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第2話

 部屋に入るや否や速攻ベッドの上に押し倒され、噛みつくようなキスをされた。口の中を蹂躙するような激しさに息もままならなくなり、酸素欲しさに舌を押し返すように応戦していくが、男は勘違いしたのか更に激しく絡ませてくる。  恋を拗らせていた俺は、これまで性的接触をしたことがなかった。簡潔に言えば童貞。この男のように上に乗られ、脚は絡まり合い、手は頭の上で指を交差して繋ぎ合い、口の中まで触れ合う行為は初めてで、与えられる刺激を受け入れる事で精一杯になった。 「はぁ…ん、んんっ、」 「雪雄君、sexも初めてなの?」  声には出せず首を縦に振り意思表示をすると、男はまるで好物の獲物を見つけたかのように上唇をテラテラと光る舌で舐めている。 「最高だね…。堪らなく気持ちよくさせたい。」 「んんっ、……ひっ」  男は慣れた手つきでローションボトルを開け、俺の下肢に垂らすとつぷ…と臀部の蕾に指を入れる。蕾は難なく1本呑み込んでいく。 「柔らかいね。オナニーの時はここ、触ってるの?」 「……っ!」  人のオナニー事情を言われ、羞恥心で相手の胸を殴ったが、痛がる様子もなく蕾の指をすぐ2本に増やされる。 「んああっ!」 「ここ気持ちいい?」 「…あ、あっあ、あっ」  男の性技は熟練しており、俺の前立腺はすぐに見つけられ重点的に責められる。ペニスからはカウパーがとろりとろりと溢れてきた。 前立腺を刺激されながら、もう片方の手は乳首に触れてくる。左側を爪で引っ掻かれ、摘まれたり、捏ねるようにグニグニと弄られるのは視覚的にドキドキと胸が高まった。乳首は自分で触っていなかったので気持ちいいとはならなかったが、小さな火が灯るような疼きは感じてしまう。蕾を解していた指はいつの間にか3本に増え、ずるっと抜かれると口惜しそうにパクパクと穴周囲の筋肉が収縮するのがわかる。 「挿れるよ。」 「え、ちょっ……!ん、ん…ぁ、あああっ……!」  指とは比べ物にならない質量が内臓を押し上げるように侵入してくる。内壁を擦るように入ってくるペニスは、初めての感覚で、大きくて、太くて、熱くて堪らない。締め付けるとドクドクと脈動まで感じてしまう。全部入りきると、ゆっくりとした腰の動きから徐々に速さを増していった。α特有のノックがペニスの根元に隆起し、瘤の部分が動く度に前立腺を的確に擦り上げていく。 「あっあっあっ!ダ、だめぇ…!」 「…っは、コリコリしてる、ここでしょ…?気持ちよすぎる?」 「よ、良すぎる…っからぁっ!と、止まっ…てぇ、あっあっ」 「うーん、まだ後ろじゃイケないか…。…ん、じゃあ中に出すね。」 「…な、中っ?あっあっ、そ、外っ、外に、出して…んあっ、ああっ」 「もうノックしてるから抜けないよ。」 「あっあっ、…そ、んなぁ、あっ、ふ、ぁあ…っ」 「奥に沢山…、注いであげるから。」  耳元で囁く掠れた声でゾクゾクと甘い痺れを感じる。αの精子は繁殖能力が強く、俺がΩだったら妊娠の可能性があったが、βは妊娠する確率は0%だ。出されても後で綺麗に洗えばいい。今はただ気持ちよくて、イきたいと身体が欲する。 「…っ、出す…よっ!」 「ふぁああっ、あっあっあっ、…んあ!あああっ…!」  激しいピストンの後、俺の腰を固定して奥に注ぎ込むように男は腰を前に突き出した。内壁の奥に暖かい液体が注ぎ込まれてるのが良くわかる。俺も同時に射精し、気持ちの良い倦怠感が出てきて乱れた息を整えていたが、男がゆっくり腰を動かすとその違和感に身体がびくっと反応する。 「…!え、あっ、ま、待って!中!まだ瘤があるから!」  精が注ぎ込まれ始めても、根元は隆起したままで中に注がれ続けている。イッた後で敏感になっている前立腺が圧迫されながら擦られていく。 「ああっ!そこダメ!動かないで!」 「ノックが当たって気持ちいいでしょ?イッた後に擦ってると、いつか後ろでイケるようになるよ。」 「そんな…ああっ!ダメ!揺ら、すなぁ…!」 「気持ち良すぎる?βにもΩにもない、ただ唯一のαのペニスだもんね。」  緩く腰を動かされ、快感の波が訪れてくる。腰を動かしながら、亀頭や裏筋を愛撫してきたため、一度出して下を向いていた俺のペニスが再び頭を上げて主張してくる。 