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第50話 医務室にて 4

気になるのは理玖さんとのことだけど、今は頭がジンジンと痛くて聞き出すことも出来ない。 医務室の先生が冷やすものを痛い箇所に宛がってくれて少しは楽になるのかな。 ああ、なんか気持ちがじりじりするなぁ……それにかいちゃんは俺からの視線が合うとサッと交すのはきっとあの手紙の事だよね……まったく触れようとしないし。眼鏡を掛けているのはもしかしてもしなくても照れ隠しとか……? 『兄と僕はヒート以外にも関係を続けることがあって――』 うおー、なんであんな一文を思い出すんだ、俺!! 照れる!! 「ど、どうしたのですか、君たち?」 気の毒になるくらい医務室の先生はうろたえ始めた。 かいちゃんはくるくるっと視線を回しながらついには眼鏡を外して遊んでいる挙動不審者……俺はというと痛みに歪ませた顔とあの一文が頭に入ってきて悶絶気味に顔の色がただならぬ気色悪くなってるし――先生が気味悪がるのも無理はないよね……。 「東条先生……僕は公にしたところで笑い者になるだけなので何の不利もないのですけどね。園城家の血筋がこの学園に忍び込んでいると言うのは周知していないようですけど」 「夏威さん、そんな事を言うものでない。君は立派な――」 「僕は東条先生を頼って来ただけの只の助手です。自分はオメガですけど……オメガなりに“彼ら”の役に立てれば本望なのです。それに瀬那君がこの学園に来たとなると……守るのは僕しかいないから、まったくね」 照れて視線を外されていたのかと思っていたのに、俺に呆れているような視線を向けられた。ちょっと軽蔑的に――! (なんでー?) 「……オメガは大変なんだよ、この学園では……」 (ん?) 「誰の仕業かは何となく察しは付いているけれど、来てはいけない場所に来ちゃったんだよ。承諾はしてはいけなかったんだ、瀬那君は」  <あの別荘に居れば良かったのに……理玖兄さんの傍に> そんな呟きを俺に向けられたけど、うーや、かーとかしか言い返せない自分が歯がゆいよ。

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