「あのさ……それってまさか…また金の屏風が何とかって御曹司の嫁入りだったら、俺は断じて断るからね！！」 心痛な面持ちで園城家(別荘だけど)から戻った息子の俺をもはや忘れたのか？ 差し支えない感じで説明したら、さすがに母さんも諦めたはずだ。 『長男さんは山や遺跡に夢中で嫁取りには全く興味なく、それでいて今は不在。次男さんに至っては既に行方不明』 そう説明したんだから。もう……泣きそうだった。 「えーとねぇ、あれから園城の御当主からお連絡を頂いたのよ。情報が交差しちゃっていたらしく御当主は何も知らなかったと言われたわ。何の事って？瀬那が花嫁修業兼メイド修行の事よ。労務ご苦労って言われてお給金も郵送され来てね。まぁ、あのことは忘れてしまいなさい、瀬那もその方が良いわよ」 「ええ？給金ってなにそれ知らないけど…てぇ、そうじゃなくてだからどういう意味なんだ、つまり！？」 「お給金は学園の支度金に賄おうと思ってるの、良く出来てるわよね☆」 今、聞き捨てならない単語が出てきたんだけど……耳を塞ごうかな。 「御当主が薦めてくれている学園があるの。そ・れ・が！なんとアルファの生徒がたっくさんいらっしゃる学校なのよっ！」 ・・・・。 「それでね、瀬那、転校しましょう？」 両手を合わせて、首を傾げながら母さんは喜々として万弁な笑顔で俺に宣告した。 「父さんが学園まで送って行くよ。全寮制らしいから荷物も多そうだしね」 父さんの言葉が今回、最も辛く感じた気がする。