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修平くんが500円で何を買うのかを検証してみた。3
「さっきの嘘。おもちゃに興味なんか持っちゃだめ」
「そんなの最初から持ってないし。ってか、お前が変なこと言ってんだろ」
「うん、そうだね。ごめんね」
「なんだよ。変なやつだな」
すると修平はさっきとは打って変わって静かに俺の首筋に顔を埋めていた。
「修平?」
「千秋がおもちゃに興味持たないように頑張らなきゃ」
「何言ってんだよ。持つわけねぇじゃん」
「まぁ、千秋が一人でしてるのを想像するのは可愛いなぁって思うけどさ。やっぱり僕以外ので気持ち良くなられると複雑かな」
「想像すんな!」
「どうして? 恥ずかしいから?」
「ちげーよ! だって。俺ばっかりはやだ。……そういう時はお前も良くないと……そんなの虚しいだけじゃん」
するとなぜかそれから修平は俺の首筋に顔を埋めたまま何も喋らなくなった。
そして、そのまましばらく沈黙が続く。
修平がなにも言わないから少し心配になって修平の顔を覗き込むと、修平はとても嬉しそうに目を細めて優しいキスを落とした。
「ほんと、千秋は可愛いね」
そう言うともう一度キスをして、今度は唇の隙間から舌を差し込んできた。
「ん……っ、んっ」
歯列をなぞり舌先を吸われるとちょっと苦しくて身をよじりながらすがるように修平の腕を掴めば、さらに抱きしめられて舌が絡まり水音が響いた。
そして酸欠になりながら長くて深いキスが終わると修平は俺の髪を撫でながら優しく微笑む。
「僕も良くないとやなんだ?」
「えっ……んっ……ッ……」
俺の返事など聞かずにまた唇を重ねられてリップ音が響く。
「いつも僕がやってあげるところ。気持ちいい?」
「…………んっ」
「ねぇ、言って」
抱きしめられて耳元で囁かれるように言われるとくすぐったいけど、改まって言うのは恥ずかしすぎて俯いてしまう。
すると修平の笑い声の後に、優しい声が響いた。
「じゃあ、僕が言うね」
ゆっくりと顔を上げると、修平は優しく俺の髪を撫でた。
「僕は千秋が触れてくれるところはどこでも気持ちいいよ。こうやって千秋に触れてるときもすごく気持ちいい」
改まって言われると照れてしまう。
さっきまでからかうようにしか言わなかったくせにこんな風に言うなんて反則だ。
さっきまでからかわれていて、俺は怒ってたんだ。……怒ってたのに。
「ねぇ、千秋は?」
怒ってたはずなのに、すぐ許しちゃうんだから俺も甘いよな。
「……………………俺も、だよ」
素直に口にすると、修平が本当に嬉しそうに笑うから参ってしまう。
また俯いていると、修平が優しく俺の髪を梳きながら体を引き寄せた。
「ベッド、行こっか」
そのあと、しつこく何度もなんどもどこがどう気持ちいいのかって聞かれてものすごく恥ずかしい思いをする羽目になるのだが、そもそも修平がアダルトグッズなんか見てたから悪いのに……本当に理不尽だって思う頃には疲れ果てて意識が途切れた。
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