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第27話

勝手に剥ぎ取られた下着を菖蒲の手から奪い返すと、舛花はガシガシと頭を掻いた。 「あのさ、ヤリたい気持ちはわかるけどそろそろ俺んとこ来るのやめてもらえるかな」 「どうして?」 舛花の反応を気にする様子もなく菖蒲はキョトンとした表情で首を傾げる。 以前の舛花であれば、そんな仕草も下半身を煽るきっかけになっていた。 だが、今は一ミリも響いてこない。 「どうしてって…見りゃわかるでしょ」 舛花はため息をつくとベッドから起き上がろうとした。 だが、それを阻止するかのように菖蒲が跨ってくる。 「でも菖蒲は舛花がいい」 体重をかけられ、身動きのとれない舛花の上で菖蒲は着物の裾を捲った。 滑らかな太ももが表れ、辛うじて着物に隠れていた場所が目の前に曝される。 そのまま菖蒲は片脚を立てるとグッと上体を反らした。 菖蒲は下着を履いていない。 腰を突き出した事により、陰茎の向こうの奥まった場所までよく見えるようになる。 使い込まれ花のような形へと変形した後孔は目視だけで濡れているのがわかった。 「ちょっと着物をチラつかせれば乗ってくるチョロい奴だと思われてるんだ」 少し前、楼主に言われた言葉が頭を過ぎる。 そう思われて当然の事を散々してきた。 性に奔放な生き方が一番自分に合っていると思っていたし、セックスさえできれば他のことなんてどうでもいいとさえ思っていた。 だから今更菖蒲の誘いに対して冷たい態度を取ることは、今までのそういう自身の考えを覆すことになってしまう。 こんなの全く自分じゃない… おかしいのは自分でもわかっていた。 だが、こんな美味しい状況を目の前にしても、体も心も全く反応しないのだ。 「あのさ、別に俺じゃなくたってヤれる奴いっぱいいるんだろ?」 舛花の言葉に菖蒲の目が大きく見開かれる。 いつもとろりとして熱っぽい菖蒲の目が、信じられないくらい大きく見開いたのだ。 「なんでそんなこと言うの…菖蒲のこと嫌いになっちゃった?それともエッチが下手だった?」 「いや…そういうんじゃなくってさ…」 わなわなと震えながら訊ねてくる菖蒲の予想外の反応に舛花は言葉を濁した。 女の子のような見た目でどんな卑猥な要求にも答えてくれる菖蒲は、男にとっては申し分のない男娼だ。 肉づきも良く抱き心地は柔らかいし、中の具合も最高にいい。 だが今の舛花にとって、菖蒲のセックスの誘惑以上に頭の中を占める存在があった。 青白い顔に抱き心地は最高に悪そうな骨っぽい身体。 真面目で頭がかたくて、頑固で意地っ張り。 キスだけで顔を真っ赤にするような童貞で処女で、かわいさのかけらもない菖蒲とは全く真逆のような男。

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