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第44話 オメガのL

「いえ、すみません、あの……ちょっとクラッとしてですね……」 学園に来たばかりなのに高所恐怖症って、この先大丈夫かな、俺。 「あれ、君さ、もしかして……」 助けてくれた優しい学生さんが何かを感じ取ったようにジーっと見つめて来る。 そんなに見つめられると照れるし、そういえばこの人、美形だけど……髪が長い…おかっぱって言ったら失礼かな。 「転校生じゃないの? 2年に来るって話の」 「はい!そうでありますっ!」 俺から説明しなくてもわかってくれてる、さ、さすが何もかも行き届いていて嬉しい。だって人見知りだから……これでも、俺。 「だよね。しかし随分、失礼だけどどこにでもいるような特徴のない平凡顔だね……。まぁ、おれについて来て」 失礼だって断ってくれてるので良しとしよう!どうせ平凡顔だ。……ところでオメガ顔ってどんなのかな? かいちゃんはキレイだったけど元はアルファって言ってたからなオメガ顔わからない……。 「あの……変な事を聞きますけど、オメガの人ってどんな特徴があるんですか?」 先を歩いていた生徒は、ピタッと止まった…距離がちょっとぶつかりそうだったから急ブレーキを掛けたようだ。俺の質問はそんなに驚くことなのかな……? 「君って面白いね、って言うか、変人だね……フフ、皆の暇つぶしになりそうで気に入ったな。どうせベータなんだろ? 東小路の傘下に入れてあげてもいいなぁ……余興とかあるので楽しいよ」 ま、まって、さらっと変人扱いされたし、“ひがしこうじのさんか”って何だろう?それに俺は見た目こんなだけどベータじゃないので訂正した方が良いのかな…? 「L、こちらの転校生をおれの傘下にしたいと思うんだ。忠誠を誓って?」 「え?」……気付かなかった、それくらい影の薄い、でも姿を現した存在感は驚くほどの人物で……。 「ああ、この『L』はオメガでおれのサーヴァントだよ。この学園ではベータは残念だけどサーヴァントは持てないが、余興は楽しむことは出来るんだ。…そういえば君はナニ君だっけ?」 俺は呆然として、ちょっと固まった。オメガだとも言いづらくなった感じの空気……。 「野村瀬那……っす」 「野村瀬那クンね。フフ、名前もまぁ……。ああ、そうだ。さっきオメガはどんな特徴って言っていたよね、この通りおれ(マスター)には忠実で口数も少ない。容姿は美しいが脆く儚い、ぬくもりを欲している……Lを見ているとそんなところかな」くすりと綺麗に笑った。 オメガの人は、は、儚いんだ……ってかエルって変わった名前……。 そして、エルさんは俺に跪いて靴に口を付けた。 「・・・・ええーーッ!!」 ドン引いた俺は大きくよろけて、廊下の床に尻もちを付けた。

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