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第36話 穴があったら入りたい永久に

お菓子を進められて口にしたれけど、全く味がわからなかった。メイドの先輩たちが噂をしていた有名な行列が出来るスイーツ店のだとしても……紅茶は乾いた喉だけを潤した。 かいちゃんはどうしたんだろう……俺はかいちゃんに会って話したかった。 利用されたってことだけど、俺なんてそもそもの邪過ぎる理由ですっごいアルファに見初められてあわよくば番にしてもらって金の左団扇の玉の輿に乗っかっちゃえ!精神で来たわけで……かいちゃんの真剣かつ壮絶な過去を知った今、そんな俺の浅はかであまりにも馬鹿さ加減に穴があったら入りたい……永久に。 「おれはオメガを尊敬しているんだよ、君に辛辣なことをさせて於いてこんなことを言うのも憚れるだろうが……この気持ちは昔から変わっていないんだ」 突然の言葉に俯いていた顔を上げてしまった。 なんとも言えないような辛そうな表情をして、それでも不快にさせないように俺の方を柔らかな視線で迎えてくれている。 「夏威のしたことを許してほしい…とは言わない。強制的に屈辱的なことをオメガの君にしてしまったのだから……おれからも――」 ガタンっと腰を掛けていたソファから降りて、なんてことをしてるんだろうか――絨毯の上に座って俺に頭を下げた。 「この通り、許してほしい」 「ちょっ!そ、そんなことは、し、したら駄目です!!頭上げて、ご、ごごごご主人様!!」 しっかりと床に後頭部を付けて離そうとしない。 俺は慌ててしまいソファの縁にぶつかりながらも理玖さんの腕を取った。 驚くほど理玖さんの腕は、手は冷たかった。

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