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第57話+α
『ちょっと、これどう思います?』
帰宅すると文君が来ていた
が、いつもの様な飄々とした感じはない
差し出された白い紙には、数行のメッセージ
テーブルに置かれた封筒には、機械で打ったと思われる宛名
封筒の蓋の端には、カッターの刃がびっしりついている
「少し待っていてください。着替えて来てゆっくり話しましょう」
内容からして
あなたというのは、なお
彼というのは、私だ
消印がないということは、犯人が既に居場所を特定しているということ
ここから近いところに自宅又は職場がある人物だ
「なおには、心当たりがありますか?」
「んー。僕が伊織と付き合っていることを知ってるのは、文と遥くらいです」
「そうですか……ということは、私の知り合いという線が濃厚ですね。お金を使えば、いくらでも調べることができますからね。こちらも少し専門家から手を借りましょう」
文君がホッとため息をついた
なおについていて無意識に気を張っていたようだ
「思ったより早く片付きそうですね。じゃ、望月先生来たし帰るね!おじゃましました〜」
「ありがとうございます、文君」
文君を玄関まで送ってリビングへ戻ってくる
なお......
未だに椅子から動けないでキュッと唇をつむっている
ホットミルクを用意してソファーまで抱き上げて連れて行った
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