れない(3)

 挿入は避けたほうがいい。玲のためには……。  それはわかっているのだ。わかっているのに、身体が我慢を受け入れられない。 「玲……、いいかい……?」  耳元で囁くと、小さな頭がこくりと頷いた。 「挿れて……。トモのが、欲し……」  言葉が終わる前に狭い場所に楔を突き立てていた。 「ああ……っ」  玲が悲鳴を上げる。  開いた脚の間に腰を埋め、さらに押し広げるように膝を掴んで打ち付ける。あ、あ、と喘ぐ声が周防の動きに重なった。 「ああ、玲……」 「トモ、トモ……」  好き、と腕を伸ばしてくる愛しい恋人を強く抱きしめる。唇を重ね、二つの場所でつながったまま、どちらも深く味わうように差し込んだものを動かした。  懸命に。  こんなふうに……、と頭の隅でふと思った。  こんなふうに、あの小さく可愛らしかった子どもを愛せる日が来るなんて……。愛しいと思うばかりで、どうすることもできなかった。若い日の切なく儚い想いが昇華してゆく。 「トモ……」  玲がしがみついてくる。 「俺……、こんなふうに、してほしかった……。ずっと、トモに……」  記憶をなくしていたはずなのに、玲はそんなことを言う。覚えていなくても、そこに周防がいなくても、ずっと、周防と同じように願っていたのだと。 「トモ……、トモ……、大好き……」 「僕もだよ、玲……。愛している」  いけないと、ほんのかすかに頭の隅をよぎる罪悪感をひそかに遠ざけ、高く上げさせた脚を掴んで深く突き上げた。

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