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第6話 優男の仮面

 月飛にミサキの存在を知られてから、日向は毎日怯えて過ごしていた。 しかし日向の予想に反して、月飛は人が変わったように日向に対して良い兄のように振る舞った。 「日向よかったなあ。あんなに可愛い彼女ができて。にいちゃんは嬉しいぞ」 「いつから付き合っていたんだ。どうせなら一度うちでデートすればいい。もちろんにいちゃんは出て行くからさ」 「どこまで済ませたんだ? キスはとっくに経験済みだろう? その先までやったのか?」  これまでとは違う意味で過干渉になった月飛に、日向は嫌な予感がした。  文化祭の日から早二ヶ月ほど経つが、その間に月飛からの性的虐待はおろか、肉体や精神面への暴行がぴたりと無くなった。  そればかりか毎日の送迎や門限の撤廃、土日のスケジュールも自由に立てられるようになった。  これが普通のことだと頭では理解しているのに、日向は心のどこかで寂しさを感じていた。  ーーにいちゃんは僕がいなくてもいいんだ。  日向の心配事はもうひとつあった。  文化祭の日を境に、ミサキが高校を休みがちになっていたのだ。

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