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「も・・・あ・・・やだ。」 「いやだ?望んだのは正嗣だ。」 どんなつもりで男に抱かれると言いだしたのか知らないが、俺は優しくしてやるつもりはなかった。苦痛になるくらいに感じさせて、溺れるなら溺れてしまえばいいと思った。 俺が積み上げた10年をあっさり突き崩した正嗣に、その意味を塗りこんでやりたかった。 思い知ればいい・・・不用意に火をつけた罰だ。 「うわぁっ!あああ!」 「男だって感じる場所はあるんだよ。どうだ?いつもと逆の立場になった気分は。」 「あああ・・・も、なんか・・・へん・・・やだ。」 圧迫を強くしてやれば背中が仰け反る。鼻では呼吸が追いつかないのか、正嗣の開いた口からは呼吸とともに唾液が零れ出る。それを舐めあげたいという衝動が沸きあがったが俺はそれを飲み込んだ。 『美砂緒を今でも愛している。』 そんなことを言う男にキスをくれてやるものか・・・。男のくせに、ゲイでもないくせに!別れた女に未練を残している男になんか・・・くれてやるものか! 前立腺に絶え間なく刺激を与えながら左手を伸ばして乳首をつまみ上げる。 「ああっ!」 「女と同じだよ、男だってここは感じるんだ。今度女に舐めてもらえばいい。」 「ひど・・・まさ・・たか。」 酷いのはお前だ! ローションの先をアナルにねじ込んで勢いよく絞り出す。 「うわ、冷たい!やだ!」 何がヤダだ!嫌だ嫌だと言えば俺が優しくすると?馬鹿馬鹿しい。 「嫌?よく言うな。どこがだ。こんなに勃ちあげてヌルヌルだぞ?途中で乾いて苦痛になるのは正嗣だ。大人しくされるがままになっていればいい。男同士のセックスを教えてやる。」 ローションをたっぷり塗り込み、亀頭の先を押し当てる。グッと力が入り後孔がきつく締まった。 「力を抜かないと切れるぞ、痛いのは正嗣だ。息を吐いて力を抜け。」 勃ちあがって腹に先走りをこぼしている先にローションをかけて握りこんだ。 「あああ!!・・・・あっあああ・・・。」 脳天に響く声をやり過ごすために目をつぶる。絶対ないと、有り得ないと思っていた。その想像が目の前にある。正嗣が俺の愛撫で我を忘れ、女のように喘ぎ続けている。 ゆるゆると腰を進めながら少しずつ中に押し入ると、眉間に皺がより薄く開いていた目が閉じられた。 「そうだ、力を抜いて。もうすぐ楽になる。」 一つになって互いの愛情を確認する。そんなセックスをしているわけではない。快楽と苦痛を与え、自分が望んだ事の重大さを思い知らせる。それが今の俺達の間に存在すべきセックスだ。思いやりや愛おしさとは真逆の所にあるセックスだ。 本能のままに快楽を求め、腰を振り吐き出すためのセックスだ。 長い間に降り積もった想いの長けがどれだけなのかを理解するセックスだ! 正嗣の両肩を押さえつけ、抉るように奥に押し入る。仰け反った首筋に噛みつき、きつく吸い上げれば赤く染まった。男の征服欲を知っているだろう?お前も男なのだから。 抽出を繰り返しながら、首筋や鎖骨、胸、肩口、いたるところに朱を散らす。女の前で裸になれないようにしてやる。未練タラタラの元女房に嫌われるくらいに沢山つけてやる。 「ああ・・ああ・・・うぅっ。」 正嗣の目尻から涙が零れた。苦しいか?それとも気持ちがいいか? 余裕がないのは自分のほうで、複雑にからまった幾多の想いが身体の中を駆け巡る。 愛おしいと心から思った。一緒にいたいと願った。なんでも聞いてやりたい、笑ってくれるならなんでもできると信じた。 忘れようとした、心変わりを望んだ。 それができないから、俺のことを忘れてくれと・・・願った。 どうしてだ・・・どうしてほじくり返した。 ずっと忘れたままでいればお互いきっと・・・。 「どうしてだ・・・正嗣。」 「ああ・・・な・・に。」 「どうして穿り返した!思い出した!」 直腸なんか突き破ってしまえばいい、前立腺が壊れて気が狂えばいい! より深く奥と前立腺を抉り続けると、正嗣の身体から完全に力が抜けた。だらしなく開いた口から絶え間なく漏れ出る喘ぎ声。頼りない力のない指先が俺の腕にかかる。 「も・・・まさ・・たか・・おねがい・・・イカせて・・・あああぁあ・・・」 この瞬間をできるだけ引き伸ばしたい。 そう願ったが自分の下に組み敷かれ、あられもない姿で横たわる姿に持っていかれそうだ。これ以上堪えきれない。 腰の動きと握った扱きを連動させると、手の中でひときわ大きく膨らんだ。中のうねりが奥へ奥へと俺を導く。 「ああ!も!イク・・・でる・・・ああああぁぁぁ・・・まさ・・・たか!」 「くそっ!」 名前を叫ぶように呼ばれて、俺の最後の忍耐が崩壊した。 勢いのままに爆ぜると、同じように正嗣も達し俺の手を汚しているのが見えた。それを見て急に熱が冷め始める。 俺は何をしたんだ? 望まれるままに・・・・友達と寝た。俺を好きでもないくせに、欲情している男を抱いた。 恋い焦がれた男を抱いたのに空っぽだ・・・空虚、虚無 冷えた心。 これに意味は・・・あるのか?

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