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大きな波

「ッあ、ああ、あ……っ、く、っ……」  高みに上り詰めた瞬間、どくん、と一度大きな波が来て、深く深く極まった。体が境界線を失って彼の熱と汗でどろどろになっている。極めた余韻が何度か体を痙攣させて、視界は焦点が合わせるのが難しい。薄く目を開けながら必死で空気を求めて呼吸をしていたら、萼が重い前髪をかき上げるようにこめかみを指でなぞった。露わになった額に唇が落ちていく。  俺の体は彼に抱かれるとすっぽり覆いかぶさることができるくらいの大きさだった。彼はこの2年でまた大きくなったらしい。俺は高校の頃からほぼ変わらないのに。顔つきも全然違う。年の離れた兄弟みたいって思ったら背徳感が背中に弓矢のように突き刺さった。でもそれ以上に達した余韻があまりにも幸福過ぎて全部掻き消されていく。  達したにも関らず体は貪欲になにかを渇望している。自然と自分の中にある萼の自身をきゅうきゅうと締めつけ始めていた。  精が欲しい。他の誰でもない萼のが欲しい。 「可愛い……」  顔が真っ赤になる。中で彼が大きく膨らんだ。 「あ、っ、……おっ、きくなった……」  小刻みに擦るように中で大きくなった彼が動く。 「あーちゃんがそうさせたんだよ……」 「ん、っ、んあっ……や、っ、そこ……ああ……ッ!」 「中に出してもいい……?」  出して。お腹いっぱいに、萼の精液が欲しい。満たして。俺を。いっぱいにして。最後の一滴さえ搾り取りたい。俺を萼のものにして。  なんて、……言えない。 「あ、あっあ、っん……!」  律動が激しくなる。四肢にぎゅっと力が入った。中心の感覚がまるでないのに、快楽だけが湯水のように湧いて体を犯す。  わけが分からなくなりそうな気持ち良さに腹部が切ないほどに彼を締め付けた。 「あ、っ、が、くっ、萼……っ、いあ、あ、ああッ!」 「……あざ、み……!」  どす、と重く内奥を突き上げられ、また達してしまう。それなのに彼の律動は激しさを増す一方だった。苦しくて辛くて死ぬほど、気持ちいい。 「いや、ああああッ!」  濡れてぐちゃぐちゃになった内奥に、弾ける彼の熱が迸った。 「あ、っ、はあっ、う、ああ……!」  どくどくと注ぎ込まれる熱を感じながら幸福感がふつふつと湧き出てくる。視界が真っ白になって、それからのことは覚えてない。  

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