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第46話 めちゃくちゃ凄い御曹司

――医務室と表記されてるプレートを見上げた。 エルさんがトントンとノックをして医務室に入ると、医療の消毒のニオイが鼻を掠めた。ワンフロアの広い白い空間にはベッドが複数あって簡素な天蓋が付いている。その奥にもまだ個室のような部屋がある見たいだ。 務室の先生がマイデスクから立ち上がりこっちにやって来た。白衣を着てる先生はちょっと年配の渋い感じ。 「東小路君ではないですか、付き添いでいらっしゃるなんて珍しいですね……君のサーヴァント、宇野君は今回はどうしました?」 「いいえ。……大変奇特で珍しい荷物を拾ったので診ていただこうかと。それと転校生だそうですよ」 「はい?」 充分な説明はされなかったけど転校生だと伝えてくれて医務室の先生に引き渡された。声を出したくても脳天に響いて痛い……。 それでも医務室まで送ってくれたお礼を言わなければと顔を上げた。 最初に会った時のような親切そうな雰囲気は消えていたけど……。 「あの、ありがと、ございました。エルさんと……先輩さん?」 あまりにも上から目線なので先輩ですよね! 「おれは君と同じ2年なんだけど。東小路飛古(ひがしこうし ひこ)って名前、この学園では憶えて損はないからね」 東小路さん…同学年だったとか驚きだけど、めちゃくちゃ凄い御曹司なんだろうと自分に言い聞かせた。 東小路さんはエルさんを従えて(ように見える)踵を返した。…そういえば宇野って先生が言ってた気がしたけど? 医務室の先生の手が俺の後頭部に触れたのを意識しながら二人を見送っていたら、エルさんがチラッとこっちを振り向いた。 「……っ」 エルさんと視線が合ったけど、目の色も表情もまったく無くて……少し怖いって思った。 それに一度も声を出してなかった、何でだろう? まるで東小路さんに命令されていてなんか嫌な雰囲気だった。 俺の、人の靴なんて口付けて……嫌じゃなかったのかな。 「い、痛いてぇぇーっ」 「大きなコブが出来てるねぇ」 突然、頭に雷が落ちたような激痛に襲われて飛び上がった。そんな時――。 「東条先生、生徒が見えたんですか?」 俺の記憶が間違いで無ければ、聞き覚えのある柔らかなトーンの声がカチャっとドアの開く音と一緒に聞こえた。

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