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修平くんが500円で何を買うのかを検証してみた。2
面白がられているのは明らかで、こんな空気は耐えられないから、もう一刻も早くこの場から立ち去りたい一心で立ち上がるも、また引き寄せられて今度は後ろからしっかりと抱きかかえられてしまう。
そして修平は楽しそうに笑いながら画面を指差した。
「これ、見て。コックリングだって。知ってる? 射精できないように縛っとくやつだよ。痛くないのかな? あ、168円。意外と安い。買ってみよっか?」
「買わねぇ! つか、離せ! 俺は向こうでテレビ観るんだ!」
「へぇー、素材によって値段ちがうのか。あ、これはステンレスだからちょっと高いね。500円じゃ買えないよ。残念だったね千秋」
「ちょっと待て! 俺が欲しがってるみたいに言うな。つか、離せよ。俺は向こうでテレビ観たいの」
しかし暴れる俺を物ともせず、修平はここぞとばかりに甘えたような声を耳元で響かせる。
「僕は千秋と一緒に買い物したいなぁ」
「買い物じゃねぇじゃん!」
そう言ってるのに修平はクスクス笑いながらマウスを操作して次のページを開いた。
そして表示された画面には細めの丸い棒状のものが並んでいた。それが何をするものなのか、俺でも想像できてしまって視線をそらすと、修平が俺の顔を覗き込みながらにやりと笑う。
「シリコン製のアナルプラグだって。シリコンだから痛くはなさそうだけど、どうなんだろうね」
「しらねぇよ」
「興味ない?」
「ない!」
そう言ってるのに、それからもそんな恥ずかしい質問をいくつか投げかけると、修平が不意に太腿を撫でてきた。
思わず身体が跳ねるとさらに付け根に向かって撫であげながら修平の息が耳にかかる。
「千秋の好きなところ擦ってくれるかも」
熱を帯びた吐息交じりの声に振り向くと目が合い、その目があまりにも妖艶に思えて思わずドキッとして俺の体温は一気に上がった気がした。
「赤くなってる。想像しちゃった?」
でもそれは修平を見てそうなったのであって、決してアダルトグッズが気になったからではないのに。
「気になってきたのかな?」なんて言いながら修平が笑うから思わず眉間に皺が寄ってしまった。
「なってねぇ……」
「千秋が一人でやるようになっちゃったらどうしよう」
「だから、気になってないって言ってるじゃん。一人でとかしねーし!」
俺が言い返せば言い返すほどに修平は楽しそうに返してきた。
「じゃあ僕が見ててあげようか」
「もっとやらねーって! 本当にいい加減にしろ!」
でも大きな声を上げると笑いながらだけど「ごめんね」って謝ってきた。
「全然、反省してない」
「してるよ。でも恥ずかしがってる千秋が可愛くてさ」
「可愛いとか言うな」
すると修平は満足そうに笑うと、俺の体を向かい合わせに修平の膝にまたがるように座りなおさせてぎゅっと抱きついてきた。
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