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第66話
「なお!」
ドアが開いた瞬間、ギュッと抱き締められた
「伊織、おかえりなさい」
いつもより早いご帰宅だ
「伊織。なおちゃん、頑張ったよ。褒めて安心させてあげて?明日は、1日休んだんでしょ?」
「あぁ、事情を話したらそうしなさいって先輩達が......」
「そう。僕の部下に会わなかった?」
「エントランスですれ違ったかな」
「そっか。じゃあ、原田さん引き渡して帰るよ」
ヒラヒラッと手を振って秋さんが帰っていった
「ありがとう。秋兄さん」
「よかったです。無事で」
伊織が柔らかく微笑んでくれる
「なんで、原田さんは僕を脅したりしたのかな?」
「嫉妬でしょうね。私にも貴方の子供がいると言い寄ってきたくらいですから」
......ん?伊織は、原田さんと付き合ってたの?
え?じゃあ、僕の方が邪魔なの?
モヤモヤッとしているところ、ムニッと両頬を押さえつけられる
「また、何か変なこと考えてますね?」
変なことってなにさっ
色々悩んでションボリボリ......軽くshockを受けてたところさっ
「......伊織は、彼女と肉体関係があったの?」
「ありませんよ。道端で偶然拾った酔った彼女をどうにもできなくてホテルに置き去りにしたことくらいですかね?」
「え?それって......」
......それって?それって、それって......それって?
「彼女の勘違いですね。子供の父親は、商社に勤めているβ性の男性ですよ。ただし、既婚者ですね」
そっか、それで彼女は......あんなこと
でも、安心した
「よかった~!伊織は、僕のもの!」
「はい」
ギュッと伊織を抱き締め返した
我ながら、単純 笑
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