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第52話+α
「おかえりなさ~い」
「どうしたの?すごく嬉しそうだね」
廊下を勢いよく走ってきて私にポフッと体当り
「うん。文と遥にお祝いしてもらったんです」
「へ~、よかったですね。お気に入りのカフェで?」
「はい。で、そこで文が教えてくれたんです」
「なにを?」
顔を上げて視線を合わせて満面の笑みを浮かべる
私もつられて笑みを浮かべて小さな身体を抱きしめる
そのまま、私の足になおの足が乗った状態で寝室へと鞄を置きに行く
「この時計の意味です」
「え?」
「同じ時を刻む手錠だって文が言ってました」
「あー......」
恥ずかしい......独占欲が強すぎるやらしいオヤジだと思われたか?
「違うんですか?」
「............いや、正解ですよ。ただ......」
「ただ?」
「なおは、引かなかった?それを知って。なんて独占欲の強い男だと」
それを聞いた彼は、キョトンとする
「......伊織、可愛い。僕は、むしろ嬉しかったですよ?その、プロ......ズ......で」
最後の方は、声が小さくてあまり聞こえなかったが......嬉しいのか、よかった
「よかったです。......なお。今度のお休みは、出掛けましょう」
「やった!ドライブ?何処に行くんですか?」
目がキラキラしている
「少し、遠いのですが。樫渚の方に」
「おぉ、海ですね!楽しみです!」
海か......こういうのは、言わない方がいいよな
「少しおめかししてください」
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