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モテ期到来 2
放課後は修平の家に遊びに行くことになっていた。
修平は俺のリクエストしたチョコレートケーキを作ってくれているらしい。
一応、俺も何か渡した方がいいのかなってチョコレートを買いには行ったんだけど……。
ラッピングしたチョコレートが並ぶバレンタイン特設コーナーには当たり前だけど女性しかいなくて気後れしてしまい、結局コンビニで板チョコを買った。
(チョコレートケーキとコンビニで買った板チョコじゃ釣り合いとれねぇよな)
「千秋、どうかした?」
不意に目が合うと修平は首を傾げた。
「別にどうもしない」
釣り合いは取れないかもしれないけど、俺に用意できるチョコレートは板チョコが限界だったわけで諦めるほかない。
でもまぁ、色々と変な勘違いもしてしまったわけだけど、付き合って初めてのバレンタインだったからやはりいつもとは違うワクワクした気持ちで一日を過ごした。
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帰りのHRが始まる少し前、修平からメッセージが来た。
『終わったら先に帰ってるから、ゆっくりおいで』
その言葉通り、HRが終わると修平はいつの間にか教室からいなくなっていた。
その早業には同じクラスの女子たちですら認識できていなかったようで。教室が一気にざわつく中、放課後になった途端に他のクラスの女子たちも廊下から教室を覗き込む。
どうやら修平はこの状況を予想して、すぐに帰ったようだ。
「ちょっと柏木! 新藤くんは?」
「帰ったけど」
「一緒に帰るんだって言ってたじゃん! 嘘つき!」
「なんで俺が嘘つき呼ばわりされなきゃいけないんだよ!」
そう答えるもその言葉は彼女たちに聞こえるはずもなく、今日は勘違いから始まり最後は女子たちに怒鳴られ、義理チョコすらも貰えずやはり散々だったなと思いながら修平の家へと向かった。
**
先に帰宅していた修平は制服のジャケットだけを脱ぎキッチンに立っていた。
「女子たちがみんな修平のことを探しに来てたぞ。修平いないから俺が怒られて散々だった」
すると修平は温かいココアを差し出しながら「ごめんね」って謝った。
「お前、それは全然反省してないごめんねだろ」
指摘すると修平は悪戯っぽく笑うと冷蔵庫を開ける。
「チョコレートケーキ、すぐ切るね」
出されたケーキはスポンジにはココアパウダー、クリームにはチョコレートが使われているらしく、まさにチョコレートづくしのケーキって感じだった。
クリームのみでデコレーションされたシンプルなケーキだったけど上からココアパウダーがかかっていてすごくお洒落で美味しそうだ。
「すっげー美味そう。早く食いたい」
「大きさどれくらい?」
「もうちょっと大きく切って」
大きめに切ってもらったチョコレートケーキを皿に乗せて、さっき入れてくれたココアとコーラを持って修平の部屋に向かった。
食べるのが楽しみでうきうきしながらローテーブルにケーキを置いて座ると、修平は部屋の鍵をかけると同時に俺のことを後ろから抱きしめてきた。
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