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第4話 所有の焼印
スマートフォンの通知が表示される。
『こんばんはヒナちゃん。明日は十時に改札前で待ち合わせでいいかな?』
今までは交換ノートでやり取りをしていたが、デートの前はネットの力を頼らざるを得なかった。ミサキとのメッセージを月飛に知られてしまったらと考えると、日向は落ち着かなかった。しかしそのリスクを負ってでも、ミサキとふたりきりの時間を過ごしたい。
今まで日向が好意を寄せる女子は、不思議と日向から離れていった。
どこかで兄の力が働いているとしか思えないほどに。
ミサキだけは、ミサキだけは月飛に知られたくない。月飛から守りたい。
日向はベッドの中でミサキへの返事を打ち込もうとしていた。
部屋のドアがノックされたのは、そのときだった。
「日向、まだ起きているか?」
月飛だ。
日向は慌ててスマートフォンを隠し、身支度を整えて、部屋のドアを開ける。
「どうしたの、にいちゃーー」
日向の問いかけは月飛の手のひらで塞がれた。
「んんーーっ!」
小柄な日向では長身の月飛に手も足も出ない。口を塞がれたまま、日向はベッドに押し倒される。
また無理矢理犯される。
涙ながらに月飛を見上げると、兄は愉悦に満ち溢れた目をしていた。
「にいちゃんの言うことは絶対だよな?」
反抗したら殴られる。
口を塞がれている日向は大きく何度も頷いた。
「いい子だ。そのまま動かないように。大声も上げるなよ」
ゆっくりと手を外しながら月飛が命じる。日向の上から退いた月飛は、自らのベルトを引き抜き、言った。
「うつ伏せになるんだ。両手を背中に回して、交差させるんだ。いいね、日向」
日向は月飛の意のままに行動した。
腰に月翔の体重がかかる。背後に回した両手はベルトできつく拘束された。
「なあ、日向。ここで一本吸ってもいいか?」
「え……?」
「この部屋で、一服してもいいかと聞いているんだよ」
月翔が煙草を吸うようになったのは最近のことだと聞いている。だが日向の前では一度も吸う姿を見せなかった。兄の意図はわからないが、日向に断るという選択肢はない。
「いいのか、わるいのか、答えろよ」
「……どうぞ」
日向の答えを聞くと、月翔は弟の上に乗ったまま煙草を吸い始めた。
部屋の中に月翔がくゆらせた煙が静かに舞う。
「――――お前、明日は本当にあのクソガキと遊ぶんだろうな?」
煙草を咥えながら、月翔が地を這うような声で問いかける。
あまりの迫力に日向はすぐに答えられなかった。
「俺の顔を見ろよ」
「うわっ」
日向は情けない声を上げた。月翔が強引に日向を仰向けにし、パジャマのズボンを下着ごと脱がせたからだ。
「間違ってもここを使うなんてことはないよな? にいちゃんは心配なんだよ。日向のここは俺だけのものだろう? 他の誰にも見せないよな?」
縮こまった性器を揉まれ、日向の目に涙がにじむ。
「日向を信じていいんだよな? でも今日、日向は俺との約束の時間を破った。俺は日向を信じたいけど、信じられなくなっている。日向の口から聞きたいんだ。日向はにいちゃんのものだって」
「ひ、日向は、にいちゃんのものです……」
「もう一度言ってくれ」
「日向は月翔にいちゃんのものです……っ」
「もう一度……」
月翔は日向の性器をもてあそびながら、片方の手で火のついた煙草を掴み、日向の股間にあてがう。
「……やめて」
「お願いだ日向。にいちゃんを安心させてくれ」
「やめて!」
「愛してる……」
「――――っ!」
愛の言葉と共に唇が塞がれる。
続けて日向を襲ったのは、今まで体験したことのない痛みと、肉が焼け焦げたような臭いだった。
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