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第33話
キッチンに2人並んで立つ
白菜・豚肉・椎茸・人参・豆腐・ネギにその他諸々......
切って分けていく
横を見ると真剣に食材と対峙する美形
先生の包丁さばきは、少し怪しい
なんでも卒なくこなす先生の唯一苦手なこと
これを知ってるのは僕だけですか、望月先生......それとも......?
「なお?手がお留守ですよ」
「!先生の包丁さばきが危なっかしくて......」
「残念ですね......てっきり、私に見惚れいたのかと。少しドキドキしたのに」
「え!?」
慌てる僕を脇に冗談ですよ、とウィンクして悪戯が成功したように笑う
「できましたね......」
クツクツ煮える食材たち
出汁の匂いが空っぽの胃袋を刺激する
「......鍋を食べるのは初めてです」
「え?食べたことないんですか?」
「勿論、お店では食べることはありましたが......家で誰かとこうやってつつくっていうんですか?それは、経験がないですね」
テーブルに電気コンロを敷いた土鍋をまじまじと観ながら意外なことを言う
「そうなんですね......僕も先生のハジメテを貰えました」
「!?......そうですね、なおがハジメテです」
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