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第12話

仕事以外でも下半身の思うがまま生きているせいか、舛花はよくこうしてお咎めを受けているとわけなのだ。 今回の罰もいつものように庭掃除か寮の風呂掃除あたりだろう。 そんなの朝飯前だし…と高を括っていたのだが、楼主が舛花に言い渡した罰は全く予想外のものだった。 「オマエはしばらく見世にでなくていい」 それはつまり、舛花に客の相手をしなくていいということ。 もっと正確にいえば、セックスができないということだ。 舛花にとってそれは、自分の身体の一部を取り上げられるのと同じくらい大問題なことだった。 絶望で頭が真っ白になった舛花に追い討ちをかけるように、楼主は更に過酷なことを命じてきた。 見世に出れない間、をやれと命じてきたのだ。 しかもその相手はよりによってゆうずい邸の男娼。 (しずい邸の男娼をオマエみたいな奴に会わせるわけねぇだろ、戯けと楼主に一喝される) タチ専の舛花にとって、ゆうずい邸希望の男娼など論外なのだ。 しかもそういう教育系は本来なら男衆の仕事である。 光の当たる場所で目立つ事が生き甲斐のような舛花にとって、地味で目立たない裏方の仕事を長期間やることなど、もはや拷問に等しいのだ。 そういう経緯があって、舛花の機嫌は今最高潮に悪いのだった。 しかも今まさにその新人の部屋に向かっている途中なのだが、皆と同じ寮ではなく蜂巣の一部屋を与えられているというのも舛花を苛立たせていた。 舛花が研修を受けた時はゆうずい邸希望のギラギラした男ばかりが集まったむさ苦しい大部屋だったというのに。 「まぁまぁ、楼主も舛花様の腕を見込んで頼まれたんでしょうし」 男衆の言葉にどすどすと床を踏みつけながら歩いていた舛花の足が止まる。 「ま、まぁ確かに俺はゆうずい邸で一番かっこいいし、器用でなんでもできちゃうから任せたい気持ちはわかるけど」 あっという間に機嫌の良くなった舛花の気配を背中で感じながら、男衆は「そういうところが長所でもあり短所でもあるんだよな」と内心呟いたのだった。

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