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シーツの海

「すごく柔らかくて気持ちいい、奥に引きずりこんでくる……欲しいって中でも言ってくれてる……っ!」  ……満たされている。苦しみすら悦びに変わっていく。 「っあ! いっ、や、あ、あ、アっ……!」 「……っ、こ、こ」  ずるずると這うように引き抜かれる寸前で、彼の自身がまた内壁を抉った。 「ああっ! や、あっ!」  お腹の中がぐちゃぐちゃになる。溶けそう。溶けちゃう、よ。もう。 「うあ、あ、ひ、っ、んんう……! もっ、と、っ……もっとっ、あ、ああ……っ!」  閉じた瞼にキスを落とされる。 「あと、半分、くらい……!」 「っ、あ、ああ……っ!」  内臓を押し上げるように彼が身体を侵食していく。内壁が喜ぶように蠕動した。背中が仰け反る。彼の背中に爪を立てた。でも全然力が入らなくてずるずると落ちていく。行き場を失った両手を振り上げたら彼の手がそれを捕まえて絡めてくれる。力強い手と一緒にシーツの海に沈んでいく。 彼の雄が大き過ぎて、思わずもがきながら逃げようとすれば、なおさら彼が逃れられないほどの力で腰を掴んで引きずり奥を穿った。 「あっ、う、うああっ……! あ、アっ!」  目がちかちかする。  繋がった部分が熱くて、奥を犯されるごとに体がびくびくと痙攣し続ける。ぎゅうぎゅう締め付けるたびに彼のものを感じてなおさら欲情した。 「ああ……っ!」 「……っ届いた、奥まで……わかる、っ? ここ……!」 「や、やあっ! う、あ、ああ……!」 「ずっとイってるね、気持ちいい? あざみ……?」 「っ、あ、あ……が、っく……きも、ち……っ!」  だけじゃない。  満たされる。ずっとずっと欲しかった。2年も。これが。これ。  体も心もふわふわするのに、中を貫く剛直だけが嫌に鮮明だ。 「っんん! ふああ……っ!」  下腹部を中からも激しく突き上げられ、上からも大きな手で摩られる。 「あっ、あっ、ア……!」  突かれる度に声が出てしまう。外側からも内側からもいいところを刺激されて馬鹿になりそう。理性なんてどっかいった。だらしなく開いた口からは嬌声とよだれがこぼれ落ちて、閉じた瞳からは涙がはらはら溢れていった。体はただ従順に彼の熱と欲を切ないくらいに貪っている。  彼は鼻先の触れ合うような至近距離でずっと俺の顔を見ていた。腰のピストンは容赦ないのに、俺を見る双眼は優しくて、怖くて、欲情せずにはいられない。 「い、っ、ちゃ、あ……! っ、や、やああ!」 「いいよ、イって、見せて……あーちゃん……!」  歌うように言わないで。必死に焦点を合わせたらやっぱり萼がいる。他の誰でもない……萼。  

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