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ここは・・・どこだ? 自分の部屋ではない天井が自分を見返しているように感じて、ぶるりと項が泡立った。 何故自分がここに居るのか記憶がない。 ゆっくり腕を動かしてみるとちゃんと動く。目の前に手の平を持ってきて指を一本一本動かしてみれば、ユラユラと指たちが揺れた。 夜だというのに窓の外が淡い色に光っている。雪が降ったのか・・・。 地面や建物に積もった雪は街頭やネオンの光を反射し、空を淡い色に染める。空を見上げれば中心部がどこにあるのかわかる。 ということは、ここはそれほど郊外ではないということだ。 顔を横に向けると、隣のベッドの住人は静かに寝息を立てていた。ゆっくり上半身を起こすと6つのベッドには自分をふくめて4人が寝ている。 病院。 何故ここに? やはり何も思い出せない。 昨日の自分も、ここに来た自分も思い出せない。 ナースコールを押そうか。腕を伸ばしながら身体をひねると息が詰まる程に全身が軋んだ。呼吸を深くしてやり過ごす。こんなに体が痛い、そして病院にいる。どこかにぶつかった?どこかから落ちた? 朝になれば、すべての物事が始まり進んでいくはずだから、どうしてこんなことになっているのかを聞くのはその時でいい。 状況をつかんでいないということは不快であるはずなのに、なぜかそれが心地いい。 そろそろと布団をひっぱり首まですっぽり埋まって眠りを引き寄せる。 色々と忘れているのだろう、でもいい。 今は眠るのが一番だ。 淡く光る空を見ながら、這い寄ってくる眠りに身をまかせた。

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