「あっあっあっ!」 「いっぱい気持ちよくなって。何も考えられないくらいに。」 「あっ!ま、また!イッちゃう…っああっ!あああ!」  たっぷりと奥に出されている間の振動で俺は2回目の吐精をすると、人から与えられる過ぎた快感についていけず、電池が切れるように意識を手放した。  ✳︎ ✳︎ ✳︎ 「…んあ…っ?」 「あ?起きた?」 「おい、ひっつくな…あっ!」  目の前に金髪のイケメンがいた。身動ぐと内部にまだ留まったままのペニスの存在を認識する。まだ内部に精子が出ている感覚があるので、意識を失ってそう時間は経っていないようだ。 「まだイッてる途中だから動くとまた気失っちゃうかもよ。」 「……っ。」  そう言われるとどうすることもできず、ジッと相手の射精が終わるのを待つ。今は腰を動かしていないので、燻るような気持ち良さはあるものの、苦しくはなく平然とした態度で接することができる。 「sex気持ちよかった?」 「……ああ。」 「そっか。俺も最高に良かった。今までで一番だ。」 「……あっそ。」  Ωが聞いたら狂喜しそうな言葉をβの俺に吐く意味がわからない。ベッドでのピロートークでみんなに言ってるのだろうか。こんな事言われると勘違いする奴も出てくるんじゃないかと要らない心配をしてしまう。 「…本当つれないね。そんな反応されたの初めてだよ。」 「……まだ出るの?」 「後5分ぐらいかな。」 「長い……。」 「ねぇ。」 「…なんだ。」 「俺さ松元君が運命の番だと思うんだよ。」 「………。」  何言ってるんだコイツは。 「こんな風に俺に口を聞く人は他にいないんだ。好意にしても、嫉妬にしても……、何かしらの感情を俺にぶつけてくる…。雪雄君は俺に無関心だったけれど身体の相性は最高で俺に安らぎを与えてくれた。君が快楽を求めてる姿は最高だよ。無視してた俺からの快楽で、手の中に落ちてきてくれたんだ。そして君が失恋したところに俺だけが駆けつけた。まるで俺に救って欲しいみたいに泣いていた…。ほら運命だよね?運命の番だよ…。」 「……俺、βだけど。」  ロマンチックに言いたいのかもしれないが全く心に響かない。そもそも運命の番はαとΩが魂で惹かれ合うという、都市伝説を実際に目にはしたことがあるのは飛翔たちだけだ。しかも運命の番に関係があるのはαとΩだけで、βは蚊帳の外の話。αなのにそんな事もわからないで馬鹿なのかコイツは。 「βとか関係ないよ。俺の運命の人。」 「……俺は運命なんてこれっぽっちも感じてないけど。」 「うーん…。じゃあさ、とりあえず俺と付き合ってくれない?」 「は?」 「ずっと一緒にいたら運命だったって絶対わかるよ。ね、付き合おう?」 「いや、俺は付き合いたくない……ああっ!」  急に腰を揺らされ、激しい快感が身体を支配する。動かずにいてくれてたのに、何で急に動くんだ…! 「付き合おう?気持ちいい事沢山してあげるから。」 「ああっ!く、クソが!付き合うか!」 「……じゃあ付き合うって言うまで、ペニス入れたままね。」 「はぁ?!んああっ!あっあっ、動かさないでぇ!ああ!」 「ん……、また大きくなってきた……。ほら、俺のも大きくなってきたよ……。すごく感じやすくて、声も、顔も、身体も可愛い…。本当に俺の為の番だ。」 「あ、あ、はっ…、ああっ、ん、んぁ」 「ねぇ雪雄君…、付き合ってくれる?」 「い、イヤっ…!えっ、んあああ…っ!」 「ああ…、深いところまで俺に吸い付いてきて包んでくれてる。離さないって中がうねってるよ。」  奥を突かれ目の前がチカチカと星が散る。既に体力の限界はきており、力は入らず無抵抗のまま激しく抱かれる。付き合うのを拒否したらこれがずっと…?目が嘘をついてない。本気で言ってるんだとわかる。ああ……無理だ…。身体が壊れる…。 「…ん、あっ!わ、わかっ、たぁっ」 「ん?」 「あああっ!は、激し…っ!は、あっ、つ、付き、合う…っんん、んっ」 「本当?付き合ってくれる?」 「付き合う!付き合うからぁっ!も、ああっ!やめて…っああっ!ああっ!」 「…っく、………っ、じゃあ、これから宜しくね、雪雄君。」 「はっ、あ!…っあああ!んあっあ……!」  俺の返事と共にこの男は2回目の精を腸内に吐き出した。

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