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第23話 僕の望み ・side夏威1

『かいちゃーん、ねぇ、これどうやって使うの?』 『かいちゃん、すごっ!』 花嫁候補のライバルだと匂わせても完全に安心しきって、つぶらな瞳をキラキラさせながら僕に寄り添ってくる瀬那くんは、十代のそれもまだ高校生で自ら園城家を選んだ力量としては大変弱いものだったけれど、純朴で純真、明るく打たれ強い…それが僕の分析。 僕、夏威(かい)は、今は理由があって身分を隠してこの屋敷にメイドとして逗留している。 園城家の執事筋である三浦家の睦月さんによって偶然に『園城家オメガの嫁入り』の情報を知った。 僕は園城家で生まれたけれど、ある禁忌を犯して園城家から除外された人間なので話が来たのは理玖兄さんだと思い、至っても居られなくて多少は変装してそれに一番女装が怪しまれないと思い勝手ではあるけど様子を探ろうと考えた。 理玖兄さんにふさわしいか、頑な兄さんを救ってくれる力量か。 僕は理玖兄さんの別荘の住所に瀬那くんを誘導すると先回りをして待つ予定で居た。しかし何故か瀬那くんは取次日時よりも早く来ていて焦ったけど、家の者にも怪しまれずにメイドとして瀬那くんの傍に近づくことが出来た。

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